熱狂!Japan Open 2010 (男子編)
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昨年に引き続き、Japan Open 2010に行ってきました!

母と出かけたのですが、母も私も大興奮、大いに楽しみました。
浅田真央選手は全種類のジャンプを一から矯正中ということでジャンプに精彩を欠き、2度転倒したりしていましたが、こういう風になることは覚悟していたのでそれほどショックはありませんでした。
全ての選手の演技に見入り、前回よりも冷静に、かつ大いに熱狂することができました。
結果は、日本チームが2年ぶりに優勝に返り咲き!高橋選手、安藤選手、小塚選手、そして真央選手、おめでとうございます!

木下工務店カップ Japan Open 2010
順位と得点詳細。
男女別の「Result」で個人の順位と得点が、「Entries/Result Details」では得点詳細が、
「Judges Score」では各選手の全ての要素の内容と、それにジャッジがどのように得点をつけたかを見ることができます。




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浅田、高橋らの日本がV フィギュアのジャパンOP

 演技する浅田真央=さいたまスーパーアリーナ
 日本、北米、欧州によるフィギュアスケートのチーム対抗戦、ジャパン・オープンは2日、さいたまスーパーアリーナで行われ、日本はバンクーバー冬季五輪女子の銀メダリスト、浅田真央がジャンプで2度転倒したが、4選手の合計517・36点で2季ぶりに優勝した。

 各チームの男女2人ずつがフリーだけを滑った。日本は同五輪で銅メダルに輝いた高橋大輔と小塚崇彦の男子でトップに立ち、女子の安藤美姫と浅田で2位の北米を0・13点差で振り切った。

 2年前に右ひざを手術してから初めて4回転トーループを決めた高橋は159・19点で、男子の中ではアダム・リッポン(米国)の166・63点に次ぐ2番手。女子では五輪銅メダルのジョアニー・ロシェット(カナダ)が最高の122・71点を出し、浅田は92・44点で5位だった。

2010/10/02 18:36 【共同通信】

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2度の転倒、浅田真央不満の船出 フィギュアジャパンオープン

 浅田は「20歳になって初めての試合は厳しいものでした……」と振り返った。世界女王としては不満の残る演技での新シーズンの船出だ。

 フリーの新演目「愛の夢」のお披露目で目立ったのはジャンプのミス。「練習では手応えを感じている」というが、久しぶりの試合の緊張感からか、珍しく2度も転倒した。得点も伸びず、女子6人中5位の92・44点だった。

 初めて浅田の試合を見守った新コーチの佐藤信夫氏は「練習ではうまくいっているのに本番ではうまくいかない。一つ一つを徹底的にやり込んでいきたい」。グランプリシリーズ、全日本選手権、そして世界選手権へ。浅田が「新しいスタート」と位置づけるシーズンの本格化はこれからだ。

2010年10月3日12時5分 朝日新聞

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ジャパンオープンは日本、北米、欧州の3チーム(1チームは各男女2名ずつの4人)で戦う団体戦。
ISU主催試合ではありませんが、ジャッジや採点はISUのスタッフが行います。
2008年まではシーズン終了直後に行っていましたが、昨年2009年よりシーズンイン直前に日程を変更。従ってこの試合は出場する選手にとって、自分の今季のプログラムや演技がISUのジャッジにどう評価されるかという試金石になる試合となりました。
団体戦ですし、プロ・アマ混合という変則形式の一種「お祭り」的イベントでもありますが、選手にとってはちょっとプレッシャーのかかる試合になりつつあるかもしれません。

今年の出場選手は以下の通り。

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*Japan Openサイトより。

怪我の為、出場選手が2名変更になっています。
シンシア・ファヌフ選手は長洲未来選手(アメリカ)の、ユリア・セベスチェンさんはラウラ・レピスト選手(フィンランド)のピンチヒッターとして出場してくれています。
怪我をした二人は、双方とも今シーズンも更なる活躍が期待されているだけに心配です・・・。一日も早く良くなりますように。
また、セベスチェンさんは五輪に長野-ソルトレイク-トリノ-バンクーバーと4大会出場という大ベテランで、昨季で競技を引退されています。そんな中いきなり(と思う)の呼び出しに応じ、試合の、しかもフリープログラムをまとめ上げてきて下さったことは素晴らしいと思いました。


JAPAN OPEN 2010/出場選手まとめ

これは変更前のメンバー。
このメンバーでの試合も見てみたかったですね~。


ここから、それぞれの選手の私なりの感想を述べたいと思います。
また、動画が上がっていない選手が多いので、その場合は参考として別な試合やショー等で同じプログラムを滑った時の動画を貼り付けておきます。

ジェフリー・バトルさんは、私が今まで見た彼の演技の中で一番といっていいほど悪い出来だったと思いました。
ジャンプがあまり決まらず、スピンも少しミスがあったりして、いつものような滑らかさ、優美さというのがあまり感じられなかったのが残念です。バトルさんがスピンをミスしたというのは、私は初めて見たように思います。
ですが最後までチーム北米のリーダーとしてチームと場を盛り上げてくれていました!


Jeffrey Buttle 2010 The ICE -Glenn Gould Medley

Japan Openの動画がないので、同じプログラムを滑ったThe ICEの動画を貼り付けておきます。


ミハル・ブレジナ選手は初出場。
今季も昨季好評だったフリープログラム「パリのアメリカ人」を持ち越しで使用するそうですね。
彼もジャンプに多少ミスがありましたが、彼の持ち味である高くて軽やかなジャンプを生で見られたのはうれしい限り。
シニア2年目の今季は、これからシニアで戦っていく上で真価を問われる大事なシーズンですね。トップグループの仲間入りをする実力は十分あるように思うので、頑張ってほしいです!

Michal Brezina 2010 World Championship FS -An American in Paris



小塚崇彦選手は去年よりさらに進化しているのが素人目にもよくわかる、素晴らしい演技でした。
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今季の課題のひとつに挙げている4回転にも積極的に挑戦。転倒してしまいましたが片足で着氷はしていて、「惜しい!」という感じ。今季は早い段階で試合でも決められるかもしれません。

Takahiko Kozuka 2010 Japan Open -ピアノ協奏曲第1番

衣装が(小塚選手比で)、キラキラ度が高い!(笑)
でもきっちりと第一ボタンまで留めていて、相変わらず端正な着こなし。去年の今の時期よりも体が絞れているように思ったのは私だけでしょうか?
ですが本当に体全体で演技していて、「すごい!すごい!」と思っているうちにあっという間に終わってしまいました。
足換えの時にホップしてみたり、いろいろなところで工夫があって面白いです。


アダム・リッポン選手はラフマニノフを完璧に演じきり、個人成績でトップ&パーソナルベストを更新する160点を超える得点を獲得!


Adam Rippon 2010 Japan Open -Piano Concerto Op.18 No.1

高橋大輔選手がトリノ五輪の年にフリーで使用した曲ですね。ラフマニノフというと私はこの曲を思い浮かべます。

リッポン選手、素晴らしい演技でした。体をしなやかに使い、音楽に完全に乗っていました。
そして彼の持ち技であるタノジャンプを片手&両手両方ともに成功。文句なく素晴らしい演技で、スタンディングオベーションが起こりました。

オーサーコーチの教え子は、シーズン初戦から絶好調にしてくる選手が多いですね。キムヨナ選手もそうでした。
これは結構私としては不思議なのです。普通フィギュアスケート選手はシーズン初戦は必ずしも調子はよくありません。
シーズンに入り試合をこなしながらジャッジの評価と自分の演技を照らし合わせつつ細かい調整を重ね、グランプリファイナルや国内選手権、最終的に世界選手権で最高の演技ができるように演技を積み上げ、磨き上げていくのが普通です。
ですが今回のリッポン選手も、もうピークと言っていいほどの出来栄えでした。

普通なら今ピークが来てしまうと肝心の年末~3月の時期には調子が落ちたり、疲れたりしてしまいます。今ピークを持ってくるのは、考え方によっては「調整ミス」ともいえます。
ですがオーサーの教え子はシーズン頭にまずピークを持ってくる。そこに彼の戦略を感じます。

シーズンイン直後には選手はまだプログラムを滑りこみ切れておらず、調子はまだまだ上がっていない人がほとんどです。その中で(今回のリッポン選手のように)完璧な演技をする選手がいれば、そのインパクトは非常に大きくなります。
そしてジャッジに「この選手の演技は素晴らしい」という強烈な印象(刷り込みに近い)を与え、次回以降の試合において、潜在意識的にジャッジの中でのその選手の評価を底上げさせることに成功しているように思えます。これにはオーサーの意図を感じるのです。また、実際問題としてこれは結構心理的にかなり有効に働いているように思えます。シーズン半ばで多少調子が落ちても、そういう「先入観」でいくらか点の落ち込みを凌げる、みたいな。

そこまでオーサーが意識して選手のコンディション調整を行っていなかったとしても、彼の指導方針として、「新しいことや難易度の高いことにはあまり挑戦させず、今の持ち技を磨いて見栄えを上げてGOEやPCSを稼ぐ」という太い柱があります。
この時期にあれだけ完璧な演技を見せられるということは、要するに選手に新しいこと、または難しいことへの挑戦をさせていない、ということにもつながるような気がするのです。

リッポン選手はジャンプなどの技術も高く、表現力も非常にある本当に素晴らしい選手です。私も大好きで、今後の成長を非常に楽しみにしているスケーターのひとりでもあります。
彼はニコライ・モロゾフに師事していましたが、2009年からはブライアン・オーサーのもとで練習しています。
しかし、まだ若い彼が、もし今述べたような方針のもとで指導を受けているとすれば、彼の能力はここで頭打ちになってしまうのではないかと心配になりました。
まだ彼には伸びしろがいくらでもあると私は思っているのですが、もし本当に私の考えている通りなら、試合では点数を稼げても、その未開の能力はすべてを出し切ることは難しくなってしまうのではないかと。
私の杞憂ならいいのですが、彼の演技があまりに(この時期にしては)素晴らし過ぎたので、彼の演技が大好きで、彼にものすごく可能性を感じる身としては、なんか「凄すぎて怖い」みたいな余計な心配が頭をもたげ、複雑な心境になってしまったりもしました。


そういうことをつらつらと考えていたところ、氷上にプル様登場。
彼は現在ISUより選手資格を剥奪されており、ISU主催の試合には出られない身です。今シーズン試合が出来るかは(先日資格復活への申請を行ったとのことですが)まだ全くわからない状態です。
そういう状況の中で彼は今季のプログラムを用意しているのだろうか、一体何を滑るのかな?とぼんやり思っていた時。

曲が始まったとたん、私は本気で、本当に素で叫びだしそうになるのを必死にこらえました。
なんとあの伝説のプログラム、「ニジンスキーに捧ぐ」が始まったのです。


Evgheni Plushenko 2004 Russian Nationals -Tribute to Nijinsky

2003-2004年のフリープログラム「ニジンスキーに捧ぐ」。彼の代表的なプログラムのひとつです。
これは2004年ロシア選手権のものですが、ジャッジが(国内選手権とはいえ)芸術点に全員6.0(当時の採点基準は6.0点満点)、技術点も」5.9と6.0しかない、という驚愕の点数を出したというものすごいプログラムでした。


まさか「ニジンスキー」を生で見られるとは!!!
私はすごくコーフンして、「~!!!!」と無言の叫びをあげていたのですが、隣で母は私が発狂したと思ったかも知れません(笑)
母もプルシェンコの演技は結構楽しみにしていたのですが、「素晴らしいね~」と申しておりました。
もちろん、上に貼り付けた動画のようなバリバリにキレッキレの演技ではありませんでした。彼の体は故障や手術を経ており、はっきり言って競技をするのはかなり厳しい時もきっとあるのでしょう。
ですが、私は彼がそれにも拘わらず「ニジンスキー」を演目に選んでくれたこと、ビールマンやスパイラルにも挑戦して見せてくれた気概に、もう「感謝」と言っていい感情を持って見つめていました。本当に眼福という気持ちでした。

また、彼は自分の演技ではない時にも常にカメラと観客に対してサービスを忘れることはありませんでした。自分のチームの選手が演技を終えると誰よりも早く「ブラボー」と声を上げたり、何かしらちょこちょことオモシロをアピール。お約束の必殺技「ワタシハ スケート チョットデキル」もしっかりとやってました(笑)
この夏の日本長期滞在で日本語をかなり覚えたとみえて、なんか他にもいろいろとカメラに向かって日本語をしゃべってましたねー。
母は「あの人あんなに面白い人だったのね。試合だけ見てるとわからないけど」と笑っていました。
プル様ありがとう!!!


「知ってる日本語すべて出し切りました」って感じですね(笑)
「ワタシハ スケート チョットデキル」はもうすっかり持ちネタです(笑)



高橋大輔選手は今季「ラテン」がテーマ。SPはマンボやサンバ、フリーはタンゴと、最高濃度のシーズンになりそうです。
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ラテン系に髪も伸ばし、衣装も髪型も暑苦しさ(笑)があってイイ感じでした。

「SPとフリーを同じように見せず、違いを出せるようにしたい」と語っていた高橋選手。
今回ジャパンオープン(とNHK杯)のチケットを取ろうと動いたのは、実は高橋選手の演技を現役のうちに一度は見ておきたいという気持ちが大きく働いたせいもありました。
なのでとっても楽しみにしていたのですが、期待を裏切らない素晴らしい演技でした。

何より、4回転トウループを鮮やかに成功させたことで、会場のボルテージは一気に上がりました!
本当に、完璧なジャンプでした。ちゃんと空中で回りきって、余裕を持って降りてきたのがはっきりとわかりました。


Daisuke Takahashi 2010 Japan Open - Invierno Porteño(ブエノスアイレスの冬)

確かこの曲は2年前くらいにジェレミー・アボット選手が一部使用していたように思います。哀愁と色気があり、また同時にスピード感もある良い曲です。

身のこなしもキレがあり、本当に氷の上で「踊る」ってことは可能なんだなあ、とうっとりしながら見ていました。
サーキュラーステップの時、体は止まらずに動き続けているけれども、ところどころピタッとポーズが決まっているところがあり、シビれました。タンゴというと激しい曲調をイメージしがちですが、この「ブエノスアイレスの冬」はそういうイメージよりは結構抑えめの曲調の大人なアレンジですね。これから更に滑り込んで良くなっていくのが本当に楽しみです。


ここで男子の部が終了。休憩をはさんで女子の部がはじまります。
しかし、私たちは休憩になっても席を離れませんでした。
なぜなら、去年もみんながトイレや売店に走り出したところで、いきなりハーフタイムショートしてゲストスケーター達の演技が始まったからです。
今年も昨年同様、プロスケーターの本田武史さん、荒川静香さん、そしてキャシー&クリス・リードイ姉弟の演技が始まりました。
これって、もっと周知させないと、滑る人がちょっと気の毒だと思うんですが・・・。


リード姉弟は、アダムスファミリーのサントラの曲でした。今まで私が見た中で、一番よかったと思いました。キャシーにミスがちらほらありましたが、プログラムとして面白かったです。衣装も凝ってたし。
あれは競技用なのかEXなのか?また見たいなと思います。
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この写真は今回のものではないですが、二人とも衣装は黒でした。クリスは黒いドラキュラっぽいタキシード、キャシーは蜘蛛の巣がモチーフになったセクシーなドレスで、素敵でした。


本田武史さんもバラードをしっとりと演技。
私は本田さんの滑りを生で見るのは初めてだったのですが、すごく滑らかな滑りにびっくりしました。
なんか4回転とかの印象が強く、ジャンプがすごい!というイメージが大きかったのですが、スケーティングが本当にやさしくて、見ていて本当に気持ちよかった。
やっぱり本田さんが日本選手(男子)を引き上げた、彼が道を切り拓いたというのを真に理解できたような気がしました。
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去年のジャパンオープンでは試合の方で参加していました。
ところで中野さんはお元気かなあ・・・。


そして荒川静香さんは源氏物語の「夕顔」をテーマにしっとりとした美しい舞を見せてくれました。
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美しい!


動きが洗練されていて、所作ひとつにしても考え抜かれているな、というプロフェッショナルらしい演技を見せてくれました。
これ、アメリカのアイスショーとかでやったらウケそうですよね!
ただ、ちょっと音楽や衣装のテイストが「源氏」というよりは中国っぽい気も少ししました。帰宅後放映を見て「あ、これって源氏だったんだ」と思ってしまった私っていったい・・・。

内容的には、音楽がすごく東洋的な感じで雰囲気はすごく出ているのだけど、入っているエレメンツの量というか、内容の濃さとしては私個人的には少々物足りない感じがしました。
最近現役選手のアイスショーの演技ばかり見ているので、自分の中でのハードルが高くなってしまっているのかもしれませんが。
また、荒川さんがことあるごとにいろいろな媒体でキムヨナ選手を絶賛しているのをよく見聞きしますが、今回の演技を見て、荒川さんとキムヨナ選手は選手としてのタイプ(姿勢)は全く異なりますが、好む演技のタイプ、傾向(雰囲気重視)というのは似通っているように感じました。だから彼女はキム選手の演技が好きなのかもしれないな、とちょっと思ったりしながら見ていました。


Shizuka Arakawa 2010 Japan Open -"Yugao" from The Tale of Genji

「魅せる」ことがショーでは最重要課題ですから、プロスケーターとしての荒川さんのアプローチは決して間違ってはいないと思います。一方で彼女は「今持っている技のレベルを落としたくない」とかなりストイックに鍛錬されているということですし、これからも素晴らしい演技を見せてくれることと思います!


そうこうしているうちに、女子の部がはじまりました。
長くなったので、女子の部は次に書きます。

→熱狂!Japan Open 女子編へ



<参考リンク>
木下工務店カップ Japan Open 2010

<関連コラム>
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by toramomo0926 | 2010-10-03 21:11 | フィギュアスケート


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