小塚崇彦選手インタビュー・その4 :浅田舞のスポ友!
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読売新聞のサイト「yorimo」での、浅田舞選手による小塚崇彦選手へのインタビューその4、彼への今回のインタビューはこれで最終です。
インタビューは2010年12月1日、中京アイスアリーナで行われました。これまではインタビューの直前に終わった試合についてでしたが、今回は目標とする選手や今後のこと、今季のプログラムについてなど、いろいろな話を聞いています。

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フィギュア男子・全日本チャンピオン 小塚崇彦選手 4

■ 目標はカート・ブラウニング
 舞 じゃあ、真央を見ていて、何かアドバイスするとしたら、何てすると思う? たとえば、(NHK杯、フランス杯の成績を)考え過ぎじゃないかとか、アドバイスしてあげるとしたら、何って、声をかける?

崇彦 練習しているんだから、心配することないんじゃないって、いうと思います。心配することないし、今回、NHK杯も良くなくて、フランスも良くなかったけど、でも、NHK杯とフランスでは過程が違うんじゃないかなっていうのはあるし。NHK杯の時は「しょうがないかな」って本人も言っていたし、フランスの時は「悔しい」って。練習が良かったから「悔しい」って思えるからね。着々と練習はできているから、心配することはないんじゃないかな。

 舞 崇ちゃんも、真央も「まじめ」っていう言葉に、ぴったり当てはまるなって、思うな。崇ちゃんは練習、好きですか。真央は好きって言うんだけど。

崇彦 好きな時もあるけど、嫌いな時もあるし。結構、気分屋だからね。

 舞 好きなスケーターは、いるんですか?

崇彦 好きなスケーターは、今季のエキシビジョンの振り付けをしてもらったカート・ブラウニング。あとは佐藤有香さん。ちっちゃい頃から、あこがれていた。今も変わってない。
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 舞 大ちゃんとか、ノブ君とはどんな関係なのかな? 男の子ってすごく仲いいよね。

崇彦 仲良くやっているし、カラオケも行くし、ごはんも行くし、普通におしゃべりする。本当に嫌みのない関係というか。

 舞 嫌みないよね。

崇彦 でも、試合になったら、割り切って、やっている。

 舞 どういう話をするの? スケートの話はしないかな?

崇彦 しないかな。

 舞 どういう話をするんですか。今時の男子スケーターは? だれだれが可愛いねとか。

崇彦 「彼女できた」って、よく言われる。ハハハハ。大ちゃんによく言われる。

 舞 崇ちゃんだと、絶対、聞きたくなっちゃう。「彼女できた」って。

崇彦 アハハハハ。何でだろう。
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 舞 好きな女性のタイプは?

崇彦 うーん。

 舞 それは聞かなくてもわかるけど、一応、聞いておくわ。

崇彦 ねっ、ねっ、どういう人が理想だと思う?

 舞 舞が思う理想は年上で、お姉さん的なタイプ。清楚な感じ、女子アナみたいな感じ。

崇彦 アハハハ。

 舞 イメージとしてはね。

崇彦 年は上でも下でもいいかな。でも、しっかりした人が好き。あんまり、頼られたくないかな? 頼りたくもない。ちゃんと、自分を持っている人が、いいかな。

 舞 崇ちゃんは自分を持っているし。

崇彦 最近はね。

 舞 でも、周りがうるさそう。アハハハ。近くに、親的な人たちがいっぱいいるからね。舞がいるし、真央もいるから。

崇彦 親みたいな人がいっぱいいる。そうなんだよ。本当に。

 舞 難しいよね。崇ちゃんは今、はまっていることはありますか? 何やっても、上手そう。サッカーやっても、運動全般に。ゲームも。

崇彦 運動は結構、しているかもしれない。この前もフランスに行く前に、キャッチボールしていたら、肩が痛くなったし、アハハハ。サッカーやったら、足が痛くなったし。

 舞 深く考えないよね。試合だから、やめようとか。

崇彦 やらない方がストレスたまるだろうし。。

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 舞 はまっていることといえば?

崇彦 ちょっと前までは(愛知県)豊田市に、何があるんだろうっていうのを発見するのが、趣味だったかな。休みの日の。

 舞 休みの日、何してんの?

崇彦 休みの日ね。寝て、起きて、どっかに行って、カラオケ行ったりとか。あと、豊田市ってさ、自然薯が有名なんだよね。食べに行ったりとか。

 舞 寂しいよ。アハハハ。

崇彦 何か、すごい、老後の生活みたいな。

 舞 いや~、まじめですよね。どうやって、自然薯が有名だって、知ったの?

崇彦 このリンクに、豊田市のガイドブックがあって、それを見て。あとは、アユ。食べに行ったりとか、この前までは、そんなことやってました。天然のアユを出してくれる店があって、すごくおいしかった。でも、今ははまっているものは、ないね。

 舞 寂しい。

崇彦 いや、何でもやっているから。これに、はまっているという感覚がないかも。

 舞 じゃあ、ストレス発散法は? たまらないタイプ?

崇彦 ためないかな。ためないように、試合前でもサッカーするし、野球もするし、うまく抜いているかな。

 舞 どんなスケーターになりたいですか。目標というか、将来、こうなりたいっていうのは?

崇彦 オールラウンダーかな。すべてのことができる。野球でいえば、三拍子そろった人みたいな感じだよね。
 舞 目標にしてる選手はや
っぱり。

崇彦 カート・ブラウニング。
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年明けのスターズ・オン・アイスで共演。

 舞 (カート・ブラウニングがアイスショーで滑る)「雨に唄えば」って、すごい。

崇彦 やっぱり基礎がしっかりしているし、プロになってから自分の表現の方法をみつけて、「スターズ・オン・アイス」には欠かせなかった人になった。そういう、存在になりたいかな。また、この人の演技を見たいなって思ってもらえる人。有香さんもそうだし、そういう存在になれればいいなあって。

 舞 じゃあ、今月はファイナルと全日本が残っているけど、優勝したいっていう気持ちはありますか。

崇彦 優勝をしたいっていう気持ちを持って、練習はしているけど、試合の時にそれを考えると、硬くなる。そういう風に言ってやれる人もいるけど、そういうタイプではないし、考え過ぎると、力みが入っちゃう方だから。優勝したいとか、だれだれを目指してというふうに、練習ではやっているけど、試合の時は、「練習のようにやりたい」って思っている。

 舞 なるほど。しゃべって、自分を乗せて行くタイプじゃなくて。

崇彦 そう。有言実行じゃなくて、不言実行かな。口には出さないけど、やるみたいな。

 舞 じゃあ、来年はどういうご予定ですか。

崇彦 来年?
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 舞 (中京大の)大学院に入るんですよね。大学院に入って、トヨタ自動車は?

崇彦 トヨタもまた行って。変わらず、ここにいるかな。

 舞 大学院で何勉強するの?

崇彦 スポーツ応用。いろいろな動きを測定して、数値化していく。そんな簡単ではないですけど。

 舞 文武両道で素晴らしい。

崇彦 勉強もしてたでしょ。

 舞 4回転ジャンプが簡単に跳べるようになったように見えるけど?

崇彦 簡単? うーん。やっぱり試合になると、ちょっとタイミングが早くなるのかな。練習の時ほどきれいに降りられてないから、やっぱり難しい。細かい、最後の詰めっていうのが、できていない感じかな。

 舞 かなりいい線まできている。

崇彦 うん。

 舞 どこが変わったの?

崇彦 跳ぶ前のためっていうか、ためて、回転につながる動きが、うまくスムーズに。今までは力で無理やりだったのが、タイミングでうまく、跳べるようになってきたかなって。

 舞 気持ち良さそうに跳んでる。

崇彦 跳べると、やっぱり気持ちいい。

 舞 すごい。言ってみたい。オリンピックで決めたのも、大きかったんじゃない? 

崇彦 それまで、ずっとこけたり、パンクしてたから。まあ両足(着氷)っぽい感じになっちゃったけど、できたのは良かった。体幹のトレーニングをやってきて、ずっとやっていて、やっと成果が出て。去年も何となく出たけど、今年は本当にポーンっと出たって感じがしている。ピタッと体が止まる感じがある。

 舞 どこで?

 崇彦 跳ぶ時がそういう感じから。去年まではよくタコみたいって言わたけど、グニャグニャしていて。それがきちっと止まるようになった。

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 舞 全日本で、もし崇ちゃんが優勝したら、大ちゃんの絶頂期に取るということになる。価値があると思うけど。

崇彦 一緒の試合でやったら、どういう点数が出るかというのが、わからないし、フランスではすごい点数が出たけど、全日本に行ったら、わかんないじゃない。何とも言えないけど。でも、やる以上はやるだけことはやろうと思ってます。

 舞 点数が出始めて、楽しみが出てきた?

崇彦 5コンポーネンツがあそこまで出るようになったから、互角に戦えるだけの舞台はそろったというか、それだけのことはできる準備は今年はそろった。フランスのような演技をしたいなって思います。

 舞 今年のプログラムは、フィギュアスケートの王道みたいな感じだね。

崇彦 うん。去年のプログラムに関しては、すごく難しかった。最初は、これ大丈夫かなって、思って、でも、やってるうちにだんだん良くなってきて、また、(振り付けをした)有香さんのところに行って、詰めてもらって、また良くなって、最終的にシーズンが終わる頃には滑りこなせるようになっていた。で、今年はポーンと、普通のクラシックに戻って、4年前にショパンのピアノ協奏曲をやってたんですけど、今年はリストのピアノ協奏曲をやったら、昔の感覚もあるけど、でも、昔の感覚よりも、動きやすいっていう感覚もあって、すごい体が自然に動くし、自分の体に染みこんでいたみたいに、いい感じかなって、いう感覚も出てきたし。

 舞 王道って感じの曲が一番、難しいんだよね。まず基礎ができてないと、ごまかしがきかないじゃないですか。崇ちゃんは、やっぱり基礎があるからだよね。

崇彦 振り付けをしてくれたマリーナ(・ズエワ)は、このプログラムだったら、崇イコールこの曲、この曲イコール崇ってなれるから、頑張って、練習しなさいって、言われた。去年のプログラムで、音の「ため」って感覚を覚えたから。以前は、待てなかった。どんどん曲を考えないで、行っちゃうから。曲を待って、曲を聞くっていうのが、去年できるようになったから、それだよ。

 舞 真央も今年のフリーはリスト。

崇彦 今年の曲、いいよね。僕、好きですよ。「愛の夢」。ずっとリストばっかりだからね、練習は。

 舞 春にプロ野球の始球式で出て、フォークボールを投げたんだって。それって、世界で初めてじゃないかなっていう人がいるけど。どうやって、覚えたの?

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崇彦 マネージャーが野球経験者で、一緒にキャッチボールした時に教えてもらった。始球式の前に、マウンドで投げといた方がいいって、中京大学のマウンドで練習させてもらった時に、野球部のコーチがボールを捕ってくれて。何回か投げているうちに、じゃあ、フォークボールでいけばって言ってくれて、それで。

 舞 器用なんだよね。

崇彦 始球式の後、テレビ番組の収録があって、佐々木(主浩)さんに会ったんだよね。大魔神。その時に、「始球式やってきたんです。フォークボール投げてきたんですよ」って言ったら、「へーっ、そうなんだ」って。「80キロだったんですよ」って言ったら、「80キロだったら、一般の人だったら、十分じゃないの」って、ほめてくれた。

 舞 フランスから帰国したばかりで、眠いでしょ?

崇彦 起きとかないと、次ぎ(グランプリファイナルの)中国だから。時差が1時間くらいあるでしょ。起きとかないとやばいでしょ。でも、ちょっと眠い。

 舞 ファイナル頑張ってください。

崇彦 はい。頑張ります。

 舞 ハードスケジュールだね。

崇彦 はい。ハードです。


(終わり)


■ アベック優勝見たい
 全日本選手権、初優勝おめでとう。フリーはフィギュアの王道を行く、お気に入りのプログラム。崇(たか)ちゃんは、振り付けのズエワさんから、「小塚といえばこの曲だと言われるようになれるから、頑張って」って言われているそうです。見ている私もパワーをもらいました。
 崇ちゃんは真面目で、尊敬できるところがたくさんあります。でも、忘れ物も多くて、「忘れ物王子」と呼ばれているとか。昨年はプロ野球の始球式に出て、フォークボールを投げて驚かせるなど、遊び心もあります。
 チャンピオンになってからも、何も変わらない。真央と3人で焼き肉を食べに行くと、いつも焼いてくれます。将来はイクメンになるのかな。3月の世界選手権では真央とアベック優勝――。そんな光景を私は見たいと思っています。

*****

インタビューだとかしこまったというか折り目正しい感じの小塚選手ですが、今回気心の知れた舞選手が相手ということで、すごくリラックスした感じの話が聞けてよかったです。
やはり有香さんというのはスケートを始めるきっかけだったし、すぐそばにいるお手本でもあったし、振付師でもある。彼のスケートをつくる上ですごくキーパーソンになった方なんだなと思いました。あとカートへの崇拝ぶりも盤石ですね(笑)。

インタビュアーが舞選手で、今年から一緒に練習を始めたということで真央選手の話も出ていましたが、真央選手がグランプリシリーズうまくいかなかったことについてどうアドバイスするか、と聞かれた時の言葉が印象に残りました。
「練習しているんだから、心配することないんじゃない」って、言われた方は一番嬉しいというか、気が楽になるというか、前向きになれる言葉ではないでしょうか。
しかも根拠なく楽天的にというのではなく、「NHK杯とフランスでは過程が違うんじゃないかなっていうのはあるし。NHK杯の時は「しょうがないかな」って本人も言っていたし、フランスの時は「悔しい」って。練習が良かったから「悔しい」って思えるからね。着々と練習はできているから」と話していますね。やはり練習している姿を見てきているから言える言葉だなと思います。
荒川さんのように自分の経験になぞらえて励ましてくれるのもすごく嬉しいだろうし役に立つと思いますが(フランス杯のフリーではそれで少し良い演技が出来たと言ってましたね)、小塚選手のような言葉をもらうと、言われた方はすごく安心するんじゃないかと思いました。

あと、プログラムについて触れているところも興味深かったです。
やはり昨季のプログラムは難しかったんですね。特に「ギター・コンチェルト」は、私も正直最初はあまりいいと思わなかったんです。ジャパンオープンで生観戦して大撃沈しているのを目の当たりにしてしまったショックもあったんですけど・・・(笑)。
でもシーズンが深まるごとにだんだん演技そのものもよくなっていったし、自分の中でも評価が変わってきて、最後は大好きになっていました。曲をダウンロードしようかと思ったくらいでした。フルバージョンはあまりに壮大に長かったので断念しましたが(笑)。
でも有香さんの与えたハードルを見事にクリアし、五輪では海外の解説者から大絶賛を受けていましたね。「将来の金メダリストを見ているようです。今年ではないでしょうけど、4年後には必ず候補に挙がっていることでしょう。是非競技を続けて欲しいです。素晴らしい才能の持ち主です」と言われていました。

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やっぱり振付師やコーチも、曲を提案するときには去年はあの曲だったから今年はちょっと趣向を変えてこんな感じに、などのメリハリ感も勿論でしょうが、選手を「育てる」という視点でもきっと考えて候補曲選びをしているんだろうなというのが垣間見えた感じでした。まあ、そこまで考えるかというのは振付師にもよるかもしれませんが、少なくとも彼を子供のころから「雛鳥を育てるように」大事に育ててきた有香さんはきっとそこまで心を配っていたのかなと。愛情を感じますね。

小塚選手の能力がついに本格的に開花し、大ブレイクのシーズンとなっていますね。四大陸とワールド、2つ一気に取るつもりで、でも「不言実行」で(笑)是非頑張ってほしいと思います。

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***おまけ***

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今季の、確かグランプリファイナル(?)表彰式での信夫先生と加藤トレーナー、必死に写真撮影(笑)。


<参考リンク>
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by toramomo0926 | 2011-02-10 08:06 | フィギュアスケート


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