10月19日付けの東亜日報という韓国の新聞(日本版)に下記のような記事が載っていました。
「今大会に審判として参加したイ・ジヒ大韓スケート競技連盟フィギュア副部長は、 『多くの審判が新しい採点方式以前のやり方で減点したため、高い点数が出なかった。 しかし、金妍兒の卓越な演技を見た後、加算点を充分に活用しようという雰囲気が作られた。それも金妍兒に限ってのことだ』と話した。」 記事URL: http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=070000&biid=2009101974738 この李ジヒ氏の発言は、多くの非常に重要な、危惧すべき問題を含んでいます。 まず、彼女(イ・ジヒ氏は女性です)の述べている「新しい採点方式以前のやり方で減点した」という言葉の意味ですが、これは回転不足認定のことを指しているのでしょうか。 昨シーズン終了後のオフに行われた採点方式の見直しで、回転不足認定は多少緩和されているはずです。これは昨季と今季のルール改正でも大きな変更点のひとつです。 選手は毎年行われる細かい採点方式の見直しに合わせてプログラムを組み、対応することに苦労させられています。 それなのに「以前のやり方」で採点が行われ、それが選手や各国のスケート連盟に通知されていなかったとすれば、それは選手に対する裏切りであり、審判自身がある意味ルール違反していることになります。これが回転不足認定のことであってもなくても同様に問題のあることです。 また、それ以上に重要なのが、「金妍兒の卓越な演技を見た後、加算点を充分に活用しようという雰囲気が作られた。それも金妍兒に限ってのことだ」という発言です。 これは疑問の余地なくキム選手のみ「別方式」で採点がなされたことを意味します。いくらキム選手が素晴らしい演技をして、ジャッジが感銘を受けたとしても、他選手と根本的な採点方式を変えて得点を出すというのは考えられないし、やってはいけないことです。ジャッジが選手によって採点の基準を変えるという事をすればその競技の採点の意味は崩壊し、その勝利は無意味なものになります。 私は常々ここでキムヨナ選手の得点に対して「別ルールが制定されているとしか思えない」という発言をしてきましたが、本当にそうだったんだな、と思いました。 また、このような内容を発言しても何の問題もないと思っているこの李氏の認識についても、驚きあきれるものがあります。 韓国の国民に対して「キム選手がいかに優れた演技をしたか」を伝えるために発言したものだと思いますが、これは国際的には彼女自身とISUは糾弾され、調査が入ってしかるべき問題ではないでしょうか。 今季バンクーバー冬季五輪が2月に行われます。そこで表彰台に乗れるか乗れないか、またメダルの色が何色になるかということは、彼女達のその後の人生に非常に大きな影響を与えることになります。それを考えても、看過すべき問題ではないはずです。 日本スケート連盟はこの発言についてISUに問いただすべきではないでしょうか。 他国のスケ連と連携を取って動くという道もあると思います。日本のスケ連には選手を守るという姿勢があまりないように思えるのが非常に歯がゆいところです。 また今大会では、ジャッジが今朝になって男子優勝者のプルシェンコ選手の得点にミスがあった(演技後半のジャンプなのに基礎点から1.1倍として計算していなかった)として得点を上方修正しています。 今回は得点の修正があっても順位に変動はありませんでしたが、これが点差や順位によってはグランプリファイナル出場に非常に影響ある事態も考えられるわけで(2005-2006年の織田信成選手と高橋大輔選手のように、五輪選出者が変わる重大な場合もある)、こういう事があるとジャッジの能力・信頼性に非常に大きな危惧を覚えます。 <関連コラム> キムヨナ選手の「世界最高得点」の意味を考える 2009年10月20日 「競技」としてのフィギュアは死んだのか 2009年10月18日 フィギュアスケートを殺すな 2009年4月26日 来シーズン、回転不足認定を緩和ーISUルール改定 2009年4月18日 キム・ヨナ選手の「妨害」発言について 2009年3月23日 スポーツとは「向上」を目指すもの 2009年1月1日 もっと競技と他選手に敬意を 2008年11月28日 キム・ヨナ選手に初のe判定-グランプリシリーズ中国大会 2008年11月9日 順位に異論はないけど、採点は大いに疑問 2008年10月30日
by toramomo0926
| 2009-10-25 10:46
| フィギュアスケート
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