ジョニー・ウィアー選手&糸井重里氏の対談
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バンクーバー五輪6位入賞を果たしたジョニー・ウィアー選手が、糸井重里氏の「ほぼ日刊イトイ新聞」(通称『ほぼ日』)オフィスを訪れ、対談が実現していました。
対談のもようは8月30日から順次公開されており、今日も新しい記事が公開される予定です。

ほぼ日刊イトイ新聞 Johnny Weir! オフィスにジョニーがやってきた。
*タイトルの下に最新記事が出ていますが、できれば順を追って「プロローグ」から読んで頂くことをお勧めします。




ジョニーと糸井重里、まあ確かに「表現」という意味では共通しているけれど、聞いた時はなんだか唐突な感じがしました。ナゼにこの二人が…?と思っていたら、糸井氏がバンクーバーでのジョニーの演技を見て衝撃を受けたことがきっかけでした(彼の演技をちゃんと見たのは初めてだったようです)。

バンクーバーでのジョニーは素晴らしい演技をしました。そしてジョニーの魅力はまさに唯一無二、後にも先にも彼のような男性スケーターは出るかどうかという強烈な個性と魔力的な魅力を持つ選手です。彼と彼の演技はフィギュアに特に興味のない方にも強く印象に残る、芸術を追求した際立ったもなので、特に表現を仕事にしている糸井氏には私たちよりもきっと敏感に、そして強烈に感じられたのかもしれません。
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そして糸井氏は彼の演技に感電したと同時に予想外に点が低かったことに驚き、また観客から彼の点が低いことについてブーイングが起こったときの彼の行動(観客に対し怒りを収めるようなジェスチャーをし、終始笑顔で紳士的に対応した)にいたく心を打たれたとのこと。
彼の演技について、糸井氏は「芸術の定義そのものがそこにいた、という感じだった」と翌日の日記に書いています。

そして、サイトによれば

「この原稿がきっかけとなり、
ジョニー・ウィアーの写真集を企画している
日本のエージェントの方が、
ほぼ日刊イトイ新聞に連絡してくださいました。
やり取りするうち、幸運にも縁が繋がり、
なによりもジョニー・ウィアー本人が
大きな興味を示してくださって、
なんと、とうとう、ほんとうに、
やって来ることになったのです、ここに。」
                 
                   (ほぼ日刊イトイ新聞より)

とのことです。
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彼はプログラムによって自在に自分を変えて演じますね。それも大きな魅力のひとつです。


印象的だったのは、糸井氏がジョニーに対し(バンクーバーで)「あなたは誰とも戦ってなかった」と話したことです。そしてジョニーもそれを認めました。
糸井氏はフィギュアスケートには全く詳しくないそうです。そのため、自分がフィギュアを本当にはきっと理解してないという前提で話をすることを最初にジョニーに詫びていましたが、ジョニーはその方がきっと「赤ちゃんのように」演技そのものを見ることができるからいいんです、と話していました。
私にもそれはわかる気がします。
ここまでフィギュアをねっちりと見てくると、技術的なこと、些末なことに囚われがちになり素直に演技が見られなくなってしまう危険性がある。
まあ私はそれでもすごく精通しているわけでもないんですが、そういう状態に陥らないように自戒しているところもあるので、この言葉はすごく共感しました。
「赤ちゃんのように」見るというのも大事ですよね。赤ちゃんのように感覚や感情に素直に見たうえで、今まで見てきた積み重ねで「本物」を見分けられる眼力を持つ、というのがフィギュア観戦の、またフィギュアファンとして私が目指しているところでもあります。
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また、私は彼をスケーターとしてでなく、人間的にも素晴らしい人物だと思っています。
発言を聞いていてもすごくクレバーですし、同時にすごく人間が好きというか、途方もなく暖かい心の持ち主だと感じます。ファンにも常にすごくフレンドリーですしね。
彼はフィギュア界のドロドロ(笑)についても隠さずにはっきりと口に出すので関係者から煙たがられることもあるようですが、そういう彼だからこそ結構名言を残しています。

「50年後60年後思い出すのはライバルのことじゃない。自分が何に挑戦して、戦ってきたかだ」

彼はずっとアメリカ国内でエヴァン・ライサチェク選手と比べられてきました。また、彼のようなタイプのスケーターは今まで存在していなかったこともあり、彼のスタイルに否定的な声もあったりしていろいろと苦労しているようですが、しかしそれでも絶対にブレない強さというのも彼は持っています。
彼は彼の表現したい世界、彼にしか表現できない世界というのを明確に持っている。そしてそれを外に出す術を知っている。だからこそ周りに何を言われてもその根幹は揺るがないんでしょうね。
彼は女の子のようにキレイな顔と陶器のような肌を持っており、衣装はいつも華麗で美しい。でもその下の肉体はとてもシェイプされて実はすごく筋肉質というのも、彼自身を表しているような気がします。
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また、浅田真央選手に対しても

「(前略)もし彼女がトリプルアクセルのように難しい技に挑戦しないなら、それは浅田真央じゃない、それは彼女の流儀ではないと思う。
たとえひどい滑りでも、10回転んでも、世界に君が与えていることを信じるんだよ」

と励ましています。
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浅田真央選手と。2008年グランプリファイナルの時かな?
時期はちょっと定かではないですが、試合終了後のバンケットでの写真のようです。


また、バンクーバー五輪の記者会見では、質問した記者に対しこんな発言もしています。
「個性的な人たちが受け入れられるのには時間がかかると思う。大事なことは自分らしくあること。
(記者に対し)あなたにもあなたらしくいてほしい」


この言葉を聞いた時、ちょっとうるっと来てしまいました。彼は彼の強烈な個性のために人よりも苦労をすることが多かったかもしれませんが(アメリカって『自由の国』って言いますけど、日本なんかよりずっと強固に保守的な部分も相当多いようですしね)、暖かい家族に囲まれ(彼は家族と非常に仲がよいようです)、しっかりと自分の足で立ち、人を傷つけることなく自分というものを強く表現しながら生きています。彼の演技が素晴らしいことはもちろんですが、そういう彼の生き方、姿勢に共感しているファンは非常に多いことと思います。
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まあここで私がいろいろとくどくど述べるより、対談を読んでいただくのが一番いいと思います。
ぜひ読んでみてください。まだ最後まで公開されてはいませんが、今読めるところまででもかなり充実した、読み応えのある対談になっていますよ!


*そして、読者の方からの感激のメールも続々届いているようです。
Postman@1101.comから。 Johnny Weir!


**最後になってしまいましたが、この対談の存在を教えてくださったSATOさま、本当にありがとうございました。

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アメリカのフィギュアスケート(ペア)のタニス・ベルビン選手と。二人とも美しい…。

Johnny Weir 2010 US Nationals EX -Poker Face



Johnny Weir 2009 NHK Trophy SP -I Love You, I Hate You

ジョニーのプログラムで私が好きなのはダントツでこの2つなんですよね。なので、前にもこの動画は貼り付けたと思いますが、やっぱりここでも貼ってしまいます(笑)


<参考リンク>
ほぼ日刊イトイ新聞 Johnny Weir! オフィスにジョニーがやってきた。
Mix Diary(SATOさんのブログ)
米フィギュア・ジョニーウィアー選手が会見-「自分らしさ」をアピール  バンクーバー経済新聞 2010年2月26日


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by toramomo0926 | 2010-09-04 07:16 | フィギュアスケート


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