NHK杯、女子フリー
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NHK杯は女子シングルの競技が終了。
優勝はSPから1位を守り、2008-2009年ロシア杯以来2年ぶりのグランプリシリーズでの優勝を手にしたカロリーナ・コストナー選手、2位には手堅くまとめたレイチェル・フラット選手、村上佳菜子選手がシニアデビューの試合で見事3位、表彰台に立つという快挙を成し遂げました!
おめでとうございます!


2010 NHK Trophy -ISU Grand Prix
順位と得点詳細。
「Result」でそれぞれの種目の総合順位と総合得点が、
「Entries/Result Details」ではショートプログラム(SP)とフリーそれぞれの得点詳細が、
「Judges Score」ではSP/フリーで各選手の全ての要素の内容と、それにジャッジがどのように得点をつけたかを見ることができます。




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村上3位表彰台!真央ジャンプ戻らず8位…フィギュア NHK杯
スポーツ報知 10月23日(土)20時51分配信

 ◆フィギュアスケートGPシリーズ第1戦 NHK杯第2日(23日・名古屋市ガイシプラザ) 女子フリーを行った。SPで56・10をマークし2位発進した村上佳菜子(15)=中京大中京高=は序盤のコンビネーションジャンプを成功させ、その後も果敢に演技したが、ジャンプで3回転倒するなどいまひとつ歯車がかみ合わず、フリーは94・06の5位。しかしトータルでは150・16で3位に入り、シニアデビュー戦で表彰台に上がった。

 前日のショートプログラム(SP)で47・95の8位と出遅れた浅田真央(20)=中京大=はこの日もジャンプに精彩を欠き、演技最初のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を含め2度の回転不足、2度の転倒と調子は戻らず。細かいステップやスピンなどではバンクーバー五輪銀メダリストらしい優美さを見せ、演技構成点では56・22と全12選手中2位の高得点を挙げたが、ジャンプの失敗による技術点の伸び悩みに泣いてフリーも85・45の8位にとどまり、トータルでも133・40でSPから順位は上げられず8位のまま。GPシリーズの上位6人で争うGPファイナル(12月・北京)進出が厳しくなった。

 SP1位のカロリーナ・コストナー(イタリア)がフリーでも107・34の2位でまとめ、トータル164・61で優勝を飾った。

 村上佳菜子「大きな大会で緊張していて、いい滑りができなかった。表彰台に乗れたのは満足だけど、出来には全然満足できない。次は内容も満足できるように頑張りたい」

 山田満知子コーチ「(村上はリンクに)出てきたときにどうしよう、どうしようと泣きだしそうだった。自分の出番を待つごとに、精神的に参ったんじゃないか。もう少し自信を持って臨む予定だった」

 浅田真央「(ジャンプは)狂ってはいない。練習でもいい方向にはいっている。まだ自分のものになっていないのが一番の原因。(佐藤)先生も言うように積み重ね。すぐに練習して、積み重ねていきたい」

 佐藤信夫コーチ「(浅田は)やはり心理的なところがある。わたしには計り知れないが、甘い言葉をかけても解決にならない。練習して疲れている中でちゃんとできるようになれば復活できると思う」

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カロリーナ・コストナー選手が大崩れすることなく演技をまとめ、逃げ切りで優勝を飾りました。おめでとうカロリーナ!!!
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ジャンプなどに細かい乱れやミスはあったものの、転倒せずにこらえました。彼女は最近フリーで転んでしまうことが多かったのですが、SP、フリーで大きなミスなく初戦からきっちりまとめられたことはよかったし、自信になったと思います。
ただ、ジャンプ構成が高難度ジャンプであるルッツとフリップを一つも入れていないんですよね。それが気になりました。これからシーズンが深まるにつれて難度を上げてくるのかもしれませんが、トップスケーターとしてはルッツかフリップ、どちらか1回だけでも入れてきてほしかったなと思います。
とはいえ、つらいシーズンが続いていた彼女の笑顔は本当にうれしかった。本当におめでとうございます。

また、彼女は真央選手が今回成績を残せなかったことについて、このように話していました。

 (浅田真央の)演技は見られなかったのだけど、がんばって乗り切ってほしいと思う。彼女ができることはみんなが知っている。私が五輪でだめだったように、誰もが似た経験をすると思う。こういうときフィギュアスケートって自分にとって何なんだろうと感じるし、私は続けるかどうかで葛藤した。彼女は力強くカムバックすると思う。

自らもジャンプに苦しんだシーズンを送って来た彼女だからこその温かいコメントですね。カロリーナもすごく気持ちのいい、スポーツマンシップにあふれた素晴らしいアスリートです。インタビューを読んでいてもいつも裏表のない、明るい人柄が感じられて大好きです。今回の衣装も薄い色合わせ
なのがとても上品でしたね。

Carolina Kostner 2010 NHK Trophy FS -L'Après-Midi d'un Faun



レイチェル・フラット選手は堅実な演技で銀メダル!
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彼女は大崩れしないので、あまり順位を落とすことはないですね。今回も入れる予定の3-3は入りませんでしたが、初戦なんで仕方ないです。間違いなく今後きっちり入れてくるでしょう。かわいらしい外見ですが実際はすごく体の強い、ポテンシャルの高い選手です。

ですが、今回の演技も表情の作り方や振り付けなどが「小粋にウキウキワクワク系」な感じで、ちょっとメリハリがないのが気になりますね。SPとフリーでは演技内容を変えたほうが私はいいような気がします。かわいいんだけど、「また?」と思ってしまったのも事実なので。
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また、彼女は技術的には素晴らしいものを持っているのだと思うのですが、あまり見栄えがしないんですよね。スピンもレベルは取れているのかもしれないけど、ビールマンやキャッチフットなどのポジションがあまり美しくありません。もともと体があまり柔らかくないのかもしれませんが、見せ方をもう少し考えれば更に素晴らしいと思います。
レイチェルはスタンフォード大学への進学が決まっているとのこと。彼女は才媛でもあるんですね。素晴らしい両立ぶりです!!本格的に大学生活が始まると忙しくなりそうですが、競技は辞めないで続けてほしいなあ・・・。


Rachel Flatt 2010 NHK Trophy FS -Slaughter on Tenth Avenue

「十番街の殺人」ってすごいタイトルですね。推理劇的なミュージカルなのかな?こういう時、知識がある方はきっと二度おいしいんでしょうね。


SPで完璧な演技を見せ鮮烈デビューした村上佳菜子選手は、フリーで3度転倒してしまいましたが見事表彰台をゲット、初戦で銅メダルを獲得です!おめでとうございます!
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SPとフリーでメリハリのある演技でしたが、やはり緊張してしまっていましたね。顔つきがSPの時と全く変わってしまっていました。
最初の3-3を決めたときは「いける!」と思ったのですが、うーん、やっぱりシニアの洗礼を浴びてしまいました。シニアのフリーの時のバックスペースに漂う緊張感はものすごいものがあると聞きますし、滑走順も最後から2番目だったので、つらかったでしょうね。
以前荒川静香さんも話していましたし、今回八木沼純子さんも言及していましたが、「優勝(または表彰台)が見えてしまった時に欲が出る、または硬くなりすぎて失敗してしまう」というものにはまった気がしました。

でも本人も話していた通り、これも経験。成功も失敗も、今年はありとあらゆる経験をすればいいと思います。
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スパイラルは真央選手が例年使うポジションと同じものを持ってきましたね。高得点が狙えます。

ちょっと助走の時などが背が丸まって前のめりになる感じがあるのと、山田門下生の宿命であるルッツのエッジエラーが今後課題になってきそうですね。また個人的には、ジャンプ前に片足を振り上げる感じに曲がってしまうのがちょっと気になるのですが、恐れずに今季は突っ走ってほしいと思います。頑張れ!

Kanako Murakami 2010 NHK Trophy FS -The Mask of Zorro




キーラ・コルピ選手は4位。
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ジャンプの失敗が響いてしまいましたね。後半もちょっと疲れてしまったようで、スピードと身のこなしにキレが失われてしまいました。
でも美しい滑りは素敵でした。
それにしても、毎年毎年4分のプログラムを滑っているのにこれだけ疲れるというのを見ていると、フィギュアスケートって本当にハードなスポーツなんだなと改めて思い知らされます。

コルピ選手もシーズンが進んでジャンプがきちんと入るようになれば、すごく優美で素敵なプログラムになると思います。衣装も氷や彼女の肌、髪の色にとてもよく合っていますね。次の試合も頑張ってほしいです。

Kiira Korpi 2010 NHK Trophy FS -Evita



ところで、タイムディダクション(演技時間オーバーでの減点)の件が私にはずっと腑に落ちませんでした。なので(遅まきながら)調べてみました。
今回、コルピ選手はジャンプミスのためか演技が遅れてしまっていたようで、最後のスピンは結構止まり方が急でした。解説の刈谷さんの話によると「10秒オーバーで減点となるところを9秒で止まりました」と話していました。
これを聞いたとき、私には真央選手のSPでのタイムデダクションを受けた理由がますますわからなくなりました。真央選手は最後、音と動きは合っていましたから。
トップ選手は少しでも要素を多く入れるため、規定時間通りではなく最初から曲の終わりを少し多めに時間設定することがあります。たとえば女子のフリーなら規定は4分00秒ですが、02秒とか03秒にするということですね。
そういう状況なので確かにミスなどで演技が遅れればタイムデダクションを得る危険は増えますが、10秒オーバーはありえない。今日ネット報道で「1秒オーバーしたため1点減点」と書いてあったところがありましたが、いくらなんでも2分59秒前に音楽終了を設定しているとは思えませんし(危険すぎる)、音楽から1秒も遅れているようには見えませんでした。どういうことなのか?それともSPとフリーではオーバータイムの制限が異なるのか?・・・などと考え出すとわからなくなり、調べてみました。

<タイムデダクションの規定>
SP:男女共に2分50秒以内

フリー:
男子が4分30秒(±10秒)以内
女子が4分(±10秒)以内


と決まっていますが、このオーバーは「選手が動ける時間」でカウントされます。
「使用曲の時間」ではなく「選手が動ける時間」なので、曲が2分50秒(男女SP)、4分40秒(男子FS)、または4分10秒(女子FS)を多少オーバーしていても減点対象にはならず、制限時間内に動作を停止していればOK


ということなのだそうです。

真央選手が2007年のフリーで最後のポーズを決めて演技終了してから、腕を元に戻す時にゆっくり優雅に動かしたためにその動きも演技とみなされてタイムデダクションの減点を受けた、ということがあったように記憶していますが、それはこのルールに抵触したとみなされたんですね。確かフランス杯でシーズン初戦だったので、ジャッジもどこまでが演技なのか分かっていなかったことで起こった悲劇でした。

ということで、SPは規定時間きっちりに終わらないと(動きを止めないと)ダメ、ということのようですね。でも、それでも今回の真央選手のSP(と昨季四大陸のSP)はなんか屁理屈みたいな点の引き方だと思います。


アシュリー・ワグナー選手はフリーで崩れしまいました。5位です。
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演技を初めて最初のジャンプを跳ぶべく加速した時にちょっと氷に躓いたように見えて「あれっ?」と思ったのですが、ジャンプの失敗が重なってしまいました。途中から明らかにスピードが落ち、終盤のスピンでは姿勢を崩してしまいました。刈谷さんも話していたように、どこか怪我をしたのではないかと心配です。

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演技に納得はしていなかったと思いますが、キス&クライではファンからもらった花束を見せて「Thank you~♪」と笑顔を見せていました。いい子ですね~。

どの選手もそうですが、シーズン初戦は自分と演技、そしてジャッジからの評価を試す意味合いが強いですよね。今回の演技をもとに、次へ調整していってほしいです。頑張れ!

Ashley Wagner 2010 NHK Trophy FS -Malaguena



浅田真央選手は8位。
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変な話ですが、フリーの演技を見て、私はなんだか安心したというか、彼女は確実にこの困難を乗り越えられるという確信みたいなものを感じました。SPを見たときは、こういう展開を予想はしていたけれどやはり実際見ると痛々しかったし動揺もあったのですが、フリーの演技のジャンプ以外の要素の美しさと、ジャンプを転んでも、すっぽ抜けても気持ちを切らさずに全てのジャンプを滑りきった姿に、最後はこの人は絶対これを超えてくるな、という手ごたえみたいなものを感じました。スピードもSPよりは出ていましたし、ショートよりも気持ちを強く持てているように見えたからです。
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こういうシーズンだからこそ、うまくいかなくても全種類のジャンプを最初から跳び続けることに意味があるのかも知れません。
ファイナルは恐らくもう出場はかなわないでしょうが、こういう取り組みをする以上真央選手にはそれはわかっていた筈ですし、そのあたりは動揺はないでしょう。本人には辛い試合だったと思いますが、彼女が何度も言っているように「積み重ね」が重要なのだと思います。
佐藤コーチの「こんなに怖いかじ取りは初めて」という言葉が今更に説得力を持ってよみがえるような状況ではありますが、次のフランス杯はグランプリシリーズ最終戦ということで少し時間が空きますから、頑張ってほしいと思います。
ただ、怪我と自分を追い詰めすぎてしまうことだけは気を付けて。

Mao Asada 2010 NHK Trophy FS -Liebestraume


なんだか、今季から各ジャッジが出すGOEの-3がやたら増えた気がしませんか?
以前は転倒しなければ-3とかなかったですが、今大会は回転不足をくらったジャンプが軒並み-3評価を受けているような気がします。
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浅田真央選手のフリーの得点表。(クリックで拡大表示されます)
2番目の要素である3回転フリップ(3F)が回転不足(すっぽ抜けた)分はのきなみ-3です。
また、下の赤い□で囲った部分は「Deduction(減点)」なのですが、転倒で-2のほかに、フリーでもタイムデダクション(得点表の表示は『Time Violation』)で-1点を取られています。



なんかISUって選手を騙そうとしているみたいというか、毎年コロコロと細かく変更されるルールに必死で対応しようとしている選手に対して、非常に不誠実だと思うんですが。
「中間点」とかよくわからない救済策みたいなものを用意しておきながら、実際は運用でGOEをごっそり引く、というやり方なのかもしれません。
「回転不足でも減点の幅を小さくしますよ~」とぬか喜びさせておいて、実際はあまり点が出ないようにしている感じです。
更に女子はスパイラルもSPでは消滅、フリーでも秒数が減りました。そのため、女子の演技のバランスが非常に悪くなったように思います。要素が減った訳ですから当然得られる得点も全体的に下がるので、今大会の点数は(初戦ということもあるでしょうが)総じて点が低かった。
なんか本当に、女王様の「世界最高得点」を更新されないようなルールにしてきたのか、と疑心暗鬼になってしまいそうな点の出方ですね。ISUはフィギュアを盛り立てたいのか廃れさせたいのか、本当にわかりません。

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選手のみなさん、本当にお疲れ様でした。初戦は普通の試合以上に心身の疲れが激しいと思いますが、怪我なくこれからのシーズンを乗り切ってほしいと思います。
そして高橋成美・マーヴィン・トランペアが銅メダルに輝いたとの知らせも、うれしかったです!やったね!!
今日は男子のフリーがありますね。今から楽しみです。


<参考リンク>
2010 NHK杯フィギュア -NHKオンライン *動画やインタビュー、ルール解説など情報が満載。
2010年NHK杯国際フィギュアスケート競技大会 -日本スケート連盟 大会概要など。


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by toramomo0926 | 2010-10-24 06:39 | フィギュアスケート


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