「できないことは何もない」浅田真央選手帰国
b0038294_21161917.jpgグランプリシリーズロシア杯を終えた浅田真央選手がロシアから帰国、成田で記者会見を行いました。

現在の彼女を取り巻く状況を考えると、記者に何を聞かれるか、また何を言われるかというのはだいたいのところは予想はつくのでマスコミの前に立つのは結構勇気がいることだったと思いますが、それでも彼女は会見に応じました。
会見はキャンセルというか「やりません」ということもできたとは思います。しかし彼女はきちんと会見に出て、しっかり質問に答えました。
あの若さで世界で戦うトップアスリートとして責任を果たし、逃げなかったのはすごいと思います。

彼女はショート、フリーともにプログラムを変えないということと(構成は多少手直しするとのこと)、今季試合で一度しか成功させていないトリプルアクセルについても、ショートで1度、フリーで2度の計3回跳ぶ構成は変えるつもりのないことをはっきりと宣言しました。


会見の模様(すぐ消されるかもしれませんが・・・)

受け答えや話し方が大人になりましたね。




フランス杯、ロシア杯とうまくいかなかった試合が続き、彼女の心中はいかばかりかと思っていました。しかしカメラの前に立った彼女は、とてもすっきりとした表情をしていましたね。話の内容もとても建設的というか前向きで冷静に自己分析ができているようだったので、何かを乗り越えてくれたのかな、と自分の中では少し光が差したような気持ちになりました。

以下、スポーツナビのサイトに載っていた会見の質疑抜粋です。

――2戦を終えての今の気持ちは

浅田 フランス杯とロシア杯を終えて、最終的な五輪に向けての課題がたくさん見つかったと思います。今から次の試合までに期間がありますが、その約2カ月間というのは長いようで短いと思うので、毎日課題を見つけてしっかり練習したいなと思います。

――ロシア杯の後、タチアナ・タラソワコーチとプログラムについてどのように話し合ったか

浅田 先生も悩んでいて、ショートプログラムもフリープログラムも変える気はあるかというようなことは聞かれたんですけど、自分はまだどちらも完ぺきな滑りができていないので、それを簡単に変えたくないと思いました。オフの間にずっと滑り込んできているので、まずは早く良い演技をみなさんの前で披露したいと思っています。今も変える気はないです。

――浅田選手にとってトリプルアクセルとは

浅田 自分の構成の中では1番得点の高いものですし、跳べる選手も今は2人しかいないので、1番アピールできるものだと思っています。

――次の試合までにこれだけはできるようになっておきたい、ということは

浅田 冷静に考えるとできないことは何もないと思うのですが、試合は一発勝負なので、練習を積んで百発百中にしたいと思います。

――練習では跳べているが本番では跳べない「気持ちの問題」を克服するには

浅田 気持ちの問題と思いすぎてもマイナスになってしまう気がしています。練習でジャンプをしっかり跳べるようになって安定すれば試合でもそういう気持ちにならないんじゃないかなと思います。

――トリプルアクセルの数を減らして確実なジャンプで得点を稼ぐという考えは

浅田 今は(トリプル)アクセルを抜いての構成は考えていないです。昨季からの挑戦を無駄にしたくないという思いがあるので、今年も、五輪でもトリプルアクセルを3回入れたいと思っています。

――今後のスケジュールは

浅田 次の試合までずっと日本です。アシスタントの先生が日本がきてくださるので一緒に練習します。タチアナ先生からはいろいろな話をしてもらったんですけど、勝とうという気持ちより、自分の良い演技をたくさんの人に見てもらえるように準備しなさいと言われました。

――次の試合向けて

浅田 終わったときは悔しい、情けないという気持ちがあったんですが、失敗したからこそ見つかった課題もありました。今シーズンの五輪で金メダルを取るという目標を変えずに頑張りたいと思います。

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この会見で印象に残った彼女の言葉は2つ。
「冷静に考えるとできないことは何もないと思う」
「気持ちの問題と思いすぎてもマイナスになってしまう気がしています」


とても心強い言葉だと思いました。
「冷静に考えると、出来ないことは何もない」という言葉は、彼女が今季のプログラムを滑るという事について、技術的に「こなしきれていない」という感触を持っていないことを示しています。つまりプログラムを「もの」にしていないわけではない、ということになります。
また、話し方も記者に言われて言い返すという感じではなく(まあ、彼女が質問に対して『言い返す』スタンスになったことは今までもないと思いますが)、冷静にそう述べている。
ひょっとしたら彼女は待ち焦がれてきた五輪シーズンを迎えて堅くなっていたかもしれないが、窮地に追い込まれて逆に余計な力が抜け、いい意味で開き直ってきているのかもしれないとも思いました。開き直りというと語弊がありそうですが、逆に冷静になって肝が据わり、ファイナルの可能性を排除できたことで却って照準を絞りやすくなったとか。
あくまでファンの希望的観測を含む推測ですが、彼女の今日の落ち着いた、でも憔悴しているわけではない冷静な受け答えを見ていると、そんな気がしてきました。

タラソワコーチからは「勝とうという気持ちより、自分の良い演技をたくさんの人に見てもらえるように準備しなさい」という言葉をもらったそうですね。これも今の彼女に贈る言葉としてはとても良いものだと思います。
真央選手は間違いなく世界最高のスケーターの一人なのに、時々すごく自信なさげに見える事があります。完璧主義過ぎるのが原因とされていますが、普通に滑ればトップに立てる選手です。タラソワの言った通りの気持ちで演技できれば、観客やジャッジの心をつかむことができるでしょう。
現にジャンプがことごとく決まらなかったロシア杯の「鐘」も、PCS(芸術性・表現の評価)ではかなり高い評価を得ています。そしてスピンでも2種類でレベル4を獲得しています。あとジャンプが決まるようになればかなり見栄えや印象も変わり、去年の仮面舞踏会のようにその評価は180度変わることも充分ありえます。私はその瞬間が今から待ち遠しくて仕方ありません。

ですが、まずは体を疲れたままにしないこと。肉体の疲れは精神を蝕むことがある。まずは体を大事にして、練習を重ねることで自信を取り戻せば、全日本と五輪では素晴らしい演技を見ることが出来るでしょう。
彼女にとって今シーズンはまだ何も終わってはいない。彼女はそれを知っている。そして悔しさと悲しさに涙を流しても、もう彼女は前を向いています。

私たちは青い炎を燃やし始めた彼女を見守り、応援することしかできませんが、きっと彼女はやってくれると思います。
頑張れ。

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by toramomo0926 | 2009-10-27 22:28 | フィギュアスケート


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