高橋大輔選手銅メダル&日本選手全員入賞の快挙-バンクーバー五輪
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バンクーバー五輪で、高橋大輔選手が日本史上初となる男子フィギュアスケートでのメダルを獲得、銅メダルです!素晴らしい演技でした!
そしてアクシデントに見舞われながらも最後まで滑りきった織田信成選手が7位入賞、生まれて初めて試合で4回転ジャンプを成功させた小塚崇彦選手が8位入賞と、日本男子全員が入賞を果たすというこれも史上初の快挙となりました。
本当に素晴らしかった!おめでとうございます!

Vancouver Olympic Games Figure Skating Men Results
公式サイト。順位と得点の詳細。
選手名の行の右端にある「+」マークをクリックすると、細かい要素についての点数も確認できます。



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高橋大輔選手はショートプログラム(SP)を完璧に滑り、フリーの4回転トウループ(4T)で転倒したものの他は大きなミスなく滑りきりました。

全日本の時よりも体が絞れてましたね。頬が少しこけたのが更に精悍な雰囲気を出していて、でもすごく落ち着いているようでした。4回転が公開練習で成功しなくても全く焦る様子もなく、心身ともに良い調整が出来ていたようでした。
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SPは本当にオーラ全開で、ものすごく妖艶でした。彼は音楽を表現するのがとても上手い選手ですが、更に神がかっていましたね。動きもキレキレで、氷の上にいるとは思えないほど「踊って」いました。ステップも、試合によってはタイミングがずれたりしていた時もありましたが、見事に音にぴったり合っていたので見ていて気持ちよかったです。
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このボディバランス、すごいです。

フリーではしっかり4回転に挑戦し、失敗はしましたが「リカバリーの練習はすごくしていた」というとおり全く引きずらない演技で会場を巻き込み、手拍子や歓声、スタンディグオベーションを得ていました。
PCS(演技構成点:「スケーティングスキル」「技と技のつなぎ」「音楽の解釈」「振り付け」「演技力」の5項目の得点)が全選手中トップ。これは素晴らしいことです。
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フリーではリンクに上がる前から、目が澄んでいて集中したとても良い表情をしていました。
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そして演技が始まったら、転倒直後でも笑顔があり表情がずっと柔らかく、本当に楽しそうに滑っていたのが印象的でした。彼の怪我からの復活について五輪開幕直前からかなり取りざたされていますが、本当に「滑る喜び、生きる喜び」みたいなオーラを感じました。出場選手の中で一番生き生きとして、一番自由に見えました。輝いていた。


五輪開幕前、私は高橋選手はメダルを取れる位置にいると思っていたし、とって欲しいと思っていたけれど、何より「やりきった、楽しかった」と思える演技をして欲しいと思っていました。それがそのまま叶ったので本当に嬉しかった。
今日も仕事をしていたのですが、男子フリーが大詰めとなる時刻が近づくにつれて職場内のサーバーが重くなり、ネットがすごーく遅くなりました(笑)気になってちょこちょこチェックしていた人が多かったのではないでしょうか(笑)

彼は五輪後引退を示唆するコメントを多く残していました。ですが銅メダルを取ったことで、「次の五輪は?」という質問をほぼ全てのTV局のインタビューで受けていました。
最初は「次の五輪は考えていない」と話していたのですが、だんだん「でも気づいたら4年経ってた、ってなってるかもしれないですね」という言葉が出たのはちょっと嬉しかったです。
これは彼一流の気遣いというか、空気を壊したくないという気持ちから出たリップサービスも含まれているかもしれないけれど、「時間が経つに連れて悔しさが出てきた」と話していたので、もう少し現役を続けてくれるといいなあ、と期待してしまいます。
(2/20追記:2011年に東京で行われる世界選手権までは現役を続ける旨が正式に発表されました。あと少し彼の姿を試合で見ることができそうです。よかった。)

ですが今は何も考えず、思い切り喜んで、笑ってください。本当に素晴らしい演技でした。
おめでとうございます!!



織田信成選手はフリーの演技中に転倒。靴紐が切れるアクシデントがあり-3点の減点が響き、7位となりました。
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SPは大きなミスなく滑り終えて4位という好位置につけていました。フリーではやや表情の硬さはあったもののジャンプ自体はまとめてたのですが、中盤頃のループジャンプで転倒、そのまま演技を中断してしまいました。
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ジャッジに靴紐が切れてしまったことを説明し、3分の調整時間を与えられますが、転倒で-1点、選手の都合による演技中断は-2点の減点になります。

チャップリンメドレーはスムーズな流れが重要なポイントなので、この中断は本当に痛かった。また、織田選手が「前の選手(ライサチェク選手)への大歓声に足がすくんでしまった」と話していましたが、表情が硬かったんですよね。あのプログラムは表情豊かに演じなければ上滑りなものになってしまう。
いつもの織田選手ならその魅力を存分にアピールできるはずなのですが、「悪い時の織田選手」が最後の最後に出てきてしまったという感じでしたね。残念です。

b0038294_2404573.jpgまた、彼はバンクーバーに入ってからも「今までの試合で一番調子がいい」と話し、公式練習でも4回転-3回転を決めるなど、高橋選手よりも数段調子がよく見えました。しかしフリー本番では4回転を回避しました。
「自分にはまだその(五輪で4回転を跳ぶ)力がない」と自分で判断した、との事ですが、これは「回避グセ」の影響ではないかと私は思っています。
彼は(モロゾフコーチについてからは特に)大事な試合では4回転を回避してきました。練習ではあんなにキレイに柔らかく跳べるのに、今季試合では殆ど実践していません。
以前にも何度かここで述べているように、大技を回避して目先の勝利を得ても、長期的に見ればその技に対する恐怖心が大きくなり、試合で飛べなくなる危険性があります。

高橋大輔選手はトリノ五輪からずっと、何度失敗しても必ず4回転はフリーに組み込んできました。そういう積み重ねで怪我する前までは4回転を2回入れられる実践力をつけ、また転倒しても動揺を少なくする訓練ができていたわけで、試合で失敗を重ねてこそ安定して跳べるようになるように思います。
高橋選手は五輪内定一番乗りを決める試合ですら失敗覚悟で4回転に挑戦していますが、織田選手はこの試合で4回転を回避し、転倒した高橋大輔選手を抑えて五輪内定一番乗りを勝ち取りました。
しかし私は、織田選手がターニングポイントとなる試合で必ず4回転を回避していることに危惧を抱いていました。そして「4回転を回避して先に内定を得た織田選手の方が、失敗して内定を逃した高橋選手よりも五輪の試合において精神的アドバンテージを得られるかといえば、それはわからない」と書きましたが、悪い予感は当たってしまいました。

フィギュアスケートは知れば知るほどメンタルがそのまま出る競技だということがわかります。
どんなに練習でパーフェクトでも、試合に臨む気持ちに少しでもスキがあればあっという間に波に呑まれてしまう。
織田選手は今回そういう負の連鎖に取り込まれてしまった面もあったように思います。そしてやはり成否に関わらず「挑戦」と「積み重ね」ということがスポーツには必須なのだなということも改めて考えさせられました。



小塚崇彦選手は4Tを成功させる快挙をなしとげ、8位に入賞です!
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今季3Aに苦しんできましたが、SPでは着氷に若干乱れはあったもののこらえましたね。その後は手堅くまとめることが出来ました。初出場というプレッシャーの中で、これは上出来(といったら偉そうですが)だと思いました。
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フリーでは4回転に挑戦、試合で初めて転倒やステップアウトなしに降りることに成功、両足着氷気味ではあったものの無事認定を勝ち取りました。これはすごいことです。
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4回転を試合で初めて成功させたのが自身初出場の五輪だなんて、すごいですよ。本当におめでとうございます!
彼の次のステップへ、この成功は非常に大きい意味を持つのではないかと思っています。当日初のスタンディングオベーションも得ましたし、「小塚崇彦」とその美しい滑りを世界中にアピールできたと思います。

彼自身も「五輪という舞台で4回転も入って、ここまでの演技ができると思っていなかった」と喜んでいましたね。
4年後のソチ五輪の時には、彼は間違いなく今の高橋選手や織田選手のように、メダルを期待される日本のエースになっているでしょう。今回の五輪は彼のスケート一族という家系はクローズアップされたものの、先輩達に守られて良くも悪くも注目度というかメダルへの期待はされていなかった。今回が一番素直に、何も考えずにぶつかっていける、また次の五輪へつながる重要な経験となる場だと思っていたので、「思いっきり、出し切った演技をしてきて欲しい」と思っていました。
小塚選手もすごく笑顔が輝いていたので、本当によかったと思います。
試合で4回転を1度でも決めたことは、彼にとって大きな自信になるでしょう。そして、これは織田選手にもいえることですが、「五輪を一度経験した」ということはかなり大きな強みになるはずです。今後がますます楽しみな選手になりますね。


日本人が最多出場枠3枠を勝ち取り、そしてその全てが入賞、一人がメダル獲得というのは、これまでの日本男子フィギュアでは夢物語でした。ですが彼らは私たちに夢を叶えてみせてくれました。
これが日本選手団にとっても、そしてTVで見ていた国民にとっても、何らかの起爆剤になってプラスの変化が起こっていってくれるといいですね。

高橋選手、織田選手、小塚選手、本当にお疲れ様でした!

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試合から一夜明け、記者会見での写真。3人ともいい顔をしていますね。

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by toramomo0926 | 2010-02-20 01:55 | フィギュアスケート


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