2009全米選手権
b0038294_2152343.jpgすっかり遅くなってしまいましたが、今更ながら(笑)全米選手権について書きます。


2009 AT&T U.S. Figure Skating Championships
2009年全米選手権、ノービスからシニアまでの順位、得点の詳細。




女子シングルの優勝はアリッサ・シズニー選手。
彼女はスピンの美しさなどに定評があり、ファンには評価の高かった選手でしたが、今季見事に花開きましたね。
今のアメリカ選手が若くて小柄な選手が多い中、長身でオフシーズンにモデルもしている彼女の女性らしいプロポーションは一際目立っていました。
今季の彼女は滑る喜びに溢れているように見えます。演技中の笑顔には引き込まれます。
正直、今年(というか今後)のアメリカはこのままジュニアから上がってきた選手が席巻すると思っていたのですが、しっかり貫禄を見せましたね。
彼女にとって初めてのナショナルチャンピオンのタイトルです。本当におめでとうございます。

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2009 US Nationals Alissa Czisny LP

衣装がよく氷に映えています。笑顔が本当に印象的でした。SPはノーミスだったけど、私は フリーの方が印象に残りました。
かつて「世界一美しいビールマン」といわれたこともあるスピンの名手。スピードもあっていいですね。


b0038294_21245985.jpgレイチェル・フラット選手が2位。
シニアデビュー直後にナショナル2位というのは、昨年いきなり優勝した長洲未来に続いての快挙ですね。歯の矯正も外れて、ちょっとだけ大人っぽくなったような気がします。
コンビネーションジャンプは3-3でセカンドジャンプをループではなくトウループにしてきました。ジャッジが回転不足をかなり最近厳しくとるので安全策を取ったのかも知れません。大きなミスもなくSP、フリーともに2位の安定した成績を挙げました。

彼女はシニアに上がってくる時の前評判というのはすごく高かった。
「即戦力」というか「ジュニアジュニアしていない」ということでした。私はジュニアの動向までは追いかけていないので前評判だけを聞いていて、とても楽しみにしていました。
確かに彼女は同じ時期にシニアデビューしたアメリカの選手達よりも演技がシニアにすんなりなじむものでした。浅田真央選手と同じ3フリップ-3ループのコンビネーションジャンプを跳べるというのもすごいです。
ただ、全てにソツがなさ過ぎて(あくまで私にとっては、ですが)、今のところまだ個性が埋没している感があり、彼女自身の個性、魅力があまり感じられないようにも思います。
とはいえ彼女はまだ16歳。評価を下すのはまだ早すぎるし、まだまだ可能性を秘めていますので、今後どのように成長していくか楽しみですね。

2009 Rachael Flatt FS

彼女の今季の衣装はSP、フリーともに大好きです。とてもセンスがいいですね。


b0038294_14183958.jpg3位はキャロライン・ジャン選手。
グランプリシリーズで見たときよりも演技も精神的にも安定しているように見えました。
彼女はかなり小柄だけれど、それでも随分背が伸びているということです。顔立ちもメイクをしっかりしているせいもあり少し大人っぽくなったように見えました。
ただ、彼女は(年齢的に仕方ない面もあるのですが)柔軟性やジャンプの回転の速さはすばらしいですがまだジュニアっぽさが抜けていない感じがしますね。というか動きは女の子らしくしなやかなのだけれども、ジャンプを踏み切る姿を見る度に、印象がノービスの選手に戻ってしまうような感じと言うか・・・

彼女もレイチェルも、そしてミライも、これから16-17歳という女性としての成長時期に入り難しい時期になりますね。ですが彼女達に将来性をすごく感じるので、この調子で順調に伸びていって欲しいですね。
男子も小さいうちはレイバックスピン(上体を反らして回るスピン)やビールマンスピンが出来る子もいますが、男性として体が成長するとともに出来なくなる選手が殆どです。女子でも昔はできたが今はできない、という選手はいますね(怪我のせいもあったりしますが)。
キャロラインの代名詞である、まさにキャロラインしかできない「パール・スピン」がこの先成長していってもずっとできるか、というのが興味のあるところ。是非頑張って残して欲しいですね。
今年世界選手権の出場枠をアメリカは2枠しか取れなかったので世界選手権の切符は残念ながら逃してしまいましたが、四大陸選手権には出場の予定。

Caroline Zhang - 2009 US Nationals LP

今はあまりにも体が幼すぎ&柔らかすぎて、特にジャンプの踏み切りの時は体がひねられすぎてしまうため、危うさすら感じて時々ヒヤヒヤしてしまう私。むしろ今よりもう少し体が成長して筋肉がついたら、かなり魅力を発揮しそうな予感がします。楽しみに待ちたいと思います。


b0038294_14383138.jpg4位はアシュリー・ワグナー選手でした。
SPでは12位に沈んでしまい驚きましたが、ここで心折れることなくフリーでは1位を獲得、4位までジャンプアップしました。素晴らしい頑張りだったと思います。
今回初めて全米選手権を見たのですが、4位までは表彰台が用意されているんですね。なのでこの頑張りが報われた形でアシュリーも表彰台へ。よかったなあと思いました。

彼女は今季出場した試合全て4位と表彰台に上がれず、四大陸や世界選手権への出場権を得ることは出来ませんでした。去年世界選手権に出場しているので残念ではありますが、去年よりも滑りに力強さが加わり、体も絞ってきていてとても良い形で成長できているように思いました。大学へもきちんと通っているらしく大変ですが、頑張って欲しいと思います。
今季のフリー「スパルタクス」は躍動感と切れ味があってとても好きだったので、今季はコレで終わりと思うと残念です。
ですが来年のオリンピックに向けて現在脱皮中と考えて、来季を楽しみに待つことにしたいと思います。

2009 Ashley Wagner US Nationals LP

解説によれば、7回のトリプルジャンプの構成を立ててきたという彼女。 去年も生き生きした演技でしたが、今年は更に女性らしい強さが見えます。解説者に練習熱心な選手、時にやりすぎてしまう、といわれていました。スピンのスピードと軸の正確さも素晴らしいです。


b0038294_1924358.jpg長洲未来選手は5位。
昨年いきなり優勝して脚光を浴びた彼女ですが、今回表彰台に乗ることができませんでした。シーズン前半に怪我をしたとの情報を得ていたのですが、回復具合が心配されますね。

フリーはリンクに出てきたときに一瞬泣いているようにも見えて「ど、どうしたの?大丈夫かな?」と母のように心配してしまったのですが、演技はきっちりと決めてきました。
最初は表情が硬かったけれども途中から笑顔も出て、フィニッシュでは「やりきった!」という笑顔を弾けさせていました。
今回彼女は当然2連覇を目指して臨んでいただろうし、順位や得点については納得は行かなかっただろうと思いますが、まだ若い彼女が大舞台をひとつひとつ経験していくことで、順位など形に残るものよりももっと大事なことを学んでいっていると思いますね。これはレイチェルやキャロラインにも言えることですが。

ミライもすごく小柄な選手だけれど、彼女も体が成長しましたね。キャロラインは「背が伸びた」って感じだったけれども、ミライは華奢ながらも骨格からしっかりしてきたなあという印象でした。彼女も怪我をしっかり治して、来年の五輪選考にベストな形で臨めるように頑張って欲しいと思います。

2009 Mirai Nagasu US Nationals LP

やっぱり最初の方、涙を拭っていますよね。何かあったのかな?集中しなければならない演技前に動揺すると演技に影響が出そうですが、彼女はきっちり滑りきりました。素晴らしいと思います。
また、写真もそうですがビールマンスピンでの彼女はキャロラインと同じくらい反っていますね~。彼女はビールマンの体勢に入ってから回転を加速することが出来るということです。


b0038294_20311967.jpg男子はジェレミー・アボット選手が優勝。
今季彗星のようにトップグループに躍り出た彼。グランプリファイナル優勝が決して他力本願やフロックではなく、実力での勝利ということを強く印象づけた勝利となりました。
それにしても、バトルとランビエールが引退したとはいえ、1シーズンで劇的に成長を遂げる選手が出てくるというのは見ていてもワクワクしますね。彼のジャンプは着地後も流れがあり姿勢も美しいのがいいですね。
フリーは後半ちょっと疲れてしまったのと、全体的にシットスピンが腰高で深く膝を曲げてないのが少し気になりますが、間違いなく四大陸やワールドで注目の選手となると思います。



2009 Jeremy Abbott US Nationals LP



b0038294_2144367.jpg今年シニアデビューのブランドン・ムロウズ選手が2位を獲得しました!
彼は4回転トウループと3Aをきっちり決めたことが大きかったですね。しかも3Aはイーグルの後という難しい入りをしています。更に2回転のコンビネーションをつけているので、回転が認定されればかなりの高得点をこの2つのジャンプだけで獲得できる構成になっています。
それにしても4回転はいとも簡単に跳びましたね~。こんなにすんなり跳ぶ選手というのは初めて見ました。ジュベール選手も軽々と跳ぶけど、彼はもっと力強いのでまた印象が違う感じです。
ちょっと全体的にスピードが足りない気もしましたが丁寧に滑っていて、姿勢や身のこなしがきれいでしたね。
アップで見るとすごく童顔にも見える彼。今後の活躍が注目されます。



2009 Brandon Mroz US Nationals LP



それにしても男子は4回転はますます必須になってきましたね。去年のワールドでジェフリー・バトルが4回転抜きで優勝した時、「4回転至上主義の流れが変わるかも」という記事を書きましたが、全く変わりませんでしたね・・・(笑)むしろ彼が4回転抜きでワールド優勝した最後の選手になるかもしれません。
ですが現在のあの不毛な回転不足認定方法のままでは、逆行する可能性もなくはないかな・・・ワールドやオリンピックのような究極の大舞台では、最後の最後で4回転回避で優勝を狙う選手が出てくるかも?



b0038294_2031539.jpgエヴァン・ライサチェク選手は3位でした。
彼は昨年まで2年連続のナショナルチャンピオンであり、今回3連覇がかかっていました。やはり優勝し続けるというのは難しいんですね。
最近彼があまり元気がないように見受けられるんですが、調子を落としているんでしょうかね?彼の経歴をWikipediaなどで調べると、すごく健康そうに見えて今まで病気や怪我に結構見舞われているんですね。体には充分気をつけて欲しいと思います。
彼の印象として「長い」というのを皆さん感じると思うんですが、彼は背も高く、手足も長い。そして顔も長い・・・けれどもアメリカでは彼はセクシーなイケメンとして人気が高いそうです。

そこで彼の今季の衣装なのですが、特にSP(写真参照)は衝撃的でした(笑)。SPは振付を担当したタチアナ・タラソワさんのデザインらしいのですが、全面(しかも前後両方)に十字架のモチーフが。そして全身黒。ますます長く見えます。

フリーは「ラプソディ・イン・ブルー」の曲に合わせてタキシードスタイルなのですが、これがまた長く見える・・・
でも長身で長い手足は氷にすごく映えて、動きもダイナミックに見えるしかなりお得だと思います。

2009 Evan Lysachek US Nationals LP

連覇できなかったのは残念ですが、彼の大きな演技は見ていて気持ちいいですね。
インタビューなどを見ていても人柄がすごく温かそうで、応援したくなります。それにしてもタキシード似あうなあ・・・


b0038294_2036879.jpgジョニー・ウィアー選手は5位になりました。
SP、フリーともに3Aがすっぽ抜けてしまいました。彼も調子が万全ではなかったのでしょうか?あまり元気がなく見えましたね。
それともやはり世界選手権と四大陸の選考会でもあり、また国内王者を決めるナショナルというのはそれだけ緊張を強いられるということなのでしょうか。全日本選手権も、会場はものすごい張り詰めた雰囲気だということですしね。
やはりナショナルチャンプという称号は選手なら誰もが一度は取りたいタイトルですし。

彼の実力を考えればこの位置はとても残念です。彼も今季はこれで大きな大会への出場は終了ですね。
私は彼の演技を特別好きというわけではないけれど(別に嫌いなわけでもないんですが・・・すみません)、でも彼は彼の演技の世界というのをしっかり持っている。そこは本当に素晴らしいと思います。難しい演技をしながら自分のカラーを出すってすごく難しそうですよね。
最近そういう自分のカラーをしっかり持っている選手が若手には少ないので、来季のオリンピックシーズンにはまた素晴らしい演技を見せてくれることを期待しています。

2009 Jonny Weir US Nationals FP

最初いきなり彼のコメントが入ります。"It was a very disappointing day for me" と話していました。確かに私達にとってもそうでしたね。第二グループで滑る彼というのは結構ショックでした・・。


4大陸とワールドの出場者は新鮮な顔ぶれになりそうですね。
順当に出た人と、今年花開いた人。どんな戦いになるのか、男女ともに注目です。
いよいよ四大陸もあと数日ですね。楽しみです!
by toramomo0926 | 2009-01-29 21:36 | フィギュアスケート


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