エキシビジョン、もっとハジけませんか?
b0038294_1634934.jpg最近、どの選手もエキシビジョンをきれいにまとめすぎだと思いませんか?

例年だと6月~7月あたり、来季のルール改正が固まり次第選手のみなさんは来季のプログラムの選曲・構成を考える時期に入ると思います。
殆どの選手は毎年ショートプログラム、フリー、そしてエキシビジョンと少なくとも3つのプログラムについて新しいものを作ります。来季、各選手がどんなプログラムを作ってくるかが本当に楽しみですが、私個人的には、このところエキシビジョンにおいては面白いというか楽しい演技、個性的な演技が減ったように思えます。特に男子。
女子はもともとそのような要素は薄いですが、男子はエキシビジョンの演技内容が、言うなれば「草食系」になってきているようで、物足りなく感じる時があります。






特にそれを強く感じたのがバンクーバー五輪のエキシビジョンだったのですが、プルシェンコ選手以外は皆さん殆ど静かな曲でしっとり滑っていたような印象しかありません。
まあ私が見ていたのは地上波(津波情報付き)だったし、あの放映では出演選手の1/3も放映されたかというかなり少ない情報量だったとは思いますが、それでも流されたものの7~8割は「しっとり系」だったように思います。少なくとも私にとってのバンクーバー五輪エキシビジョンとはそういうものでした。

ジョニー・ウィアー選手のLADY GAGAや小塚崇彦選手のラストダンスは私になど、(ワタシ的に)出演予定だった選手が出られなかったのも不運でしたが・・・。
男女あわせて考えてみても静かな曲が多く、浅田真央選手のカプリースが曲調としては(放映された中では)まだ躍動感のあるものだったというのも、ねえ・・・。カプリースも静かではないけど賑やかでもないのになあという感じ。

はっきり言って、どの演技もキレイではあるけど試合とのメリハリがなく、「エキシビならでは」な面白みには欠けていたと思います。
全ての選手がヘンなプログラムを(笑)滑ればいいわけではないけど、誰も彼もがスローバラードみたいな曲ばかりでは、見ているほうはちょっとつらくなってくる。
静かなプログラムでも圧倒されるようなものがあればいいのだけど(トリノ五輪の荒川静香さんの演技みたいな)、そこまで到達していると感じた演技は(私個人の感想ですが)少なかった。
「お客さんを楽しませる、楽しんでもらう」というよりは自己満足系に走ってる・・・と言うと言いすぎですが、あまりに静かな曲が続くので、少なくともエンタテインメントという側面においては個人的には以前よりは物足りないエキシビジョンだったと感じました。

エキシビジョンは選曲や小道具の制約もないし、採点からも自由になって選手はのびのびと演技できます。
選手が自分の引き出しを一番アピールできる場だと思うし、もっとハジけた演技が増えて欲しい。試合とは別の選手の魅力を見たいし、もっと各選手が個性を打ち出した、試合では出来ない内容の演技を見たいんですよね。
以前はエキシビジョンというと「どんな演技をするのか?どんな小道具を使うのか?」とワクワクさせられたものですが、やはり以前に比べて全体的にスケーターのスケールが小さくなってきているというか、没個性的になってきているのは否定できないと思います。

そこで、そんな状況への問題提起として(笑)エキシビジョンにおける伝説的なプログラムをここでご紹介したいと思います。


Evgeni Plushenko 2001 World Championship EX -Sex Bomb

当時18歳(!!)。宇宙人プルシェンコの名を世界中に轟かせました。
まあ、今後これを越える個性的なエキシビジョンはそうそう現れないと思われるので、これを基準にはしませんけども(笑)なんというか、こういう底抜けに明るいものも見たいなあと思うわけです。
ですがこういうプログラムをやっても転びまくっているようでは興ざめですから、そこには高いレベルの技術と、お客さんにアピールしまくる余裕も必要なわけで、大笑いしつつも当時から桁外れの選手だというのがよく分かる演技ですよね。
ステップなどもすごくキレがありますし、2度のアンコールで肉襦袢を付けたまま3回転のコンビネーションジャンプをバンバン跳んで見せるなど、底知れないポテンシャルを感じます。
まあ、このレベルは宇宙人だからこそですが(笑)


Isabelle Brasseur & Lloyd Eisler 1990 NHK Trophy -My wife is a dancer

1990年NHK杯のエキシビジョン。
私、これはリアルタイムで見た記憶がすごく強く残っています。男女逆の演技が終わり、アイスラーがブラスールを担いで一旦引っ込み、お色直し(リセット?)した後の演技も全部覚えていました。この動画を見つけたときは嬉しかったです。
彼らはこの年、エキシビジョンでは常にこの2つのプログラムをセットで演じていました。1つやるだけでも相当大変だと思いますが、すごいサービス精神ですよね。
これはペアならではのプログラムですね。しかも超凸凹コンビで有名だったブラスール&アイスラーペアならでは。しかもアイスラーはかなりゴツい方ですしね(笑)このアイデアは素晴らしい。
私にとって忘れられないチャーミングなペアです。


しかし。
今の現役選手でハジけたヒトがいないかといえば、必ずしもそうではありません。
そう、ADSL(アドリアン・シュルタイス選手)!!
さすが、彼は期待を裏切りません(笑)


Adrian Schultheiss 2010 Stockholm On Ice -「すっきりカルメン」

*コメントを消してご覧になりたい方は、再生後右下の「・・・」の吹き出しをクリックしてください。

これは今年4月、地元スウェーデンのストックホルムで行われたアイスショーの映像。最初少し映像が途切れます。
それにしても、これは・・・(涙)
設定としては、闘牛士が出番の最中にお腹が痛くなって・・・という、ちょっとアレな(笑)衝撃作となっております。途中でお腹がグルグル鳴る音やらなにやら、音声も凝っております・・・。
正式タイトルは、あまりにアレなので(笑)ファンの間での愛称「すっきりカルメン」とさせて頂きました(涙)

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                   素晴らしい演技(笑)

***

いや、私はゲテモノ好きというワケではないんですが(汗)このくらい破壊力のあるというか印象深い、後々まで忘れられないような(笑)プログラムが減ったなあということです。遊び心が失われつつあるというか。
しっとりしたプログラム、美しいエキシビジョンでも忘れられないものも勿論沢山ありますが、そればっかりではちょっと寂しいなあというのが正直なところ。

別にそこまで飛び抜けなくても、選手の個性や表現したい世界がはっきりとこちらに伝わるものもいいですね。
私はこの2つのエキシビジョンも大好きです。


Daisuke Takahashi 2008 World Championship EX -bachelorette

高橋選手はエキシビジョンでいつもちょっと違った世界を見せてくれますね。この「バチェラレット」は最初見た時はついていけなかったんですが、だんだん魅力に取り付かれ、このワールドの時にはシビれました。今年の「Luv Letter」もいいですし、2006-2007年の「El Tango de Roxanne」もよかった。


Johnny Weir 2010 US Nationals EX -Poker Face

これもすごいですね。彼の世界に最初から惹き込まれます。彼の「魅せる」ということに対する意識の高さは本当に尊敬します。
ジョニーをまだまだ試合でも見たいけど、プロになってから更に飛躍しそうな選手ですよね。現役がピークじゃなくて、その後もどんどん伸びていきそうな感じがして、これからの彼が本当に楽しみです。
でも、まだまだ現役でお願いします(笑)


まあ2009-2010シーズンは五輪があったので、皆さんエキシビジョンより試合用プログラムの方に重点を置いたのかもしれないけど、五輪のエキシビジョンでやることを考えたら、やっぱり気合入れて作ってきたんだろうなとも思うんです。
ですが、五輪に相応しい威厳ある滑りとか、そういう風に方針などが皆さんかぶってしまったというのはあったのかもしれませんね。
来季はまた五輪へ向けて、新たな時代がスタートします。素晴らしい演技の数々が生まれる充実したシーズンになりますように。


~おまけ~

扇子BOMB

真央選手の「カプリース」にプルシェンコ選手の「Sex Bomb」の音楽をかぶせたもの。これがタイミングなどが結構合っていて、演技と曲が進むにつれどんどん合ってくるのにびっくりです。予想以上のシンクロ率(笑)
プルシェンコ選手の演技はあのような破壊力がありましたが(笑)真央選手のは小悪魔的魅力が増す感じで、思ったよりキュートな感じになっています。
それに、違う曲で演技を見るとその演技の本当の力量や新たな魅力がある意味わかるような気がするので、そういう見どころもありますね。
曲が曲なので(笑)真央選手にかぶせるという事については好き嫌いがあるかもしれませんが、私は結構気に入っています(笑)なんかコケティッシュです。



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by toramomo0926 | 2010-05-29 16:15 | フィギュアスケート


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