浅田真央がグランプリファイナルを制す
b0038294_22524687.jpgフィギュアスケートのグランプリファイナル(GPF)が韓国の高陽市で行われ、浅田真央選手がショートプログラム(SP)2位から逆転し188.55点で優勝。
2位はSP1位だったキム・ヨナ選手、3位はSP4位から順位を上げたカロリーナ・コストナー選手でした。

今回浅田選手は2週間前のNHK杯に続いて、フリー(LP)で1つのプログラムでトリプルアクセル(3A)を2回跳ぶことに成功。
NHK杯ではジャッジから2度目の3Aを回転不足とされ1回分しか認定されなかったが、今回は2回とも認定された。
彼女の今シーズンの目標のひとつだった「3Aを2度入れる」を達成、女子では世界初という記録に残る勝利となりました。

浅田選手のグランプリファイナルでの優勝は、シニアデビューを飾った15歳の時以来で3年ぶり2度目。

公式サイトの得点詳細。各選手についてジャッジ(複数人)がエレメンツの構成、加点・減点をどのようにつけたかがわかります。
女子シングル フリー 得点詳細

Mao Asada 2008 Grand Prix Final LP 「仮面舞踏会」

それにしても、去年のSP(ラベンダー)もそうでしたが、タチアナ・タラソワが作るプログラムには中毒性がありますね。演技が濃密で芸術性が高く、音楽もいいのですごく印象に残ります。
ずっと頭の中で音楽がリピートしてしまい、動画を見るのをやめられなくなる感じです。




b0038294_0124785.jpgフリーは世界で初めて女子でISU主催の国際大会において3A2回を認定された記念すべき演技になりました(ISU非公認の国内試合では、2005年に一度認定されている)。
やはり緊張や終盤の転倒で体力に影響があったのか、NHK杯の時よりも動きが堅いというか後半疲れが出ている気がしましたが(特に最後のステップ)、それでも上体の上下の動きはしっかり取れていました。
スパイラル(上写真参照。足を腰より高い位置に上げて滑る技)が本当に美しいですね。
去年よりスピンの回数が一度減った分スパイラルでの姿勢保持秒数が増え、去年は取りこぼしが多かったけれど余裕をもってじっくり見せられるようになったのも良かったように見えます。

SPではノーミスだったもののルッツジャンプが抜けたキム・ヨナ選手に次いで2位となった。
この得点の根拠がどういうことなのかは未だに私には謎。
SPはジャンプの回数が3回と決まっているので、それがちゃんと入らないと普通はかなりダメージが大きい。
余程入っている要素の難易度に差がある場合は別だが、GPFのような既にふるいにかけられた選手が集まる試合で、SPにおいて他にノーミスの選手がいながらジャンプが抜けた選手が1位になった試合は私自身記憶にない。
今回もキム選手のリップ(不正エッジのフリップ)のエッジエラーは再び見逃され、更に2点の加点を得ています。
キム選手のコーチがなりふり構わず行った抗議は効果があったのかもしれません。抗議してエラーを見逃してもらえるなら皆やると思うんですが、彼女だけまかり通るのは何故なんでしょうね。
一方、浅田選手の点数は低く抑えられた印象があります。
冒頭の3-3のコンビネーションはダウングレードを取られてしまいました。だいたい回転不足の場合の減点は1点なのですが、このジャンプでは1.8点も減点されてしまっています。2点近くも引かれるほどの回転不足ではなかったと思う。
女子シングル SP 得点詳細

だが浅田選手は追う立場の方が気分的にラクなようなので、SP終わって1位と1点以内の差というのは彼女にとっては(採点が公平でないのは腹立たしいけれど)結果オーライだったのかもしれません。
SPも緊張は見受けられましたが、音楽の繊細さを表現しきった素晴らしい出来だったと思います。昨季不正エッジとして減点されていたルッツがここ2試合で加点をもらえているというのは大きな進歩です。
特に最後のスピン、あれだけの姿勢の変化がありながら軸がぶれず、左足のつま先が固定されているようにずっと同じところで小さな円を描いています。ものすごい技術の高さですね。

Mao Asada 2008 Grand Prix Final SP 「月の光」

終盤のステップのところ、音楽が盛り上がるところは動きが激しくなり、また音楽が緩やかになるにつれて動きもスローダウンしていますね。音楽との調和がすばらしい。スパイラルでの得点は女子でトップだったということです。

今年のGPFは韓国開催ということでキム・ヨナ選手への応援がすさまじく、一番のライバルとされる浅田選手には声援は少なめだった。昨季やはり韓国で行われた四大陸選手権では出場予定だったキム選手が怪我で欠場したため熱狂的に迎えられたが、今回は完全にアウェイ状態の中、よく頑張ったと思います。

キム選手は毎年ほぼ同じ演技構成を組み、必要に応じて技の難易度を下げて完成度を上げることで高得点を出す勝ち方をしていますが、浅田選手は毎年難易度を上げ、挑戦を続けることで自らの能力を向上させ、勝利をつかむ方針。
キム選手の方法は確かに安定度はありますが、やはり限界がありますね。練習を重ね、少しずつ能力を向上させなければ頭打ちになり、選手としての伸びしろがなくなってしまう。
今季の浅田選手のような鬼プロを、しかも完成度を上げて挑んでくる選手が現れると厳しいと思います。
今回キム選手が、浅田選手の男子トップスケーター並みの技術と体力を必要とするプログラムを目の当たりにしてどう感じたかというのを聞いてみたい気がします。

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  この振り付けは演技中2度ほど出てきますが、結構好きです。

浅田選手は昨日のインタビューで、「最初にファイナルで優勝した時(15歳当時)は、それがどのような大会かということもあまりよく分かっていなかった」と話していました。
あの頃よりも勝つことの難しさを知った今、この勝利は彼女にとって何倍も嬉しいものなのではないでしょうか。
しかも一時期精度が落ちていた3Aも今季は15歳当時と同じくらいに上がり、かつ完成度も増している。15歳当時よりも体が女性として成長している中、ここまで戻してくるのは凄いと思います(中野選手も3Aを飛んでいますが、彼女も素晴らしいですね)。
また、昨年毎回減点されていた3ルッツ(3Lz)もオフに1回転から覚えなおし、加点をもらえるほどに直してきました。
何かとジャッジングを厳しく取られがちな彼女だけれど、それに不満を漏らしたりモチベーションを下げたりすることなく、与えられるハードルを越えてくることで自らを更に強くしてくるというのは本当にすごいことだと思います。

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左が2005年のGPF優勝時、右が今年のNHK杯。

今回のSPで3-3の回転不足を取られた時、彼女は「もっと高く飛べば認定してもらえると思う」と発言している。彼女のそういう強さ、正攻法で立ち向かう姿は本当に尊敬します。
恐らく不満というか、「何でこれで認定してもらえないのか」と思うこともあるのではないかと思いますが、
そういう素振りを一切見せず、ネガティブなことは一切口に出さずに「自分がちゃんとやればいいこと」と覚悟を決めている芯の強さと気高さは女性としても人間としても見習いたいと思います。

浅田選手、GPF優勝おめでとうございます!3A2回認定おめでとうございます!
そして、中京大学合格も(笑)おめでとうございます。
次は年末の全日本選手権ですね。今から楽しみです。


**女子・男子シングル総括は別でアップしようと思っています**

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by toramomo0926 | 2008-12-13 23:04 | フィギュアスケート


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