浅田真央選手とアスリートに対する報道を考える
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昨夜S☆1という番組の「アスリート覚醒の瞬間」というミニ特集をやっていたのですが、正直、昨年のオフにやるような内容でしたね。ちょっとがっかりしました。




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こうやって見れば見るほど、一年前の内容ですよね(笑)流すの忘れてたのかって思うくらい(笑)

今の真央選手で「ターニングポイント」って言うんだったら、やっぱりジャンプ修正の決断と佐藤信夫コーチ就任だと思うんですよね。
今季は優勝できなかったから取り上げようがないってことなんでしょうか。それなら本当にこの番組は(一応スポーツ番組らしいのですが)スポーツとしては何も見えてないってことですよね。
何がしたくて今更この映像を取り上げることにしたのかがよくわかりません。
「浅田真央」という名前を出せば視聴率が取れるからでしょうか・・・。





今季の真央選手は勿論全ての試合で優勝することを目指していたでしょうが、それでも優先順位は自分の理想とするジャンプやスケーティングを身につけることでした。
試合に出る以上一つでも上を目指すというのは選手として、日本代表として当然のことですが、目先の勝利や順位にしがみつくようなことはしなかった。それは試合でトリプルアクセルを外そうとしなかったのを見ても明らかです。
ですが、フィギュアスケートファンのように深く試合や選手を見ない一般の方にとっては、今季の真央選手は「どうしちゃったの?」であり「スランプ」でした。現に私もお姑さんから「今の日本人のコーチになってから成績が悪くなったようだけど」と言われました。勿論しっかりと(引かれない程度に)誤解を解いておきましたが、一般の方から見れば、そう見えるのも無理はないかもしれません。
しかしそこをちゃんと伝えるのがスポーツ番組であり、記者の役割である筈です。
今のスポーツ記者やスポーツ番組の制作スタッフは、取材が足りないか、企画し伝える能力が落ちている、または報道する立場として致命的な「言葉を知らないのではないか」としか思えないような人が多い。現にTVだけを見ていても、テロップやフリップでの「てにをは」をはじめとした助詞の間違いや誤字が非常に多く目につきます。


今季の真央選手を評する言葉で多かったのは「ジャンプの不調」「スランプ」という言葉でした。しかしこれは言葉の選び方からして明らかに間違っています。
スランプというのは「自分でも原因や解決策がわからないまま結果が出ない」状態を指します。しかし今季の真央選手はそうじゃない。目指す目標があって、そのための過程であり、試行錯誤です。
それはビルの建て替えに際して、元のビルを壊して新ビルを建築中の状況で「あそこは壊れてダメになったね」断じるのと同じことです。
何も真央選手の名誉を保つために全てのメディアが動くべきと言ってるわけではないですが、これまで真央選手は良い成績を継続して挙げて来たので仕方のない面はあるにせよ、あまりに報じる側がやっていることの意味や内容を理解せずに性急に結果を求めようとしすぎているように見えます。

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2010年9月、佐藤信夫コーチ就任時の会見の席で、真央選手はジャンプ修正に取り組んでいること、完成までには2~3年必要になることをきちんと話しており、それは活字にもなっています。
それなのにマスコミは自分の書いたことも忘れて、センセーショナルに「跳べない真央」「不調」「スランプ」と書き立てました。
その後全日本前後にはそれも飽きたのか「オフから始めた調整が間に合わなかった」と言い始めたのには呆れました。間に合うも何も、2~3年かかるって言ってるのに。
むしろ真央選手でなければ、同じことをやっている選手が全日本であれだけの成績を出せたかどうかというのは非常に疑問です。

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しかしジャンプ修正の今だからこそ、苦しみ試行錯誤を重ねる真央選手をもっと取り上げてほしいとも思います。
新しい何かをつかむこと、そのために努力することこそがスポーツ。勝つことは大事な目標ですが、それがすべてではない筈です。

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ミシェル・クワンも過去にこのような言葉を残しています。


そして取材する側は、それをきちんと認識するべきです。ですが、今のところそれを本当に理解できているのはNHKのスポーツドキュメンタリー制作者とひとにぎりの良心的なライターだけのように思います。
アイドル的にしか女性アスリートを捉えようとせず、スポーツ(選手)に色気を要求するなんてもってのほかです。

私は「かわいい真央ちゃん」も好きですが、「男らしい浅田真央」も同じくらい好きです。もっと自然体ながらも男顔負けのストイックさで練習や試合に臨む真央選手をTV等で取り上げてほしいと思います。それは決して「真央ちゃん」のイメージを損なうものではないし、むしろ彼女の、そして女性アスリートの地位を高めるものになるのではないかと思っています。そして今の真央選手を、彼女が目指す目標とともに現在進行形として伝えることで、フィギュアスケートという競技の奥深さと面白さが、「真央ちゃん」としか認識のない方にももっと深い所で一般の方にも伝わるのではないでしょうか。それが新たなファン獲得、裾野を広げる役割も果たす筈です。

また、これは性別や種目を問わない問題ですが、アスリートを報じる姿勢というか取材する側の知識が本当に浅くなり、スポーツ番組がどんどんバラエティ化して、内容が幼稚で薄いものになりつつあることが本当に残念です。どの種目を見ても、今の日本のアスリートは世界トップで立派に戦っているのに。

しかし、真央選手は勿論、全てのアスリートは真摯に競技と向きあい、戦っています。
ファンは雑音に惑わされることなく、アスリートとしての選手に無益で根拠に乏しい情報はスルーするという姿勢もこれから更に求められるのではないかと思います。
情報全てに騒ぎ立てるのではなく、自分で冷静に情報を見極め、価値のないもの、まだ判断材料が乏しすぎてなんとも言えないものについては基本的にスルーという姿勢を個人的にはとっていきたいと思っています。
とはいえ、ミーハーに騒いでしまうこともあるかもしれないけど(笑)それは喜ばしいニュースの時だけにしようと思います(笑)
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by toramomo0926 | 2011-05-16 09:39 | フィギュアスケート


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