NHK杯、男子SP
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NHK杯男子ショートプログラム(SP)を今見終わり、コーフンしております(笑)女子もすごかったけど、男子も素晴らしいメンツがそろっています。
高橋大輔選手が余裕とも思える圧巻の演技で首位に立ち、ジェレミー・アボット選手も生まれ変わったようにキレのある演技を見せてくれました。新しい人もベテランも、持てる力を出し合った素晴らしい試合だったと思います。


2010 NHK Trophy -ISU Grand Prix
順位と得点詳細。
「Result」でそれぞれの種目の総合順位と総合得点が、
「Entries/Result Details」ではショートプログラム(SP)とフリーそれぞれの得点詳細が、
「Judges Score」ではSP/フリーで各選手の全ての要素の内容と、それにジャッジがどのように得点をつけたかを見ることができます。




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高橋、圧巻の演技でSPトップ!羽生は5位/フィギュア

 フィギュアスケート・グランプリシリーズ第1戦・NHK杯(名古屋・日本ガイシアリーナ)男子ショートプログラム(SP)でバンクーバー五輪銅メダルの高橋大輔(24)=関大大学院=は78・04点で圧巻の1位、羽生結弦(15)=東北高=は5位につけた。
 高橋はジャンプで1度手をついたが、全体的には安定した演技。“世界一”とも言われる得意のステップで会場を魅了し、78・04点をマークしてトップに立った。

 滑り終えた高橋は「お客さんが乗ってくれたので気持ちよく滑れた。後半はバテてステップが甘くなった。ジャンプのミスもあり残念だったが、得点が思ったより出て嬉しかった」とコメント。24日に行われるフリーは「改善していくべきところはたくさんある。明日のフリーは後半の部分を丁寧にやっていきたい」と意気込んだ。

 今年3月の世界ジュニア選手権で優勝し、シニアデビューとなった羽生は持ち味の柔軟性を生かし、15歳とは思えない華麗な演技を披露。69・31点をマークして5位につけた。フリーについては「スピードのある演技をして、得点を伸ばしたいです」とコメントした。

 また、無良崇人(19)=中京大=は63・20点で9位だった。

サンケイスポーツ 10月23日(土)13時49分配信

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無良崇人選手は9位スタートですが、私は彼の滑りが年々好きになってきています。
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シーズン初戦で4-3のコンビネーションジャンプに成功!!!素晴らしくきれいに決まりましたが、他の2つのジャンプでミスがあり、点が伸びませんでした。
ですが彼は年々滑りが美しく丁寧になっていると思います。以前のダイナミックさや体を大きく使った演技はそのままに、滑りの粗い感じがなくなってきてますよね。身体を大きく使って演技する選手はそれだけで見入ってしまいます。後半ちょっと疲れてきた?という感じでしたが、フリーも頑張ってほしい!

Takahito Mura 2010 NHK Trophy SP -La Califfa

無良くん、まだ19歳・・・若い・・・なんか落ち着いてますよね。真央選手と同学年ってちょっと不思議な感じがします。


フローラン・アモディオ選手は4位につけました!
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ジャンプの着氷の時に柔らかく膝が曲がるので、すごく美しいですよね。そしてジャンプの時に軸がまっすぐで、空中での姿勢がとても良い選手。更に、7月のThe ICEに出演していたのを見たときも感じましたが、とてもリズム感が良い踊れる選手です。
今日初めて70点台に載せた選手が彼だったと思います。今季このままいけば彼にとって躍進のシーズンになるんじゃないでしょうか?色男ですし(笑)人気も出そうですね。

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彼はニコライ・モロゾフに師事しているんですね。彼の演技が終わった時、向こう側のリンクサイドでガッツポーズしながら飛び上がるモロゾフがバッチリ映っていました(笑)良い点数が出て、二人ともうれしそう。


Florent Amodio 2010 NHK Trophy SP -Once Upon a Time in Mexico



今季からシニアデビューの羽生結弦選手が堂々5位です!
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顔つきが見る度に大人になっていますね。そして彼はなんというか、話を聞いていると「頭のいい子だなあ」と思ってしまいます。
演技後のコメントも「雰囲気にのまれないようにということを今回の目標に滑った」など、冷静な自己分析と状況判断、そしてすぐに次を見据える切り替えというのがしっかりできていました。先が楽しみですね。
演技もジャンプをしっかりまとめ、ビールマン、ドーナツスピンなどで柔軟性もしっかりアピール。
彼の良いところは滑りはすごく繊細な感じがするけど、弱々しい感じにならないところですね。後半結構疲れていたみたいですが、ジュニアより長い演技時間となるシニアでも、しっかり結果を出してくれそうです。
羽生君を見ると、竹をいつも連想します。風に柔軟にそよいでしなやかだけれど、決して折れない強さもある。これからが本当に楽しみな選手です。
フリーは、ジョニー・ウィアー選手がデザインした衣装で滑るという話も聞きました(読売新聞記事)。明日はいろんな意味で楽しみですね。

Yuzuru Hanyu 2010 NHK Trophy SP -White Legend



カナダのショーン・ソーヤー選手は見どころたっぷりのプログラムを披露、見事3位に飛び込んでいます!
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彼は25歳のベテランということですが、恥ずかしながら私はこの方を初めて認識しました・・・。
でも見ていて釘づけでしたよ。かなり面白い技をいろいろ繰り出し、またキレのあるきっちりと踊った演技で見事でした。

演技中盤、いきなりクリムキンイーグルを!!
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手は氷についているようですが、完全なクリムキンぶり。試合でなかなかここまでのポジションをする選手はいないので、かなり新鮮でした。「技と技のつなぎ」としては充分すぎました。


*クリムキンイーグルというと、手はつかずに腹筋&背筋だけで姿勢をキープするのが一般的です。
これは今大会にも出場している(SP10位)のアドリアン・シュルタイス選手(スウェーデン)のクリムキンイーグル。

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そして最後のスピンで、見事な180度のスプリットを披露!
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女子でもここまできれいに足が上がり、軸足もまっすぐなポジションを取れる選手はかなり少ないです。素晴らしい柔軟性。そしてステップや振り付けなども、きっちり踊りをレッスンしているな、というのが良くわかる体の動きでした。
とても勤勉な選手だと思います。だからこそここまでキャリアを続けていられるのでしょうね。フリーも是非私たちを驚かせてほしいです。

Shawn Sawer 2010 NHK Trophy SP -Assassin's Tango



デニス・テン君は大人の演技に挑戦、6位です!
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今季SPの振り付けはステファン・ランビエールだとのこと。なるほど、そう言われるとよくわかる気がします。特にスピンとか。
テン君も童顔ながら、苦み走った大人の雰囲気を出せるようになってきていますね。拠点をアメリカに移し、名伯楽フランク・キャロルさんに師事。だんだん彼の思う世界を表現できるようになってきているように思います。
あんなに激しく濃い世界を表現しながら、素はとてもチャーミングな男の子というのもいいですよね。また日本でアイスショーに出てほしいなあ。

Denis Ten 2010 NHK Trophy SP -Primavera Porteno



そして、待ってました!ADSL!!
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髪が伸びてる!!ますますアウトローな感じに・・・(笑)
今季のSPは「Scuba」という曲。カッコイイ曲でした。また、いつものように動きにちょっと面白いものを取り入れていて、見入ってしまいました。「くつろぎステップ」と呼ばれる彼のスローなステップも、今日はちょっとスピード出てましたか?スピンもよかった。
でも、全然点が出なかった・・・SP10位です。
でも、フリーでは4回転に挑戦してくれるかもしれませんね。本来はSPでも最終的に4回転を入れてくる予定のようなので、シーズンが進むにつれて点も出てくるのではないかと思います。

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この最後のポーズがよかった。表情もばっちり犯罪者っぽいし(笑)これから更にゾクゾクするプログラムになっていきそうですね。
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日本で大人気のルトコフコーチ。お元気そうで何より。NHKさん、放映してくれてありがとう!!


Adrian Schultheiss 2010 NHK Trophy SP -Scuba



高橋大輔選手は、本当に初戦とは思えないほどの円熟した演技を見せてくれました。
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彼は本当に試合を楽しんでいるように見えました。本人も緊張はしたけど落ち着いてできた、と話していた通り、見事に心身のコントロールが出来ていました。彼は今一番競技を楽しめているんじゃないかと思います。五輪と世界選手権で結果を残して、ある意味いろんなものから自由になったように思います。
彼は昨季で引退するつもりで競技をしていました。しかし五輪後に手ごたえをつかみ、また世界選手権が自国開催ということもあり、とりあえずもう一年続けることに決めた。なので彼にとっては言い方は悪いですが「おまけ」のシーズンで、本当に自分のために費やす1年ということなのだと思います。
彼の選手生命の危機を迎えるほどの大けがを乗り越えてのたゆまぬ努力があったからこその境地ですね。ここまで来れば本当に楽しいのではないかと思います。

Daisuke Takahashi 2010 NHK Trophy SP -Latin Medley



ジェレミー・アボット選手は昨季後半ジャンプのミスが目立っていましたが、今回はものすごく気合の入った演技を見せてくれました。
2位スタート、75点以上にのせてきたのは高橋選手とアボット選手だけでした。
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彼も今季タンゴを選択。今季は男女ともにラテンとピアノ曲がひしめき合うシーズンになりそうですね。
それにしても、タンゴをきっちりと踊りこなしていましたね。間違いなく氷の上だけでなく、舞踊としてのタンゴもしっかりと学んできたなという感じがしました。手の動かし方などがランビエールの「ポエタ」を連想させましたが、それだけ本当のタンゴに近い振り付けを採用しているということなのでしょう。「ポエタ」はプロのダンサーが主に振り付けを担当したプログラムでしたし。
彼の上品な身のこなしとジャンプ、滑らかなスケーティングが戻ってきたのが本当にうれしい。そしてキス&クライでの佐藤有香さんとのコンビが今年も見られるのはうれしい限り。

*追記:アボット選手のこのSPは、やはりステファン・ランビエールの「ポエタ」を手掛けたフラメンコダンサー、アントニオ・ナハロ氏によるものだそうです。

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有香さんの笑顔は本当にいいですね。最初二人が組むと知った時はびっくりしましたが、今はもうすっかり二人でいる姿もなじんでます。


Jeremy Abbott 2010 NHK Trophy SP -Viejos Aires

スピンの内容に取りこぼしがあり、一つ0点になっているスピンがあるとのこと。もったいない!!!それがなければ高橋選手も相当危なかったですね。フリーはこの二人が間違いなくトップを争うことになるでしょう。


とても見応えのある、楽しい試合でした。そしてNHKということで、実況・解説にストレスが溜まらなかったのもよかった(笑)
明日のフリーではどんな演技を見せてくれるのか、選手の顔ぶれがとてもカラフルなので本当に楽しみです。


<参考リンク>
2010 NHK杯フィギュア -NHKオンライン *動画やインタビュー、ルール解説など情報が満載。
2010年NHK杯国際フィギュアスケート競技大会 -日本スケート連盟 大会概要など。


<関連コラム>
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by toramomo0926 | 2010-10-23 18:28 | フィギュアスケート


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