日経新聞の記事 -「きれいなスケーターになりたい」 :浅田真央選手
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久々に日本経済新聞の不定期コラム「フィギュアの世界」が更新されていました。今回は浅田真央選手のインタビューを中心に、このオフをどう過ごしたか、練習の状況、シーズンへの意気込み、プログラムについてなど充実した内容になっています。

フィギュアの世界 -日本経済新聞



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浅田真央「今季は…きれいなスケーターになりたい」
 浅田真央選手(中京大)は9月25日に21歳になりました。過去2シーズンは序盤に調子が出ず、表情が晴れないことも少なくありませんでした。しかし、コーチを変えて2年目の今季、はつらつさが戻っています。本人も「ものの見方も変わってきました」と話しています。


■京都旅行や車の免許取得…いいオフ過ごす
 シーズン終わるといつも「休みたい」という気持ちになります。昨季が終了した直後は正直、そうした気持ちが強かったです。

 注目されるプレッシャー? ありますね。応援して下さる方のために、(今季は)しっかり結果も残さないといけないな、と思いますし……。

 スケートは好きです。試合に向かって練習がハードになると、休みたい気持ちは薄れていきます。今はもう「今季はいいスタートを切るぞ」としか思ってません。

 いいオフを過ごせたと思います。今年はけっこう、スケート以外のことをしました。京都に遊びに行ったほか、一番の目標だった自動車免許も1カ月集中で、一度も落ちることなく無事に取得できました。


■ちょっとした息抜きがいい気分転換に
 (免許をとったことで)行動範囲が広がったのがうれしいです。今までは地下鉄を利用していました。気づかれることはほとんどないんですけれど、あちこち移動するのに、時間がかかっていましたから。

 起きてスケート、食べてスケート、寝てスケート……、今まではだいたいそういう生活でした。でも、最近、「こういう時間の使い方があるんだな」って知りました。練習のある日でも、練習後に外食したり、ショッピングに行ったり、ちょっとした息抜きがいい気分転換になるんだ、って思いました。
 休みの日は、かなり自由にやっています。1人でも出歩きますよ。東京ではよくします。最近、面白かったのは代々木上原。商店街の路地裏とか楽しかった。巣鴨や浅草も興味あるんですが、さすがにフィギュアのシーズンが始まるので当分はお預けです。

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「ケーキは2個くらいペロリ。しっかり動いて体重はコントロールしている」(写真キャプションより)


■今季の課題はスピード
 表情が晴れやかになった? (一昨年まで師事していた)タチアナ・タラソワコーチはロシアにいるので、なかなか一緒にいられませんでした。そのため、1人で練習することが多く、ずっと気が張り詰めていました。それがとれたからじゃないですかね。

 昨年から佐藤信夫コーチについて、(妻の)久美子先生もいて、毎日誰かが見てくれているので安心しています。

 信夫先生には、スケーティングから教わりました。肩が上下運動しないこと、これがジャンプまですべてにつながること……。先生から言われている今季の課題はスピード。「スピードに勝る魅力はない」と話してくれています。


■昨季の教訓を肝に銘じて
 そして「成果や失敗を忘れない」ということも、昨季の教訓として肝に銘じています。

 ジャンプの失敗もそうですけれど、練習の仕方も……。(昨季は)同じ失敗を何回かしました。間違えたり、失敗することは「成功への道」でもあるんですけれど、何度も同じ過ちを繰り返してはいけません。

 そうならないように今季はあらかじめ、プログラムの構成を決めます。昨季は試合当日にトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳ぶか、跳ばないかを決めていましたけれど、今季はシーズン前に先生としっかり話し合って決めて、練習からそれで通すつもりです。
 21歳になって“年齢”は感じますよ。練習で一番つらいのは、曲をかけてプログラムを通してやったり、連続して同じパートを繰り返すことです。ものすごくスタミナを使います。練習は嫌ではないんですけれど、疲れるんです。昔は何回通してやっても、ぜんぜん余裕だったのに……。


■スケートと同じくらい踊るのも好き
 踊ることの楽しさを思い出すようにしています。曲の中でダンスをしているイメージ。そうするとあまり疲れません。踊りながら、いいポジションを探して滑ると、スケートって奥深いなって思います。

 久美子先生には、「(東日本大震災のチャリティーで、浅田がホスト役を務めたショーの)THE ICEのように滑りなさい」っていわれます。

 スケートと同じくらい、踊るのも好きなんですよ。でも、試合になると、どうしても勝負を意識してしまう。自分がまず楽しんだ「THE ICE」は、見に来てくれた方々の笑顔も感じられました。ショーのように「見せる」気持ちを持って滑ることもいいのかな、って思います。それは“新発見”です。

■フリーは可愛らしい部分もある“お姫様”
 フリーの「愛の夢」は昨季と同じプログラムですから、今季はだいぶ“しっくり”してきています。今は滑っているときは、気持ちも表情も「ハート」になっていると思う。

 新しく作ったショートプログラム(SP)の「シェヘラザード」は、タチアナ先生のところに振り付けに行くたびに聴いていて、いずれは滑りたかった曲です。多くのスケーターが滑っているけれど、私のはアレンジが効いていて、強いだけでなく、可愛らしい部分もある“お姫様”です。

 タチアナ先生は自分の違った部分を引き出してくれたと思う。昔の映像を見ると、ただかわいい、かわいいという感じが多かったでしょう? (そこから)3段階くらい引き上げて、大人の一歩を踏み出させてくれたと思います。
 フリーのローリー・ニコル先生は、小さいころから真央のことを知っている。たくさんのステップを教えてくれたのも、自分に合ったプログラムを作ってくれるのもローリー。


■ローリーとタチアナ先生の組み合わせはベスト
 タチアナ先生の動きは独特なんですけれど、ローリーは「こういう風に行きたいんだけどな」と自分が思っているところに、すんなり入ってくるような振り付けで、やりにくいところがありません。

 何よりローリーが素敵です。滑りが力強くてしなやかで、そんなローリーを見るのも好きです。愛というか、すごくスケートを愛してるなっていう気持ちを感じる先生です。ローリーとタチアナ先生の組み合わせは、今の自分にとってはベストだと思います。

 今季の初戦は11月のNHK杯(11~13日)で、過去2シーズンより1カ月ぐらい遅いです。その分、じっくり準備ができます。


■楽しんでどこまでできるのか
 昨季は皆さんをやきもきさせてしまって、「心配しました」という声もいただきましたから、今季はよい演技をお見せしたいですね。新しいことに挑戦するのでなく、今できることをしっかり自分のものにしたいです。

 ロシアの10代の選手や、新しい選手がどんどん出てくるのは時の流れ。真央も(昔は)そうだったんです。でも選手一人ひとり、個性は違います。自分は「きれいなスケーター」になりたいです。

 競技なので強い気持ちや、勝ち負けを意識することもあると思います。そうした気持ちを持ちつつ、自分が楽しんでどこまでできるのか? それを突き詰めていくのが、今年の真央の挑戦かもしれません。

2011年10月11日 日本経済新聞

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現在の真央選手がとても心身ともに良い状態のようで安心しました。とても良い表情をしていますね。
透明感もキラキラです。
やはり選手が一人で練習してシーズンに臨むというのはものすごい重荷を背負うことになるんだなあと改めて実感。しかも真央選手はそれを17歳の若さから続けて来ていました。その中で五輪で銀メダルを取り、世界女王に二度もなった。やはり並大抵の人ではないですね。選手としてのポテンシャルもですが、自らを律して競技に取り組む精神力もです。
去年から佐藤夫妻や小塚コーチ、小林コーチ(先日の小塚選手の特集の時にちらっと映りましたね)もいるという万全の状態でしたが、昨季一年大変なシーズンを乗り切り練習のやり方やコーチの指導方法にも慣れてきて、今きちんと自分のペースというのもつかめているのかなと思いました。信夫コーチの「スピードに勝る魅力なし」というポリシーも、しっかり真央選手に伝授されていますね。


また、オフアイスの過ごし方もすごく柔軟に、オンとオフの切り替えがかなりメリハリがついてきているようですね。彼女は10代という遊びたい盛りの時期にスケート一色の超ストイックな生活を送ってきましたが、このオフはアイスショーの出演も減らして練習に充てたため時間も比較的あったのかもしれません。これも佐藤コーチがしっかりとみていてくれている効果ですね。一人で練習していると「やらないと不安」という心境になり、どんどん練習時間が増えて行ったのかもしれません。
10代の頃はそれでも大丈夫だったかもしれませんが20代になってもそれを続けていたら、真央選手はいつか怪我をしたり、慢性的な故障を抱えるようになっていたかもしれません。そういう意味でもとてもよかったと思います。


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いろいろなジャンルを滑れて、「きれいなスケーターになりたい」という(写真キャプションより)


「成果や失敗を忘れない」という言葉がありましたが、同時に「失敗を恐れない」という気持ちも引き続き持って行って欲しいなと思います。
昨季ジャンプが全然まだ形にならない状態で出場したことは、覚悟していたとはいえ精神的にこたえた時期もあったのではないかと思いますが、あの時期を乗り越えたことを自信にして堂々と滑ってほしいですね。


佐藤久美子先生が「The ICEの時のように滑りなさい」というのはすごくよく分かります。あの時の真央選手は本当に神がかっていました。「I vow to thee my country」では強さと美しさを、ショパンのワルツでは優雅な軽さを、ルパンのペアプログラムではチャーミングな小悪魔性を十二分に表現していました。曲によって見せる世界が全く違っていて、真央選手の更なる演技への可能性、ポテンシャルの大きさを見た気がしました。
ですが本人も話す通り、試合となるとどの選手もアイスショーのように滑るというのはかなり精神的に難しくなります。でも、試合でもあのように滑ることをゴールにすれば、きっと試合(得点)にも良い影響を与えると思いますし、更にスケーターとして人々の記憶に残る演技を量産できそうな気がします。それはかなり難しいことだと思いますが・・・。



真央選手がThe ICEで披露した「I vow to thee my country」の動画を見ての各国ファンの反応をまとめています。


この取材自体、真央選手が前よりも改まった態度でなく、いい意味で素の真央選手らしくリラックスした様子にも感じられて、ああ本当に今充実しているんだな、と感じられました。内容的にもそれ以外のところもすごく良いインタビューでしたね。
今はアイスショーもなく、真央選手はシーズンの始まりが約ひと月遅くなるので、彼女の情報は一番出にくい時期です。そんな中、とても良いインタビューを読むことが出来ました。
日経新聞の「フィギュアの世界」はいつも内容がとても良いですよね。


これからシーズンまで怪我に気をつけて、このまま良い状態を保って更に演技や技術を磨いていってほしいと思います。
こういうのを読むと嬉しいんですけど、更にシーズンが待ち遠しくなりますよね~。あと約ひと月真央飢餓状態に耐えなきゃいけないのか、と思ったりもしました(笑)。

頑張ってください!

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<参考リンク>
フィギュアの世界 -日本経済新聞


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by toramomo0926 | 2011-10-12 05:18 | フィギュアスケート


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