1月1日付の日刊スポーツ、八反 誠という方の記事です。 八反氏は11月、「不振の浅田選手」から話を聞こうと、フランス杯に出発するため中部国際空港に現れた真央選手に「社名を名乗り、話を聞きたいと切り出した」らしい。しかし同じ試合に出場するために同行していた小塚崇彦選手にやんわりと制されたことに怒っているのだ。 ***** 「もっと聞きたい選手の“生声”」 事務所があるのは芸能人だけだと思っていた。だが、最近はスポーツ選手の多くがマネジメント会社=事務所に所属している。 11月、フィギュアスケートの浅田真央選手を中部国際空港で待った。 不振の浅田選手を見つけ社名を名乗り話が聞きたいと切り出した。 すると隣の小塚崇彦選手に申し訳なさそうに遮られた。 「事務所から(しゃべるのは)駄目だと言われてますんで・・・」。 浅田選手は立ち尽くす私に気を使ったのだろう。 「頑張ってきま~す!」とニコニコ笑った。 立ち入り禁止のロッカールームではない。空港は公共の場だ。 もちろん、しゃべってほしいが「しゃべりたくありません」でもいい。我々はどんな時でも機会をうかがい、問いかける。 一方で、選手の側はそれに必ず答える義務はない。確かに直撃される側は気が重いだろうが、 我々はその瞬間に、活路を探ってチャレンジし続ける。 わずかなチャンス、わずかなタイミングで、どう思っているのか?何を考えているのか?と食ら いつき、時に対話に持ち込み、肉声を取るのが記者の仕事だと思う。生の言葉を材料に情報を伝えたい。 私たちは、その瞬間のためにいる。 超一流の小塚選手に付き人のようなことはしてほしくない。「事務所」という便利な逃げ口上で切り抜けないでほしい。 生身の人間同士として向き合うことになった時、その時には何でもいい、自らの思いを発してもらいたい。 浅田選手は自分の頭で考えて発言できる選手だ。何度か取材した会見では、いつ、どんな時でもこち らの質問に必死で答えてくれた。だからあえて書く。 やりきれなさと、憤りを感じた。取材って、記事って・・・。選手と向き合うことより事務所と仲良くして、 ご機嫌うかがいをすることなんだろうか? マネジメント会社はどこも百戦錬磨だ。殺到する取材を交通整理し、競技に集中できる環境を整える。 選手にとって最高のパートナーなのは間違いない。それを否定しない。 私たち記者も日ごろから世話になっている。 ただ、現場に出ている人間として、もっと選手個々と向き合いたい。事務所でなく、 あなたはどう思っているのですか?と。私は、ここに書いた通りに、こう思っています―。 2011年1月1日 日刊スポーツ記者コラム「これだけは言っておきたい」八反 誠 ***** これを読んだ時、「マスコミって怖~い」と思いました。 真央選手は取材全てをシャットアウトしている訳ではありません。全てを受けているということは勿論ありえないでしょうが、しかるべき時期になれば会見を開き、ちゃんと自分の言葉で話をしています。 その会見の場で、八反氏のいう「あなたはどう思っているのですか?」という「選手の“生声”」を引き出すのが記者の仕事であり、手腕の見せ所というものでしょう。 都合構わず選手に駆け寄ってマイクをつきつけ、やっともらえた一言を(もしくはもらえなかった状況を)好きなように引き伸ばし、尾ひれをつけて記事にするのが記者の本来の仕事ではないはずです。 それに彼は「『しゃべりたくありません』でもいい」と書いていますが、もし小塚選手が割って入らず、真央選手が正直に「すみませんが今はしゃべりたくありません」と言ったとしたら、彼の記事の見出しは「真央厳戒態勢」「真央ピリピリ出国」などとなったことは目に見えています。 この記事は相手にしてもらえなかったことへの逆ギレ、恨み節でしかありません。 話をしないのは、一人のそのような要請に応えるとそれが慣例化し、毎回全員に対応しなければならなくなりキリがなくなるということ、更に話したことをそのまま書いてくれないことに対してマネージメント会社の彼のような記者に対する不信感というのがあるからなのではないでしょうか。 選手の生の声を聞きたければ、事務所に取材を申し込めばいいんです。まともなメディア、マスコミならまず一番にそうするでしょう。 しかし彼はそれが叶わなかった(取材許可が下りなかった)からこのような行動に出たのではないでしょうか?彼が今回話が聞けなかったのは、自分たちのこれまでの行為、記事の書き方の結果であるという見方も可能です。 しかし彼はそのあたりには一切触れておらず、自分の仕事の正当性や公共性ばかりを主張しています。「わずかなチャンス、わずかなタイミングで、どう思っているのか?何を考えているのか?と食らいつき、時に対話に持ち込み、肉声を取るのが記者の仕事だと思う」のくだりは詭弁でしかありません。 そもそも、「選手の側はそれに必ず答える義務はない」と書いているのに、答えてもらえなかったことに腹を立ててこのような記事を書くということが既に矛盾しています。 結局彼がこの記事で言いたかったことは、「社会の代弁者で崇高な任務を負っている記者様の取材を断るとは何事だ」という、脅しにも近い傲慢なものです。 限られた紙面を使って、正式な手続きも踏まず、これまで選手や事務所の信頼を得られなかったことが原因でコメントがとれなかったことの愚痴を書くってどういうことでしょうね。逆にそういう記者だから、正攻法での取材許可が下りなかったのだろうと推察されます。 何より、彼の言う通り空港は公共の場です。 そのような場所で有名人の足を止めて話を聞けば人が集まってくるでしょう。空港という時間に厳しい場所において公共の場所の通行の迷惑になる可能性の高い行為をすることについて、彼はどう思っているのでしょうね? 真央選手に代わって取材を断った小塚選手にも「超一流の選手に付き人みたいなことをしてほしくない」とか嫌味たっぷりに書いていますね。 小塚選手は確かに超一流の選手ですが、そんな彼にそのようなことをさせたのは自分自身であることに彼は気付いていません。 私は小塚選手がこのような対応をしたことに正直驚きました。そして素晴らしいと思ったのですが、常に遠慮深いというか人に気を遣う彼が、ここまで踏み込んだ対応をした。やはり私たちの見えないところでも、カメラマンや記者との攻防はかなり激しいものになっているのかもしれないと彼の行動を見て思いました。素晴らしいナイトぶり(?)でしたね。 記者は本当にピンからキリまでという人々のいる職種だと思います。しかし真央選手はどんなことを言われても、どんな状況でも笑顔を絶やさず、一瞬でもムッとした表情を出さないのは本当にすごい。試合だけでも相当なプレッシャーや心労があるだろうに、こんな人にまで気を遣って、本当にお疲れ様です。小塚選手も、お疲れさまでした。そしてありがとうございました。 小塚選手も日本チャンピオンになりましたし、「たかちゃん」人気は確実に増大しているので、これからいろいろ大変なことも起こるかもしれませんが、頑張ってほしいですね。しかし彼はすごく聡明で冷静なので、きっとうまく対応していくと思います。 佐藤信夫コーチも以前、真央選手のジャンプ修正の経過についてマスコミに尋ねられたとき、 「技術的なことは具体的には言えない。僕が技術的な問題点を一つ言って報道されてしまうと、それが独り歩きしてしまう」と真央選手を過剰な報道から守る発言をしていました。 今真央選手は本当に良い人々に囲まれています。雑音は気にせず、自分の課題だけをみつめていってほしいと思います。 <参考リンク> 「浅田真央にインタビューしようとした記者、小塚に阻まれキレる 」2011年1月3日 *2ちゃんねるの反応をブログにしたもの?のようです。 <関連コラム> 「スケートはミックスジュースのようなもの」-佐藤信夫コーチインタビュー 2010年11月30日
by toramomo0926
| 2011-01-06 08:33
| フィギュアスケート
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