この動画は少し前にアップされており、既にいろんな方がブログで紹介されているようなので今更感が拭えないのですが(笑)やはり何度見ても真央選手の演技、演技そのものだけでなく真央選手本人やプログラム内容がどんどん成長してきていること、そして観客の素直で正直で温かい反応というのは素晴らしいと思いますので、ここでご紹介させて頂きます。 時系列的には前後しますが、動画に登場する順番に書いていきます。 この動画を見ると過去の演技も見返したくなりませんか?私はなったので(笑)当時の演技の動画も貼り付けておきます。 *ニコニコ動画は最初真っ黒でもしばらく待つと始まるので少しお待ちください。「読み込み中」というメッセージが出れば、その動画は削除されていません。 まずは、2007年スケートカナダのエキシビジョン(EX)。 この大会で優勝した真央選手は、EXナンバーの「So Deep Is The Night」を演じ、更にアンコールに応えてショートプログラム(SP)の「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア」のステップ部分を踏みました。 しかしそれでも観客の拍手が鳴りやまず、異例の2度目のアンコールとして、リンク中央でビールマンスピンを披露しました。 通常アンコールは優勝者のみ1度だけというのがなんとなくお約束みたいになっているので、これにはびっくりして、かつ嬉しかった思い出があります。 Mao Asada 2007 Skate Canada EX -So Deep Is The Night 真央選手が氷に下りた瞬間から歓声がすごいですね。 次は、2009年国別対抗戦(World Team Trophy)SP。 この年ルッツ矯正後初めて認定を得るという成果はあったものの、SPに苦しんだ真央選手。 ルッツを入れずに高得点を得る方法として、シーズン最終戦となるこの時にトリプルアクセル-ダブルトウループ(3A-2T)をSPに入れるという女子史上初の挑戦を行いました(そもそも女子でSPで3Aを入れられる選手など今まで誰もいませんでした)。 国別対抗はISU公式試合とはいえ団体戦で、この時が初回。お祭りのような雰囲気で和気藹藹と行われました。真央選手のこの試みは、確実に次のシーズン、そしてバンクーバー五輪を見据えてのチャレンジでもありました。 チャレンジは成功し、認定。真央選手初のISU公式試合での200点越えを果たします(非公認試合では2006年全日本選手権で既に211点台を出していました)。 このシーズンでは世界選手権での初の台落ち(4位)となってしまいましたが、最終戦はSP・フリーともにクリーンに滑り切り、最高の形でシーズンを締めくくりました。 Mao Asada 2009 World Team Trophy SP -Clair de Lune この時の動画はあまり高画質のものが残っていないのですが、真央選手が3Aを決めた瞬間、後ろに映っているチームUSAの最上段、右端に座っているキャロライン・ジャン選手が3A成功に大喜びで拍手してくれているのをいつも見てしまいます。 画質がいいと、本当にうれしそうに拍手しているのが見えたんですけど、残念! 2006年スケートアメリカSP。 真央選手のシニア本格デビューの年、初戦SPでの演技です。 2005年のグランプリシリーズで彗星のように現れ、あっけなく最年少でファイナル優勝を果たした真央選手がいよいよシニアデビューということで、ファンも選手もこぞって注目していたこのSPで、真央選手は今も「神演技」と語り継がれる素晴らしい演技をし、選手、関係者、そしてファンに大きな衝撃と強い印象を残しました。 この演技で、この1試合だけで、欧米においての真央選手のイメージが「繊細でリリカル、軽やかで優美」というものに確立された感すらあります。 日本ではこの頃「技術の浅田」「表現力がない」「幼い」などと言われていましたが、ピアノ一本だけの旋律でここまでの空気をつくりだし、伸びやかに滑る彼女の表現力を疑う解説など、他のどこの国も行っていません。 今見ても、本当に素晴らしい演技です。 解説はESPNの名物解説だったディック・バトン&ペギー・フレミング。どちらも五輪金メダルと世界選手権優勝のタイトルホルダーです。 音楽と完全に一体化した真央選手の演技を絶賛しています。 2008年世界選手権フリー。 これもまた伝説となった、冒頭の3A大転倒から奇跡のリカバリー神演技。初めての世界女王の座を掴んだ試合です。 会場となったのはスウェーデンのイエテボリ。北欧の観客はいつもすごく温かいですが、この時の真央選手の頑張りはどこの国で行われたとしても喝采を浴びた事でしょう。 会場は勿論、世界中でTV観戦していた人々がみんな固唾を飲んで見守り、一旦演技を中断するかと思われた程の激しい転倒の後に次々とジャンプを決め、スピンやステップを美しくこなす姿に声援と拍手を送りました。 一緒に出場していた高橋大輔選手も、「世界女王になった時の真央ちゃんには感動した。最初の3Aを跳ぶ直前に転んでしまったけど、その後からの演技がすごかった。」と話したそうです。 解説は再びディック・バトン&ペギー・フレミング。 これこそが解説、という素晴らしい内容。彼らが戻ってきてくれることをずっと待ってます。 日本の解説者には、彼らの解説を見て勉強してほしいと思うくらい、専門的なことと感情的なことを絶妙なバランスで伝えてくれています。 ディック&ペギーの解説版が、貼り付けてみたら私のPCでは映像が乱れてしまってよく見えないので、念のためにカナダCBCの解説バージョンを。 解説は今もアイスショーで大活躍し、スケーターからの尊敬を集めるカート・ブロウニング、そしてトレイシー・ウィルソン。 トレイシーはこの頃真央選手を激賛していますが、キムヨナ選手のコーチになった途端に一転して辛口になり日本のファンを失望させました。解説の時は中立的にしてもらいたいですよね。まあ、カナダはロシア的な芸術性をあまり評価せず、割とわかりやすいものを好むようなのでその影響もあるのかもしれませんが。 彼女は五輪後、オーサーコーチと共にキムヨナ選手から解雇されましたが、真央選手の今季の演技をどう評価するのか気になりますね。カート・ブロウニングの演技終了後の素晴らしい解説も当時話題になりました。 2009年全日本選手権SP。 この年、真央選手は深刻なスランプに見舞われていました。2007-2008シーズン途中でラファエル・アルトゥニアンコーチとの師弟関係を解消して以来ほぼ一人でジャンプ練習をし、ルール改正に対応していたツケが肝心の五輪シーズンに出てしまい、シニアデビュー後初めてグランプリファイナル出場を逃します。 ファイナルで日本人最高位(表彰台)の選手には五輪内定が与えられることになっており、真央選手が五輪に出るには全日本1本に賭けるしかない状況でした。 この時も日本中が(もしかしたら世界中の選手や関係者も)「浅田真央は五輪出場権を得られるのか」ということに注目が集まっていました。 なんだか彼女のことになると、ほぼ日本中が親戚状態みたいな感じになりますよね。こういうアスリートも珍しい存在だと思います。そこが「国民的」と言われるゆえんなのかもしれません。 浅田真央 2009全日本選手権 SP -仮面舞踏会 この衣装大好きでした。メイクもばら色の頬がとてもかわいい。 フィニッシュの時の笑顔は本当に花が咲いたようですね。 2010年全日本選手権SP。 今季のSPもほぼ日本中が心配していましたね(笑)私も「ジャンプ修正は焦らないでほしい」と思っていましたが、後で真央選手がこのように話していたことを知って、かなり危ういところまで来ていたんだな、と今考えるとゾッとします。 しかし真央選手は自分で3Aを跳ぶことを決め、見事やり遂げました。真央選手のこういうところが私は大好きです。 観客の方も自分のことのように喜んでいて、すごく温かい瞬間でしたね。フリップが決まった時には鳥肌が立ちました。 信夫先生とのほのぼのキスクラがこれからずっと見られると思うと嬉しい。 2009年全日本選手権フリー。 この時はシビれましたね。3Aは1回でしたが、初めて「鐘」をクリーンに滑り切りました。 フィニッシュで両手をあげた真央選手の後ろで、観客が総立ちになる映像はCMにも使われるほど印象深い瞬間でした。 そして選曲について散々叩かれていた「鐘」のすさまじさ、プログラムの芸術性を無言のうちに全世界に表現し、批判の声をぴたりと止めたのも凄かった。 「鐘」を見ていると、「別格」という言葉が浮かびます。 このプログラムは真央選手に貫禄と気高さ、何より「格調高さ」というものを与えたと思います。タラソワさんは本当にすごい。 今見ても、ものすごいプログラム。これは年月が経っても色あせないでしょうね。 ここでぐっと戻って、2005年グランプリファイナル・フリー。 「鐘」からだと余計に幼い!(笑) この時はあれよあれよという間にスターダムにという感じでしたね。安藤美姫選手のアイドルアスリート的な人気爆発と、トリノ五輪シーズンということでただでさえフィギュアスケートが注目された年だったことと、15歳で3Aを跳ぶ「浅田真央」の名前が一気に全国区になった瞬間でした。 この頃のジャンプが真央選手の中では一番理想とするジャンプなんですよね。ですがもう体が大人になっているのでこの頃のジャンプを再現することはできないが、流れと高さのあるジャンプを目指す、と力強く話していた真央選手。頑張ってください! Mao Asada 2005 Grand Prox Final FS -Nutcracker 「無邪気」とか「天真爛漫」とか「無垢」とか「天衣無縫」(笑)という言葉の意味が当時の彼女の中に全て入ってますね。 スポーツとしてもジャンプも高く、スピンの柔軟性もある。 当時も少し粗いところは感じられたけど、それを補ってあまりある、なんというか凄いパワーを感じたものでした。まさに「怖いもの知らず」という感じ。真央選手自身も当時を振り返り、「あのころはファイナルがどういう試合かも本当には理解していなかった」というようなことを話しています。 でも真央選手の凄いところは、かわいさだけでなく、既にフリップやルッツからのコンビネーションジャンプや、3ループ(Lo)-2Lo-2Loとかシニアトップレベルの高難度ジャンプを、しかも複数楽々と決めているところです。 伊藤みどりさんの解説が、完全に身内なんですが(笑)でも彼女の解説は技術的には的確だったんじゃないかと思います。また是非試合での解説を復活させてほしい。 2008年NHK杯のフリー。 仮面舞踏会も最初叩かれましたよね~(笑)。グランプリシリーズ初戦のフランス杯で優勝を逃した(とはいえ2位)だけで世論はヒステリー状態になり、「真央ちゃんには合わない」「重すぎる」と避難轟々でした。そんなことを言いながら、真央選手がもし「くるみ割り」的なかわいい感じの曲で滑ったら「子供っぽい」「妖艶さが必要」とか絶対言ってたと思うんですが。「いつも同じようなプログラムで新鮮味がない」とかね。 一試合だけじゃまだ何もわからないのに何故新しい試みを評価しないのだろう、もう一試合くらいまで「様子を見る」ことはできないんだだろうかと、注目される選手も大変だなあとつくづく感じた思い出があります。 こういう時に世の中の声に振り回されてしまうとだんだんその影響が競技にも及んできて、最悪の場合潰れてしまったりする危険性もありますが、真央選手はずっとブレずに自分の目標を貫いていますね。なかなかできないことだと思います。 また、真央選手はこの勝利で、前述の「鐘」同様「仮面舞踏会」への批判をぴしゃりと封じました。それも小気味よかった(笑)。 Mao Asada 2008 NHK Trophy FS -Waltz Masquerade そして、グランプリシリーズ2戦目のこのNHK杯で優勝。 3A2回は1回が回転不足認定を受けてしまいましたが、世界で初めて女子が1つのプログラムで3Aを2回着氷させた記念すべき日になりました。 2007年世界選手権・フリー。 この時の歓声も私は忘れることができません。 真央選手シニアデビューの年、ステップからの3AをISU公式試合で初めて成功させました。 この時SPの3-3で初めてミスが出てしまい、まさかの5位スタート。しかしフリーで最高の演技で1位となり、見事銀メダルを獲得しました。 Mao Asada 2007 World Championships FS -Czardas フィニッシュの瞬間、爆発的な拍手です。 最前列のアメリカ?の応援団の方々がいち早く立ち上がるのも嬉しい。 2010年世界選手権・フリー。2度目の世界女王に。 この時は本当に神演技!世界中から絶賛されました。 この演技は今も時々見返してしまいますね。本当に素晴らしい。 これは細かいことをあれこれ言う必要を感じないくらいの演技です。本当に圧倒的なものの前では、言葉って無力ですね(塩原さん聞こえますか?(笑)。 トリノのお客さんも温かく、そして正直でしたね。納得いかない採点にはブーイングの嵐、素晴らしい演技には惜しみない拍手を送ってくれました。 2009年国別対抗戦・フリー。 この年の世界選手権前の真央選手はとても辛い状態でした。 グランプリファイナルで優勝した時には、優勝直後のTV番組(信じがたいことに日本のTV番組でした)で「真央ちゃんおめでとう」と銘打ちながら、実際には「ライバルがミスしたためのタナボタ勝利」、「浅田のダメなところはここ」、「浅田はキムヨナよりこんなに劣っている」という内容のTV特集を流されました。 自力での勝利であることを否定され、深く傷ついた彼女は初めてスケートへの情熱を失いかけました。 また世界選手権の直前には、キムヨナ選手本人の口から発した事実無根の練習妨害騒ぎに巻き込まれ記者への対応を余儀なくされるなど、肉体的というよりは精神的にかなりヘビーな状態でした。 彼女の作戦が功を奏したのか知りませんが、真央選手はフリーでの3Aで転倒するなどのミスがあり、初めて世界選手権での表彰台を逃してしまいます。 通常ならここでシーズンは終了となるはずで、ファイナル優勝の喜びも吹き飛んでしまっているし、真央選手にとっては暗い気持ちを引きずったままオフ入りとなるはずでした。 しかしこの年に、2014年ソチ五輪での正式種目入りを睨んだ国別対抗戦が導入され、世界選手権の後に試合がスケジュールされていたのです。 真央選手はここでSP、フリーともにクリーンな演技をしました。更にSPでの3Aも成功という素晴らしい大会となりました。 ISUっていつもロクなことしないけど、この時ばかりは「この試合があってよかった」と心の底から思いました(笑)。 選手がリンクサイドでチームメイトを応援できるようになっていたため、終始なごやかで楽しい雰囲気の大会となりました。2年ごとの開催のため、来月に横浜で2回目の国別対抗戦が開催されます。 五輪のSP、フリー。 こちらは権利関係がうるさそうなので、写真のみで失礼します。 2008年世界選手権・SP。 タラソワとの最初のプログラム。この「ラベンダー」は私大好きでした。 バイオリンの素晴らしい音色を一つ一つ拾ったようなステップ、ダイナミックなジャンプ、伸びやかなスパイラル、ポジションの美しいスピンなど、真央選手がタラソワのもとで培った美しい演技の萌芽がそこかしこに見受けられます。 本当にこのシーズン、真央選手の演技はぐっと洗練されました。真央選手も「あれ(ラベンダー)が自分が変わるきっかけになった」と話しています。 ドイツの記事では「SPでは僅差で2位につけていたものの、(SP終わった段階で)既に観衆を完全に魅了していた。」と書かれています。会場となったスウェーデンのイエテボリでは、「真央は春のお姫様のように愛らしい。彼女こそフィギュア界が待ちに待った本物の女王」 と報じられました。 そしてトリはもちろん、今年の全日本選手権フリー!!! SPで既に大コーフンだったんですが、フリーの3Aの美しさにはシビれました。また、着氷に流れを感じたのもよかった。久しぶりに「降りた!」って感じではなく、スパッ!と決まる感じの3Aを見せてもらった気がします。 そして信夫コーチの薫陶を得た滑りも一段と滑らかになり、素人目にも「よく滑る」という感じになってきているのがわかりました。スパイラルの時もすごく伸びてましたよね。 ステップあたりからじわじわと感動が押し寄せ、最後のループがとても気持ちよく決まり、スピンが美しく終わった時にはもう泣きそうでした。 本当に素晴らしい演技でした。ジャンプ修正はまだまだ長い道のりになりそうですが、真央選手の言うようにこれでスタートラインに立てたという感じですよね。頑張ってください! 浅田真央 2010年全日本選手権 FS -愛の夢 それにしても、真央選手神演技多いなあ。 ここぞという時に決めるという気迫がすごい。そうやって毎年高い目標を苦しみながらもクリアしてみせるところが、彼女の最大の魅力だと思います。 最初はかわいいとか、ジャンプがすごいと思って彼女を見始めた人も多いでしょうが、彼女は今真の意味で「感動をもらえる」「元気をもらえる」競技者かつアーティストになったなあと思います。 しかも、まだまだ伸びしろがあるというのが末恐ろしい。才能と努力が最高レベルで結実すると、本当に底知れないものになるんですね。 動画作成者の方、素晴らしい動画をありがとうございました。 <参考リンク> 真央19歳、「金」の鐘鳴らせ…GPシリーズ開幕へ 読売新聞2009年10月14日 <関連コラム> エキシビジョンから浅田真央選手の成長をたどる 2010年2月5日 タラソワの深い愛情を見た-浅田真央 奇跡の軌跡 2010年1月26日 「真の表現とは何か」を問う演技-浅田真央選手 2010年1月23日 本質を見出す力、評価をひっくり返す力-浅田真央選手 2009年12月29日 今季のプログラムを冷静に評価してみる-浅田真央選手 2009年12月18日 ショートプログラムの選択:「仮面」か「カプリース」か 2009年10月21日 五輪シーズン開幕-メディアの報道への危惧 2009年10月14日 キム・ヨナ選手の「妨害」発言について 2009年3月23日 「音楽を表現する」ということ 2008年12月17日 挑戦を貫いた「2位」の価値-グランプリシリーズ フランス大会 2008年11月16日 フィギュアスケート実況、日本はレベルアップを 2008年3月27日
by toramomo0926
| 2011-02-07 14:02
| フィギュアスケート
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