“サラブレッドの宿命”を乗り越えて -小塚崇彦選手
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昨日のNHKサンデースポーツで、小塚崇彦選手の特集がありました。
五輪出場後のオフでTV出演が増え、このたび全日本チャンピオンになったことによって、彼は更に注目される存在になっていますね。このような取材がぐっと増えたと思います。




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「今、最も勢いのあるスケーター」として彼を紹介。
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グランプリシリーズ2戦全勝、ファイナル3位、そして高橋大輔、織田信成の両雄を抑えて今季全日本チャンピオンになりました。

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確かに彼は今季、今までの「日本男子第三の男」から間違いなくステップアップしつつあるという確信を持たせる活躍をしています。


本人も「自分のやりたいことができている」と手ごたえを感じています。
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小塚選手は3歳で初めてスケートを始め、お父様の嗣彦コーチの指導の下、5歳から本格的に練習をはじめます。
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泣いてる(笑)


五輪前から既に何度も報じられている通り、小塚選手のお父様である嗣彦コーチは全日本3連覇、グルノーブル五輪出場経験もある日本のトップスケーターでした。そして祖父の光彦さんは旧満州でチャンピオンになり、帰国後愛知県をフィギュア王国にした礎を築いた人物です。
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小塚選手自身はスケートをやる事を強要されたことはなく、「辞めたいならいつでも辞めていい」とは言われていたそうですが、彼にとってリンクにいることは物心ついたころから自然なことであったと思われます。
そして、「お父さんのように全日本チャンピオンに」と周囲から期待をかけられ、実際彼にそのように声を掛ける方も多かったそうです。
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面影がありますね。


彼はそのような時、「そんなことは言われなくても分かってるよ」という言葉を飲み込むこともあったそうです。
スケートを本当に嫌いになったことはない、と話す彼ですが、こういう環境、血筋を受け継いで生まれることは恵まれているけど、辛いものもありますね。
成長するにつれて自我も出てきて、そのような期待に半ば反発する気持ちというのも目覚め、「面白くない」とリンクを逃げ出すこともあったのだとか。
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でもそういうのもないと逆に潰れてしまいますし、変な風に道をそれてしまう可能性もあったと思いますが、彼自身が自発的にスケートが好きという気持ちを持ち続けて居られたことが今日の彼を作っていると思います。
一見何の問題もなく「純粋培養」に見える彼がちゃんとそういう道筋をたどっていたことに、私はちょっと安心しました。高橋大輔選手も、織田信成選手もそれぞれに一時スケートや練習に対して積極的になれない時期を過ごしてここまで来ていますし、やはり誰もが通る道なんだなと思ったりしました。


小塚選手を幼少時より指導してきた佐藤信夫コーチも、恵まれた素質を評価しつつも、以前は練習(態度)にムラがあり見ていてもどかしく、本人にも甘さがあったとはっきり指摘しました。
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ナレーションでは「中学生から師事」とありましたが、確か「小学校に入るとすぐに佐藤コーチについた」と話していたと思います。


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「週半ば~後半になると疲労が出てきて内容がいい加減になってしまったりしていた。
非常に甘かったと『はっきり言える』」とだめ押しする信夫コーチ。


そんな中、先輩の高橋大輔や織田信成が世界トップの争いで華々しい成績を修め、「高橋くんとかを超えられない」という気持ちになったりもしたそうです。
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2006年グランプリファイナルはこういう表彰台だったんですね~懐かしい。織田選手の髪型が時代を感じます。
ナレーションでは「サラブレッドは徐々に差を付けられていきました」とありましたが、見ていた印象としては「まだまだ追い付けない」という感じだったように思います。
まあ表裏一体で同じことだったのかもしれませんが、正直小塚選手は当時彼らと本当にしのぎを削れるほどの成績は残していなかったので、「離される」というよりは「追いつけない」という感じでした。


去年5月、小塚選手はたった一人で約5週間のカナダ合宿を決断します。
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そこでは自分を知る人もおらず、言葉も通じません。その中でたった一人で練習のメニューやスケジュールを決めて動く必要がありました。リンクの関係者や現地で練習している選手やコーチ、宿泊場所のスタッフなどとも交渉したり話をすることもあったでしょう。誰の助けも借りず、全て自分でこなさなければなりません。
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そして今までのようにやる気がなかったり、ダレてしまっても、注意してくれる人はいません。
そのような経験で痛感したのは、いかに自分が周囲の人たちに助けられ、そしてその環境に甘えてきたかということでした。
「サラブレッド」として見られることに煩わしさを感じていたけれど、逆にそういう部分でいかに自分が大事にされていたか、守られていたかということに気づけたのだと思います。
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「しっかり気持ちを持たないと、どんどんだらけていってしまう。そこだけは気を付けようと思って(過ごした)」と話していました。


帰国後、練習での彼の様子に信夫コーチは変化を感じました。
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練習場所は新横浜。横浜市?に住んでいらっしゃる親戚の方のお宅に泊めてもらうのだそうです。
フレンドパークに出演した時に「いつも泊めてもらうおばさんの家(のTV)がまだブラウン管なので」と液晶大型TVを希望賞品に挙げ、しっかり持って帰っていた姿に「いい子だなあ」と思っていました。
朝イチはコンタクトじゃなくて、メガネなんですね。そりゃあ寝ぼけてパジャマの上を着たまま来ちゃうこともあるくらいだから、コンタクトなんてやってられないですよね(笑)


ジャンプなどの大技に比べて今までおろそかになっていた、ステップなどの細かい滑りにも注意を払えるようになっていたそうです。
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この「気配り」という言葉に感じ入りました。
信夫コーチは美しい日本語を使うなあと常々思っているのですが、フィギュアスケートに「気配り」という言葉はあまりマッチしないようでいて、実はすごく深いところまで言い当てているように思います。


その成果は今季の全日本選手権にも表れていました。
ショートプログラムのステップでは細かい踏み分けもほぼ完ぺきに滑り、最高難度のレベル4を獲得しました。
国内選手権でISU非公認試合とはいえ、ステップでレベル4を取るのはかなりの至難の業です。
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演技後、キス&クライで高得点に驚き、またインタビューで「スピンとステップ全てがレベル4」と伝えられると「ステップもですか?」と驚いていたのが印象に残っています。



小塚選手は現在の状況について、「自分でまず考えて計画を立てる。そこでよくないところはコーチに修正してもらう、という練習方法がうまくはまっている」と話していました。
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練習の姿勢にも自主性と自立心が出てきたということですね。
信夫コーチが今季の小塚選手について「一言でいえば、小塚は大人になりました」と話していましたが、そういう面が伺える発言ですね。


更に、今季より浅田真央選手が同門になり一緒に練習することによって、より刺激ややる気が喚起されているようです。
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この親子(おじいさんと孫二人?)ショット、いいですね(笑)。
中京で練習するときは二人一緒でしょうけど、新横浜でも二人と佐藤夫妻&れい子さんで貸切状態になる時もあるんですかね。
真央選手、タイツを豪快に直しすぎ(笑)


世界選手権については、「まだまだ変えられる(良くできる)部分があると思っているので、表彰台、できれば金メダルを目指してしっかり練習して、その練習したことをしっかり試合で出せるようにしたい」とはっきりと、頼もしく話していました。
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以前は「優勝したい」という言葉をあまり言わなかった小塚選手ですが、他のインタビューを見ていてもすごく自信が持てている感じがしますね。
それはすごく充実した練習が出来ているという気持ちがしっかりあるからこそだと思います。


2009年のシーズンから顔がずいぶん大人びたな、という雰囲気はありましたが、彼が今季目覚ましい活躍をしているのは、技術的にもですが心の面でもすごく成長したということがあったのだな、と最近のインタビューや取材を見て感じています。これからますます楽しみですね。
彼が今季一気に伸びてきた感じがありますが、真に飛躍するのはきっとこれからです。本当にソチで金を狙える選手になりました。これからも怪我の無いように頑張ってください!!!


小塚崇彦~サラブレッドの宿命~


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**おまけ**
先週韓国に旅行してきたのですが、デパ地下の日用品売り場でこんなものを発見。
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これ、たぶん女王様ですよね(笑)
顔つきが幼いので、まだ16~17歳くらいの時のものと思われます。洗濯の柔軟剤のパック(まとめ売り)の袋にプリントされていました。
彼女は母国では超・清純路線で売り出していたのでしょうかね(笑)


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by toramomo0926 | 2011-01-24 08:01 | フィギュアスケート


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