スケートカナダ・男女シングル
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スケートカナダが終了。
今回所用のため全然リアルタイムで追い切れないまま終わってしまったスケカナ(涙)余りにももったいないメンツではありましたが・・・
今週末には中国杯がありますしあまり時間がとれないので、大変申し訳ございませんが今回は表彰台に乗った選手のみについて書いていきたいと思っております。


ISU Grand Prix of Figure Skating Skate Canada International
順位と得点詳細。
「Result」でそれぞれの種目の総合順位と総合得点が、
「Entries/Result Details」ではショートプログラム(SP)とフリーそれぞれの得点詳細が、
「Judges Score」ではSP/フリーで各選手の全ての要素の内容と、それにジャッジがどのように得点をつけたかを見ることができます。




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フィギュア=スケートカナダで高橋は3位、世界王者チャンが優勝
 [ミシソーガ(カナダ) 29日 ロイター] フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦、スケートカナダは29日、トロント近郊のミシソーガで男子フリーを行い、高橋大輔は合計237.87点で3位に終わった。

 ショートプログラム(SP)で3位だった世界選手権王者のパトリック・チャン(カナダ)が253.74点で優勝。SP1位のハビエル・フェルナンデス(スペイン)が2位だった。

2011年10月30日 ロイター通信

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男子の優勝はパトリック・チャン選手!
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SPの写真を見たとき、彼の衣装って似たのが多いなと思ったら、SPは昨季の「Take 5」を持ち越したんですね。
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それにしても、やはり今年も彼については点の出方は相変わらず高いなという印象が一番強いですね。正直演技よりも点数の印象の方が強い。これはキムヨナ選手と似てます、個人的に。演技よりも見た目と点数のギャップの方が印象に残り、肝心の演技があまり残らないんですよね・・・。

SPでは、最初の4回転トウループ(4T)をお手付き&ステップアウト、続くトリプルアクセル(3A)は回転が途中でほどけてしまい2Aに。それでも相変わらず高いPCSで救済されてSP3位、フリーは4Tでミスはありつつも次の4T-3Tのコンビネーションを成功させるなどフリーではトップに立ち優勝です。
彼については、致命的になるはずのSPのジャンプミスが全くと言っていいほど順位に影響しないんですよね。それだけ彼の滑りの技術は素晴らしいともいえるんですが、他の選手に比べて影響がなさすぎるのはちょっとアンフェアに思う時が増えています。これだと彼においてはSPのジャンプをすべてミスしても表彰台、または優勝を狙うのに全く影響がない状況=SPをやる意味がない状態になっているからです。しかもSPは演技時間も短く入れる要素はほぼ全て決まっています。それだけフリーよりも技術を重視する傾向が強い種目になるわけで、それでもこのような状態になってしまうとSPというシステムそのものの存在意義が問われるのではないかと考えるからです。
チャン選手は確かに全選手中トップの技術を持ってはいますが、他の選手に比べてその傾向が高すぎるように感じられ、他選手の得点(減点)傾向と比べても同じとは思えないフシがあるのも気になります。これもキム選手と同じです。

とはいえ、フリーで最初4T転倒しながら次の4T-3Tをばっちり決めたのは凄かったですね。そこはやはり世界王者の貫録を見せつけるものでした。やはり彼もシーズン初戦(ジャパンオープンはありましたけど、通常の試合形式として)は堅さもあったのかもしれませんね。
アランフェスは彼の滑りをじっくり見るのにすごく良いと思うのですが、他の選手がすでに何度も滑っているメジャーな曲をチョイスすることが多いのがもったいなく思える時もあります。
本当に素晴らしいスケーティング技術を持つ選手ですから、むしろ今季の高橋選手みたいにかなり冒険的な、滑りで曲の良さを引き出す、みたいな曲に是非いつかチャレンジしてもらいたいです。曲に負けない技術を持っているのですから、恐れずに挑戦してみてほしいなあ。

世界王者にもなったことですし、そろそろ他の選手の演技のイメージのない、オリジナリティのある選曲で「パトリック・チャンといえばこの曲!」という「代名詞」的なプログラムを作ってほしいところです(シーズン最初の試合でこんなことを言って申し訳ないですが・・・)
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フリーの衣装は小塚選手のSPと双璧をなす印象ですね(笑)パンツのステッチがインパクト大。

順当にGPS勝目を手にしました。おめでとうございます。次はフランス杯ですね。頑張ってください!

Patrick Chan 2011 Skate Canada FS -Adagio from Concierto de Aranjuez



2位にハビエル・フェルナンデス選手、今季いきなり躍進の銀メダルです!
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去年の滑りがすごく印象に残っていました。すごくスムーズな滑りと高くて美しいジャンプをする選手だなと思って注目していました。ただ昨季はフリー後半でちょっと疲れてしまったのか崩れてしまって順位を伸ばせませんでしたが、序盤の滑りを後半まで持っていければかなり伸びてくるだろうと思っていました。
今季早速きましたね!
SPの4T、着氷が一瞬危なかったけど柔らかい膝でしっかり持ちこたえました。スピンにおいてもう少し回転に速さが出れば更によくなると思いますが、現在でも軽やかに滑るスケート、凝った入り方のスピン、そして回転の速い美しいジャンプと、逆になぜ今まであまり上位に来ていなかったのかが不思議なくらいの素晴らしい選手ですよね。このままいけばこれから表彰台を争うメンバーの一人に確実に加わるだろうという嬉しい予感を感じさせる演技でした。チャン選手&高橋選手という世界王者二人と順位を争い表彰台に立ったという経験は、彼にとっても大きな自信になるでしょう。
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今季から彼はコーチをニコライ・モロゾフコーチからブライアン・オーサーコーチに変えました。
そういう人多くないですか?ゲデ子ちゃんとか、他にもいたような。あ、でもリッポンくんは更に別のコーチに移りましたけど・・・。
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彼の次の試合はロシア杯。次が今季の成長具合を見せつけるのに重要な試合になりますね。頑張ってください!

Javier Fernandez 2011 Skate Canada SP -I Love Paris, etc.



高橋大輔選手は銅メダルです!!
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2008年秋の膝の手術の時に入れたビスを抜く手術を今年のオフに行ったこともあり、ジャンプ等の調整は遅れ気味という高橋選手。ですがSPでの3Aは素晴らしい出来でしたね!フリーでも4回転フリップ(4F)に挑戦するなど、彼らしく今季も初戦からきっちり挑んできています。フリーの3Aも高く跳びすぎた、みたいな感じにも見えましたし、とりあえず順調にきているようです。
そしてスピンが年々よくなってますよね。今季特にスピードが出て、シットポジションなども深く、伸ばした足もまっすぐになってるように見えました。
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今季の高橋選手の選曲には、明確に「音楽と一体化した演技」を目指すという方向性が見えますね。
「音楽との調和」を重視したルール改正がなされた今季、選手の方向性は二手に分かれました。「演劇」方面か、「音との融合」方面です。
パトリック・チャン選手はSPでは(持ち越しとはいえ)前者、フリーでは後者に挑んでいるように見えます。サミュエル・コンテスティ選手やリチャード・ドーンブッシュ選手などは「演劇」ですね。コンテスティ選手はそもそもがそういう演技スタイルの選手なので、彼に風が吹いたという感じではありますが。
そして高橋選手や小塚選手などは、明確に「融合」に視点を定めています。
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高橋選手は「演劇」方面でも充分良いプログラム、よい演技を作ることができるでしょうし、すでに定評もあり、高い点も取れるでしょう。しかし彼は一方で「音を取る」ことも非常にうまい選手です。彼が今季どちを取るのかと思っていたのですが、ジャパンオープンでフリーの演技を見たときには「ああ、音の方にしたんだ。しかも思ったよりもずっと振り幅を大きく『音』に持って行ったんだな」とすごくコーフンしてしまいました(笑)。
彼にとっては「演劇」方面はある意味「道」で一種やりきった感がまだ残っているのかもしれないですね。彼にとって「演劇」と「音」、どちらの方向性がより自分の領域を広げるかと考えたときに、「音」のほうに可能性ややりがいを感じたのかもしれません。

SPは中近東?を連想させるような楽器の音色が印象的な、エキゾチックな音楽「In the Garden of Souls」、フリーはジャパンオープンで一気に惹きこまれた「Blues for Klook」。特にフリーは完成形を見るのが楽しみですね!
カナダの観客も、フリーはジャンプなどが完璧ではありませんでしたがステップや演技の中盤で歓声があがるなど、すごく温かく声援を送ってくれていましたね。バンクーバー五輪の時も思いましたけど、カナダのお客さんは盛り上げ上手です。本当にフィギュアスケートが好きなんでしょうねー。
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SPでスピンがレベル1になってしまったりしてましたが(涙)それでも音が1つ鳴っただけで、一歩踏み出しただけで客席の視線を一身にあつめ、固唾を呑んで見守るようにさせるのはさすがとしか言いようがありません。
彼はフィギュアスケート選手としてはベテランという年齢になり、若い力と戦うのは年々タフになりますが、やはりこういう演技は年輪を重ねないと難しいもの。円熟期の強みと貫録をこうやってどんどん出していって、彼にしか作れない世界をもっともっと見せてほしいと思っています。
高橋選手は次の試合はNHK杯。彼のプログラムは毎年好きですが、今季もSP、フリーともにすでに大好きです。次の試合が早くも楽しみです。

Daisuke Takahashi 2011 Skate Canada SP -In the Garden of Souls


Daisuke Takahashi 2011 Skate Canada FS -Blues for Klook



女子は14歳のエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手が、シニアデビュー戦でいきなり優勝の快挙です!
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フィギュア=スケートカナダで鈴木2位、トゥクタミシェワが優勝
 [ミシソーガ(カナダ) 29日 ロイター] フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦、スケートカナダは29日、トロント近郊のミシソーガで女子フリーを行い、鈴木明子は合計172.26点で2位に入った。

 前日のショートプログラム(SP)で4位だった鈴木は、フリーではトップの119.44点をマークした。
 GP初出場の14歳、エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)が177.38点で優勝した。

2011年10月30日 ロイター通信

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トゥクタミシェワ選手は、シニアデビュー初戦から素晴らしい演技でカナダの観客を虜にしましたね。
既に3ルッツ-3トウループ(3Lz-3T)の3高難度コンビネーションをきっちり試合で決めることができます。練習では3Aも着氷しているという話ですし、今後日本にとって脅威となる選手です。
ロシアが本気でソチ五輪のために育成してきた選手ですし、技術だけでなく芸術性も素晴らしく、シニアでもすんなりと、充分に戦える力をすでに持っています。
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初戦とは思えないとかよく聞きますけれど、若くて才能ある選手のシニアデビューは、ある意味一番ノープレッシャーというか一番楽しく試合ができる時代な気がしますね。硬くなってしまうことももちろんあるでしょうが、憧れていた選手たちと同じリンクで試合ができるという興奮と嬉しさの方が大きいように見受けられます。真央選手もそうでしたし、村上佳菜子選手も。ジュニアのトップ選手がシニアデビューする時はよく「初戦なのに」みたいなことを報道されますが、選手にとっては実は一番楽というか、楽しめる状況なのかもしれないなと見ていて思います。
今回のトゥクタミシェワ選手もそんな風に見えました。守るものはないですし、今の自分をそのまま出して評価を問うことを純粋にまっすぐにできる、貴重な時期です。
そしてその状況下できっちり結果を出せるかどうかで、今後シニアトップグループでやっていけるかというふるいにかけられる気がします。
彼女はもちろんその関門を軽々と突破して見せました。今後が本当に楽しみでもあり、日本としては怖くもあり(笑)という感じです。
ですが実力ある選手が正当に評価されることについてはどの国の選手であろうが見ていて気持ちいいものなので、是非頑張ってほしいです。
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彼女は大国ロシアの選手ですからルール改正などで潰しにかかられる心配も少ないと思いますし、あとは今後女性としての体の変化にどのくらい対応できるかがカギですね。
相変わらず超小顔の彼女ですが、この春の世界ジュニアより少し胴回りとか腕、下半身がちょっとお肉がついたように見えるのですが(気のせい?)本人も「思春期をどう乗り越えるか」みたいな話を以前していたので、きっとしっかり自覚をもってコントロールしてくると思います。
今年アデリーナ・ソトニコワ選手とともに女子シニアの台風の目になる選手です。ケガに気を付けて頑張ってください!

Elizaveta Tuktamisheva 2011 Skate Canada SP -Tango

先日のジャパンオープンの記事でフリーの動画を載せたので、今回はSPを。14歳でこれだけタンゴの雰囲気を無理なく出せるのもすごいなあ。彼女自身憂いのある感じの美少女ですし身体の動きもしなやかで美しいのでハマってますね。


2位に鈴木明子選手!!おめでとうございます!!!
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昨季は恐らく彼女にとって不完全燃焼だったと思いますが、オフの間にみっちりとスケーティングを磨き、見事に戻ってきたという感じです。
戻ったというか進化した上で戻ってきたという感じ!
進化したのは練習の成果もあってスケーティングですね。素人目にも明らかに滑りがスムーズになりスピードも出た感じがします。そして全体的な演技そのものが更に洗練され、質の良い滑りをジャッジにしっかりアピールできていました。
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SPはシャープなイメージ。メイクもすごく良かったです。

戻ってきたと感じるのは、明子選手の幸せオーラですね~。
五輪シーズンの時、演技する彼女の全身から滑る幸せというものが強く放出されていたように思います。昨季はそのオーラが少し鳴りを潜めていたように感じられましたが、今回の滑りは彼女がまた生まれ変わったように幸せそうに楽しそうに、軽やかに滑っていて、しかもその滑りが滑らかに力強くなっていたので更に素晴らしいものになっていました。見てて本当に幸せな気持ちになりました。
見ていて圧倒されたりハラハラしたり、ハッとさせられたりということはよくありますが、見ていて幸せな気持ちになれるという選手はそう多くありません。明子選手は本当にそういう力があるし、なんというか観客に共感させる力というのが凄い。それが彼女の余人に代えがたい魅力となってますね。そのオーラが戻ったことが本当にうれしいです。
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SPのハンガリアン・ラプソディは明子選手の得意分野であるラテン系でシャープかつ魅惑的に、フリーはクラシックの王道「こうもり」で軽やかに華やかに、というプログラムのバランスもすごくいいですよね。
明子選手の場合PCSがいつもあまり伸びないのが非常に残念なのですが、今回スケーティングスキルで8点をつけるジャッジも出てきています。フリーのみの順位は1位。今季はかなり成績を伸ばしそうですね~楽しみです!!
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Akiko Suzuki 2011 Skate Canada FS -Die Fledermaus Ouverture

最初のルッツ!幅のある素晴らしいジャンプでした。びっくりした。

3位はアシュリー・ワグナー選手!
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昨年あたりはちょっとびっくりするほどスリムになっていたアシュリーでしたが、今季ちょっと体型が戻った感じ。でも、私はこのくらいがアシュリーらしいと思うし、彼女に合ってると思います。
これまでフリーで一度転倒などのミスがあるとその後は糸が切れたようにミスを重ねてしまったり、疲れが演技にはっきりと出てしまったりということがありました。ですが今回の彼女は違いましたね。フリーでは一度中盤で転倒しましたが、その後はジャンプをきっちりと跳んでプログラムをまとめました。あと一歩のところで表彰台を逃すことがこのところ多かった彼女ですが、これはすごく良い変化だと思います。そしてそれは彼女が彼女の体の割に痩せすぎだったのを少し戻したことも無関係でないように思います。
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アシュリーは今季コンビネーションジャンプのセカンドジャンプをタノ・ジャンプ(片手または両手を上げた状態で跳ぶジャンプ。脇を締めて跳べないので難易度が上がる)にしてきましたね。SP、フリーともにきれいに決めています。
これからだんだん女子においても3-3が復活してくる流れになると思われますが、セカンドジャンプをダブルにする選手はこのように工夫して点数を上げるという道もありますよね。見栄えもしますし見てて楽しいです。

久しぶりに表彰台に戻ってきたアシュリー。アメリカ女子は今年も混戦・激戦となりそうですね。日本同様国内の争いも激しいので、是非頑張って欲しいと思います。おめでとうございます!

Ashley Wagner 2011 Skate Canada FS -Black Swan



本当は他にもここで書きたい選手はたくさんいたのですが、とりあえず今回はここまでに。時間があれば書き足すこともあるかもしれませんが、ちょっとわかりません。

それにしても今回も見ごたえのあるものでしたね~。これは次の中国杯もかなり楽しみになってきました。
日本からは織田信成選手、羽入結弦選手、そして村上佳菜子選手が出場です!頑張ってください!
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by toramomo0926 | 2011-11-01 08:52 | フィギュアスケート


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