2009フィギュアスケート欧州選手権、
女子シングルに続いて男子シングルについて書きます。 女子よりも男子の方が初見の選手が多かったように(私個人の印象ですが)思います。 ISU European Championships 2009 男女シングル、ペア、アイスダンスの順位等詳細。 優勝はフランスのブライアン・ジュベール選手でした。ここ数年絶対的な強さを誇る彼なので当然といえば当然な結果です。 最近はその絶対王者の磐石ぶりもちょっと翳りが見えてきたかな・・・と感じられる場面がちらほらと見受けられるようになってきたように感じられるのですが、やはり地力の差という感じでしょうか。翳り、といっても今までがサイボーグのように完璧だったので、普通の選手よりは安定感は依然あるんですけどね。 グランプリファイナルを腰の故障のためSPのみで棄権していたので体調はどうなのかと思っていましたが、特にSPは素晴らしい演技だったと思います。やはり爆発するとこの人はものすごいオーラを出しますね。 ただ、毎回そのビミョーぶりが気になっているのが彼の衣装。 なんか、彼、メッシュ好きですよね・・・(笑)。 2009 European Figure Skating Championships Brian Joubert SP 4回転ー3回転というものすごいコンビネーションを完璧に成功させています(どちらもトウループ)。基礎点の他にGOE(出来栄え)の加点が1.4もつけられ、このコンビネーションだけで約13点も稼いでいます。お見事。 2位はイタリアのサミュエル・コンテスティ選手。 個人的には彼の演技が一番印象に残りました。音楽も「ザ・西部劇」って感じで斬新だったし、衣装もよかった。解説の樋口豊さんと本田武史さんは「拳銃のベルトがジャマになりませんかねえ」としきりに心配していましたが、大丈夫みたいでした(笑) 彼はもともとはフランス人で、奥様が振付師。現在はイタリア国籍を取得しています。 演技終了後は彼にとっても会心の演技だったのでしょう、咆哮と言ってもいいくらいの雄叫びを上げていました。 欧州選手権という大舞台でSPとフリーをミスなくまとめる、というのは並大抵のプレッシャーではないでしょう。どんなに実力があっても、どんなに実績を残していても、本番は一度きりでやり直しはききません。そこでこんな風に叫べるほどの、自分でも満足のいく演技が出来るというのは素晴らしいことだと思います。精神的にもタフでなければできないし、全てをコントロール出来た人のみが表彰台に上がれる。厳しい世界だなと思う反面、また達成感もものすごいんだろうなあ、としみじみ見ていました。 2009 European Figure Skating Championships Samuel Contesti LP 最初の振りつけはテンガロンハットをかぶり、馬にまたがり歩いていく、というところでしょうか。シャツをちょっと汚してあるところとかも、芸が細かいですね。ジャンプも高くて軸がまっすぐで、本当に素晴らしい演技でした。 私がひそかに(笑)応援していた前回の覇者、トマシュ・ヴェルネル選手は6位でした。 今季はずっと調子が良くないということですね。どこかが痛いとか、そういうことでないといいんですが・・・ いつも試合でもショーでも(ショーでは更に張り切る)、お客さんを楽しませようとするサービス精神旺盛な彼が元気がないのはちょっと寂しいです。はやく復調するといいですね。 彼のスケーティングは伸びやかでジャンプも高くて、見ていて爽快で大好きです。 世界選手権には出場するのでしょうか?彼の姿を是非見たいと思います。 Tomas Verner Euros 2009 SP 独創的だったのが、クリスファー・ベルントソン選手のフリー。 2009 Euros Men FS Berntsson パントマイムを織り交ぜ、ロボットに扮して演じるプログラムで、曲も「ビバリーヒルズ・コップ」や「Take On Me」など馴染み深いものを使って誰もが楽しめるものになっていました。 最後電池切れみたいになって終わるのもいい。エキシビジョンナンバーみたいですね。 点数評価が厳しくなり、試合用プログラムでここまで遊び心を出すというのはかなり難しくなっている昨今、こういうプロに挑んできた彼のチャレンジ精神に拍手を送りたいです。ベテランということもあり声援もとても多かったです。 男子を見ていて印象深かったのが、トリプルアクセル(3A)の成功率の低さ。 最終グループの方々はそこそこ決めていましたが、あとの3グループ、20人前後の選手で3Aを決められたのは5人もいなかったでしょう。 最初の選手が失敗すると連鎖反応のようになってしまい、3Aを跳ぼうと踏み切るのだけれど2Aにしてしまった、というのが非常に多かった。あとは完全にすっぽ抜けてしまってシングルアクセルになってしまったり。 アクセルジャンプは他のジャンプと違って前向きに踏み切るので確かに難易度は高いようです。女子では3A跳べる選手は現役では浅田真央選手と中野友加里選手の2名だけですが、男子も3Aを飛ぶのは難しいという感じなのでしょうか。そういえばステファン・ランビエール選手も4回転は飛べても3Aで転倒したりしていましたね。前向きに跳ぶのは素人が想像する以上に難しいのかもしれません。 今回見ていて、男子シングルで世界のトップグループに入れるか、というハードルが 1.3A、更に3Aと3回転のコンビネーションを跳べる 2.4回転をプログラムに入れられる という点にあるように感じました。 男子でこんな感じなのに3Aをコンスタントに入れてしかもほぼ毎回降りている中野選手、また今季フリーで2回も3Aを入れてそのうちの一つをコンビネーションにし、かつ一度も抜けたり転倒したりしていない浅田選手というのは、彼らにはどのように映るのでしょうか・・・ また、今回初めて地上波以外の放映を見ていて、樋口さんと本田さん、あと実況の女性で進める解説がとても静かで的を得た解説ですごくよかったです。 こういう解説を聞いていればファンも自然に見る目が養われるし、観戦するほうも成熟した見方ができるようになりますよね。 降りれば「成功!」と大騒ぎして結局回転不足判定だったり、転べば「終了」扱いでその後の頑張りを正当に評価しないような実況・解説では、何も生まれないし、何も育っていかない。 樋口さんはNHK杯終了後恒例の「豊の部屋」(リンク脇の特設ステージに上位選手を招き、演技を振り返りながら解説するコーナー)で見ていておネエ口調が印象的だったのですが(笑)、今回も瞬時にエッジエラーや回転不足、また演技の中でよかった点などをその場で的確に解説していました。チェックはかなり厳しいのですが、おネエ口調がうまくマイルドにしていました(笑)。 地上波でもこの3人でいいような気がするんだけどなあー。 豊の部屋 2008年NHK杯 浅田真央(1/2) 画面右側がNHKの刈屋富士夫アナウンサー、右側が樋口豊さん。マイルドながらも厳しい指摘(笑) あと印象深かったのが、解説者の皆さんの自由度。 咳払い、するする(笑)「オホオホ」とか「ウェッヘン」などの咳払いをマイクが拾いまくってもどこ吹く風。かなり笑えました。 樋口さん、かなり咳が目立ちましたけど、体調は大丈夫でしょうか・・・? 地上波で見ているだけだとほぼ上位の選手しか見ることができないのでそれが当たり前のように思ってしまいますが、今回エントリー全選手の演技を見ることが出来て、トップ選手がどれだけすごいかというのを(失礼ながら)改めて認識した大会でもありました。 見てよかったです。 次回は全米選手権について書きます。
by toramomo0926
| 2009-01-26 16:16
| フィギュアスケート
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