キムヨナ選手、オーサーコーチと訣別との報道
キムヨナ選手、オーサーコーチと訣別との報道_b0038294_17241958.jpg
FPU(フィギュアスケート保護連合)を運営されている黒猫さんのブログを見ていて、びっくりするニュースに接しました。
キムヨナ選手とブライアン・オーサーコーチが訣別したというのです。
オーサーコーチは全く突然に、キムヨナ選手の母親より「訣別の通知を受けた」ということです。要するに解雇ということなのでしょうか。
キムヨナ選手は、良くも悪くもオーサーコーチの戦略がなければ(少なくとも順位、得点的には)トップスケーターには到底なれなかったと思うのですが、その彼を捨てたというニュースには本当に驚きました。



*****

フィギュア女王'キムヨナ、ブライアンオーサーコーチとの決別
フィギュア女王'キムヨナ( 20 、高麗大学)は、去る2007年から共にしたブライアンオーサーコーチと決別した。

ブライアンオーサーのエージェントであるIMGニューヨークは24日、報道資料を出し'オーサーコーチとトレーシーウィルソンコーチはキムヨナの母朴美姫氏からの決別の通知を受けた"と発表した。

キムヨナの母であり、マネージメント社オールザットスポーツの代表朴美姫氏は今月2日にトロントでデビッドオーサー、トレイシーウィルソンコーチに会って別れの助言をしたと伝えられている。オーサーコーチ側は"いくつかの理由にも言及されていない突然の通告だった"と明らかにした。

オーサーコーチはこれについて、"キムヨナのような才能を有し、優れた選手と働くことができて光栄だった。今後、彼女がフィギュアスケート選手として、さらに発展することを祈願する"と述べた。

金妍兒は、去る2007年からブライアンオーサーコーチと手を取り合って常勝疾走、 2010年バンクーバー冬季五輪の金メダルを獲得するなど、光沢がある成果を出した。しかし、キムヨナとオーサーコーチの決別の物語は、最近フルロナオギ始めた。

これまでキムヨナのアイスショーごとに'総監督の役割をしていたオーサーコーチは最近、韓国で開かれた'オルデトスケートサマーアイスショ』では、参加しなかった。代わりにキムヨナのプログラムの振付師のデビッドウィルソンコーチがその場を代わりにした。

金妍兒はデビッドウィルソンコーチとの契約を維持するとみられる。現在、カナダに滞在している金妍兒は、新しいシーズンのプログラムをウィルソンコーチと協議している。

(韓国語を自動翻訳にかけたものなので文法その他おかしいところがあります。ご了承ください)

*****

キムヨナ選手、オーサーコーチと訣別との報道_b0038294_17491213.jpg
「チーム・ヨナ」の面々。
キム選手から時計回りに振付師のデイビッド・ウィルソン、トレイシー・ウィルソン、ブライアン・オーサー。
バンクーバー五輪を見据えての布陣だったのでしょう、全てカナダ人です。現在も彼女はカナダで練習をしています。



この記事によると、五輪前に「チーム・ヨナ」に加入して援護射撃をしてくれていたトレイシー・ウィルソンも切ったということですね。
トレイシーは元アイスダンス選手で五輪銅メダリスト、現在はカナダのTV局CBCでフィギュアスケートの解説をしていることでファンからもよく知られています。やはり往年の名選手であるカート・ブラウニングとのペア解説は名物にもなっています。
彼女は切れ味のよい、分かりやすい解説で、全ての選手に愛情ある解説をしてくれていました。
浅田真央選手に対してもジュニアの頃からその実力を賞賛し、シニアになってからも「Lovely, lyrical skater」(可愛らしくて詩的なスケーター」「体の使い方が素晴らしい」と常に絶賛してくれていたのです。

しかし「チーム・ヨナ」に加入してからは一転して真央選手に対して批判的なコメントしかしなくなり、びっくりしたと同時にがっかりさせられた人物でもありました。
確かに自分がコーチしている選手のライバルを手放しで褒めることには気がとがめる面があるのかもしれませんし、キムヨナ選手はカナダで練習していたのでカナダのメディア的にはほぼホーム扱いだったようですが、解説者の仕事をしている時にそういう偏った見解で仕事をしてはいけないし、公平に解説できないのならば引き受けるべきではないのではないでしょうか。
それに真央選手を褒めたとしても、それはキム選手を貶したり、評価していないということにはならないはずです。
彼女は自分の仕事にプライドを持ってやっていると思っていたのでひどくがっかりさせられ、大好きだったCBCの解説も自分の中でステイタスが失われた感がありました。
キムヨナ選手、オーサーコーチと訣別との報道_b0038294_21301347.jpg
しかし、彼女も五輪が終われば用済みと言わんばかりにシーズン直前になって(勿論彼女はコーチ陣の一人として今季のキム選手の戦略を考えていたはずです)いきなり契約解除されたということになります。
来年の世界選手権で、キム選手の演技に対して彼女がどのように解説するかがある意味見ものとも言えますね。
また、真央選手に対しても手のひら返しの高評価をして来そうな気もします。
アメリカやカナダ勢は「仮面舞踏会」や「鐘」のようなロシアンスタイルの重厚な芸術性はあまり理解できないというか好みでないようでしたし、今季の真央選手のフリーはカナダ人の振付師、ローリー・ニコルの手になるものですから、きっと彼女の好みにも合うことでしょう。そういうのもちょっと・・という感じです。

まあ私自身のトレイシーへの感情はともかくとして。
3年間お世話になって、形だけでも世界女王や五輪金メダリストにさせてもらって、8億円ともいわれる高額の年収も稼がせてもらえるようになったのですから、いくらなんでもキム選手やその母親がオーサーコーチに恩義を感じていないはずはないと思うのですが、そのオーサーすらもばっさり切り捨ててしまうのですから、約1年ついただけのトレイシーを切ることなどはずっとハードルは低かったのかも知れないなと思います。そう考えるとトレイシーも災難というか、気の毒ですね。


私の知っている人で音楽関係の仕事をしている人がいるのですが、その方が以前
「韓国の歌手はコンサートをやる契約をしていても、それよりももっと良い条件で別な仕事を日程がかぶって提示されたら、平気でドタキャンすることも多い。韓国はそういうビジネスのやり方をするから、開催されるまではちゃんとコンサートが行えるのか気が抜けない」、と話していたのを聞いたことがあり、今回の突然の契約解除のニュースを聞いてその話を思い出しました。
韓国ではそういうものなのかもしれないけど、自分でエージェント(ATスポーツ)を立ち上げておきながらこういう事を繰り返していると本当に会社もろとも信用をなくしますよね。韓国以外ではカナダだけは味方になってくれるような国だったのに、ヘタしたらカナダでもATスポーツ主催のアイスショーは難しくなるかもしれないですよ。

それにしても彼女は氷の上でも妨害発言やジャッジへの不満を述べたり、リンクの外でもマネージメント会社のIMGやIBスポーツとゴタゴタを起こしたまま切り捨てていますし、必ずトラブルを起こす人ですね。

キムヨナ選手がオーサーを捨てた理由はまだわかりません。
ひょっとしたらソチ五輪を見据えて、ロシア人のコーチにオファーを出すかもしれないですね。それは充分考えられると思います(もし本当にそうなら、すごくあからさま過ぎてヤらしいというか『臆面もなく』の域になりますが)。
ただ、彼女は以前タラソワに振付を断られたそうですし、彼女の演技スタイルは芸術の国ロシアからは評価されていないと聞きます。
またロシアはソチの金メダル候補のジュニア選手を大勢育成しているところですし、なによりバンクーバーのことは忘れていないでしょう。そういう中で計画が成就するかどうかはわかりませんけれど。お金次第かもしれませんね。
今回の決別の理由として、真央選手がオーサーにコーチを依頼したという噴飯もののデマを挙げているファンやメディアも海外(主に韓国)にはいるようですが、それはありえません。真央選手陣営は話が出た時点で即座にそれを否定しています。
デマで契約解除はしないし、それで壊れるならあなた達の3年間はナニ?ということですよね。

ただ、考えているうちに、私も一瞬それはありうるかもしれない、とも思いました。もし今回の決別がオーサーからの申し出だったとすれば、の話ですが。
オーサーからすれば、キム選手を金メダリストにした後に真央選手のコーチになって金メダルを取らせれば、「世界最高得点」ならぬ「世界最高の指導者」として自分のコーチとしての名声は揺るがないものになるからです。
ですが今回の決別はキムヨナサイドから通達があったということなので、このニュースを信じるとすれば恐らくそのような展開はないと思われます。
また、真央選手も「勝つためには向上を捨てろ」という方針のコーチにつくくらいなら、一人で練習する道を選ぶことでしょう。

キム選手はとりあえずデイビッド・ウィルソンとの契約は継続するようです。
彼は確かに世界的に有名で実績も人気もある振付師・コーチですが、こんなんではいつかウィルソンも切られる日が来るかもしれない。

私が彼女に言いたいのは、「自分ひとりでここまで来れたと思うなよ」ということです。
フィギュアスケートは非常に狭い世界です。こういう形でいろんなものを切り捨てていった先に、キム選手には一体何が残るのだろうか・・・とちょっと考えさせられます。


***続報***

キム・ヨナがブライアンコーチと決別!突然の決別通知に大騒ぎ
 韓国のフィギュアスケーターであるキム・ヨナ選手が4年間ともにしていたブライアン・オーサーコーチと決別したことが明らかになった。ブライアンコーチの所属社IMGが24日に明かした。同件は、韓国メディアにより大きく報じられ、騒ぎになっている。

 ブライアン氏側は、キム・ヨナのマネジメント社の代表を務める母、朴美姫氏から決別の通知を受けたという。「何の理由も言わず、突然の通知だった」と困惑気味だ。ブライアンコーチは「キム・ヨナのように才能のある選手と一緒に仕事ができて光栄だった」と述べ、これからもフィギュア・スケーターとして、より一層発展できるようにと激励したという。

 ネット上の声も続々と紹介された。韓国のネットユーザーらは「何か理由があるだろう」、「恩知らずの行動だ」と賛否両論になっている。キム・ヨナを支持する側では「もっと発展するためには改めて出発することも大事だ」、「自分の未来がかかっている問題だから彼女が慎重に下した決定ではないか」など、キム・ヨナの選択を擁護する声が多く見られる。

 一方、「4年も一緒にしたコーチに対して理由なしの決別通知なんてあり得ない」、「無名だったキム・ヨナを育ててくれた恩人にこの恩返しは…」とキム・ヨナへの批判も多い。さらに、ブライアンコーチが浅田真央のコーチになる可能性もあるとし、不安を表すネットユーザーもみられた。

 韓国メディアは、先月に韓国で開かれたアイスショーにブライアンコーチが欠席してから決別説が浮上したと報じた。キム・ヨナが所属しているマネジメント社の関係者は「まだ正確な状況は把握できていない」とし、確認を急いでいるという。

8月24日18時32分配信 サーチナ (編集担当:永井武)
*****


<参考リンク>
'フィギュア女王'キムヨナ、ブライアンオーサーコーチとの決別  NAVER.com(韓国語)
Brian Orser no longer coaching Olympic Champion Yu-Na Kim -Figure Skating Online(英語)

<関連コラム>
おもしろ?動画-比較検証  2010年3月30日
キムヨナ選手、グランプリシリーズ欠場を発表  2010年7月19日
キムヨナ選手、現役続行の意向  2010年5月31日
浅田真央選手、2度目の世界女王に -2010世界選手権(追記あり:2010年3月28日)  
女子シングルは波乱の幕開け-2010世界選手権  2010年3月27日
キムヨナ選手に問いたい、「ルール」とは何か  2010年3月24日
浅田真央選手銀メダル獲得、日本選手全員入賞おめでとう!-バンクーバー五輪  2010年2月26日
キムヨナ選手陣営、またも「妨害」アピール  2010年2月23日
代理戦争反対-ニコライ・モロゾフ氏の発言に思う  2009年12月7日
キム・ヨナ選手の「妨害」発言について  2009年3月23日
韓国東亜日報の記事-フィギュアスケート採点の信頼性に激震  2009年10月29日
キムヨナ選手の「世界最高得点」の意味を考える 2009年10月20日
「競技」としてのフィギュアは死んだのか 2009年10月18日
フィギュアスケート実況、日本はレベルアップを  2008年3月27日
もっと競技と他選手に敬意を  2008年11月29日
順位に異論はないけど、採点は大いに疑問  2008年10月30日
by toramomo0926 | 2010-08-24 17:33 | フィギュアスケート


<< ヨナとオーサー、食い違う言い分... 選手達の応援風景 -2008G... >>