「もしドラ」の岩崎夏海氏、浅田真央選手のコラムを執筆(追記あり:2010年12月21日)
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今年文句なくトップと言えるベストセラーもし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(以降『もしドラ』)を書いた岩崎夏海氏が、本日付の日経ビジネスオンラインで「なぜ浅田真央はぼくの胸を打つのか」というコラムを始めました。
今回は「パリで浅田真央さんは「私はスケートが好きなんです」と言った」というタイトル。
岩崎氏は「浅田真央さんの本を書くことなった」と書いているので、書籍として出版される予定のようです。


パリで浅田真央さんは「私はスケートが好きなんです」と言った /岩崎夏海 日経ビジネスオンライン 2010年12月20日 




彼は次の作品について編集者に興味あるテーマを尋ねられ、
「任天堂と、浅田真央さんです」と答えたのだそうです。

任天堂に対してははっきりと自覚的な根拠があったそうですが、当初真央選手については「何故浅田真央に興味があるのか?」と聞かれてもはっきりしない、漠然とした興味、という状態だったそうで、「何に興味があるのですか?」と言われた時に自分でも無自覚にポッと出たのだそうです。
それはフィギュアスケートを特に熱心に見る訳でもない彼にとっては報道やドキュメンタリーで見る彼女が情報の全てであったのが原因でした。そこではジャンプの成否やライバルとの対比ばかりがとりあげられ、「本当は」真央選手がどんな選手で、どんな「人間」なのかがよくわからなかったと。
ですがバンクーバーで彼女の演技を初めて「ちゃんと」見て(そういう方はきっと多いんでしょうね)大興奮し、そして「鐘」の最後、手を高くつき上げたときの表情、そして観客の拍手に応えるまでの十数秒の表情、佇まいに魅せられたのだそうです。

-真央さんは、喜びと悲しみ、希望と絶望がない交ぜになった、何とも言えない表情で天を見上げていた。やがて視線を下に落とすと、やれやれといった表情で両の手を腰に当て、リンクの中央に大儀そうに移動すると、観客の声援に笑顔で応えたのだった。

 その一挙手一投足に、何とも言えない風情が漂っていた。その佇まいに、何とも言えない貫禄が備わっていた。真央さんのその顔は、心の深いところにまで降りていき、そこにあるものを見聞きしてきた人間のそれだった。その過程で、人間としての見栄や体面といったものが全て削ぎ落とされ、魂が剥き出しになった時の、作り物ではない、本当の顔だった。
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 それでぼくは、年来の疑問が少しだけ解けたことを知ったのだった。
 「ぼくは、浅田真央さんに人間の本当の顔を見たのだ。その顔に興味を持ち、なぜそうした顔ができるのかを知りたいと思った。だから、興味を抱いたのだ」
(本文抜粋)

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そして次の本のテーマを「浅田真央」に決め、NHK杯は勿論、フランス杯はパリまで出向いて直接演技を見て、彼女にインタビューもしています。


私は完全なる非理数系人間で、ビジネスにも疎いので「もしドラ」は読んでいませんが、概要はこれだけ騒がれた本なので少しは知っています。
私は「マネジメント」というかなり昔に出た本ながら未だにビジネススタンダードとして今に通じる普遍性のある本を、誰でも読めるように分かりやすく噛み砕いて説明できる
緻密で冷静な頭脳を持つ岩崎さんが、真央選手をどのようにとらえるのかと興味を持ちながらこのコラムを読みました。
そして彼は真央選手や、フィギュアスケートというスポーツまでも、1年弱というこんなに短い間にその本質を深く理解し、更に掘り下げようとしているところにびっくりしました。やはり(いまさらですが)頭の良い方なんだなあと。
そして彼は見たまま、感じたままを素直に受け止めている感じがとても良いと思いました。
素直に受け止めたうえで、それをこねくり回すことなく冷静に分析している。何にも染まっていないまっさらな眼で見ているというのがすごくよくわかる文章です。だからこちらもとても素直に読むことができました。


恐らく日経ビジネスオンラインでコラムを連載し、それをまとめて本にするということなのでしょうが、これは楽しみですね。理系の分析ものになりすぎず、かといって感情や情感だけという本にもならない、素晴らしいものができそうな気がします。

小松左京さんが真央選手に言及した時も思いましたけど、フィギュアの知識があるないにかかわらず、物事の本質を見つめる作業をずっと続けてきた人には、きっと真央選手を「本当に」見ることが出来るんでしょうね。そしてマスコミの報道をうのみにせず「もやもや」する気持ちを共有できるんだなと思いました。

小松左京さんの記事にしろ、今回にしろ、ビジネス関連のサイトが真央選手を好意的に取り上げているものが多いというのも面白いですね。
すごく内容の濃い、良いコラムでした。未見の方は是非ご一読を。


パリで浅田真央さんは「私はスケートが好きなんです」と言った /岩崎夏海
日経ビジネスオンライン 2010年12月20日
 
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毎年フランス杯が行われるベルシー体育館。
内部しかいつも見る機会はありませんが、こんなに素敵な建物なんですね。


*訂正とお詫び
記事アップ当初、岩崎氏が真央選手をテーマにした経緯について「バンクーバーでの彼女の演技に圧倒された彼は、次の作品について編集者に興味あるテーマを尋ねられ」と書きましたが、テーマを尋ねられたのはバンクーバー五輪前のことでした。私の単純な勘違いです。お詫びして訂正いたします。
ご指摘くださったありり様、ありがとうございました。
TB申請に気付いた時には記事を削除されていたので、お返事ができませんでした。この場を借りて御礼申し上げます。


<参考リンク>
なぜ浅田真央はぼくの胸を打つのか   岩崎夏海氏コラム。日経ビジネスオンライン
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら  岩崎夏海著:Amazon.jp


<関連コラム>
「人間的に華があると感じた」  2010年4月28日

小塚嗣彦コーチ、真央選手を評す  2010年12月14日
青嶋ひろの氏の文章について  2010年3月29日
印象深い記事-「浅田真央は挑戦した 「金より立派」これだけの理由」  2010年3月13日
by toramomo0926 | 2010-12-20 09:24 | フィギュアスケート


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