トゥクタミシェワ選手、2戦目SPもトップ -2011年フランス杯
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グランプリシリーズ5戦目、フランス杯がスタート。
女子シングル・ショートプログラム(SP)はスケートカナダに続いて好調を維持しているエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手が唯一60点代を出してのトップ、2位にカロリーナ・コストナー選手、3位にアリッサ・シズニー選手と、今季の勢いと安定感がそのまま出たSPとなりました。
村上佳菜子選手は4位ですがまだ点差は離れていません。頑張ってください!


ISU Grand Prix 2011 Trophee Eric Bompard
順位と得点詳細。
「Result」でそれぞれの種目の総合順位と総合得点が、
「Entries/Result Details」ではショートプログラム(SP)とフリーそれぞれの得点詳細が、
「Judges Scores」ではSP/フリーで各選手の全ての要素の内容と、それにジャッジがどのように得点をつけたかを見ることができます。




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村上佳菜子は4位発進 トゥクタミシェワがトップ=エリック・ボンパール杯 女子SP
 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦、エリック・ボンパール杯は18日、フランスのパリで女子シングルのショートプログラムが行われ、日本の村上佳菜子(中京大中京高)は55.77点で4位につけた。スケートカナダ優勝の14歳、エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)が62.04点でトップに立ち、GPファイナル出場を決めているカロリーナ・コストナー(イタリア)が59.70点で2位、スケートアメリカ優勝のアリッサ・シズニー(米国)が57.25点で3位。

 村上は冒頭、トリプルフリップ-トリプルトゥループのコンビネーションジャンプに挑んだが2つ目のジャンプで回転不足(ダウングレード)判定。しかしその後は演技をまとめて3位と1.5点差につけた。トゥクタミシェワはトリプルルッツ-トリプルトゥループの連続ジャンプを始め、すべての要素をしっかりと決めてただ一人60点台をマーク。コストナー、シズニーの両選手はジャンプやステップなどにミスが出て得点が伸びなかった。

 女子シングルのフリースケーティングは19日(日本時間20日)に行われる。

<主な順位>
1位:エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)62.04
2位:カロリーナ・コストナー(イタリア)59.70
3位:アリッサ・シズニー(米国)57.25
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4位:村上佳菜子(日本)55.77

2011年11月19日 スポーツナビ

村上選手のコメント:
 村上佳菜子 もう少しスピードを出せればよかった。ステップは思い切りできたが、試合になるとジャンプに集中してしまう。(3回転)ループは自信を持って踏み切れた。(時事)

2011年11月19日 時事通信

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1位はエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手!
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相変わらず14歳とは思えない落ち着いた試合っぷりでした!彼女は瞳が印象的ですね。
テレ朝の地上波を見たのですが、「私たちの世代のフィギュアは進歩しているので、(自分は14歳だが)既に19歳くらいのレベルには達しています」と自信を秘めて語る物腰が「リトル・タラソワ」といっていいような落ち着きと貫録があります。
演技自体も、まったく危なげなかったです。
トリプルルッツ-トリプルトウループ(3Lz-3T)を落ち着き払って決めた後、3ループ(3Lo)、ダブルアクセル(2A)も余裕で美しく決めました・2Aは更にタノ(片手あるいは両手を上にあげた状態で跳ぶ。通常ジャンプは脇を締めて手を結んで跳ぶことで回転軸を細く早くするので、それができないために難易度が上がる。ブライアン・ボイタノ選手が元祖といわれている)にしていました。

ジャパンオープンから彼女を見てきて、演技を見ていると「うわーすごい!」と思うんですが、スケーティングスキルや技と技のつなぎなどの演技構成点(PCS)が思いのほか低いのが気になったので、今回そのあたりを意識的に見るようにしました。
レイバックスピンはポジションがとても美しく回転軸も細いのですが、同じ場所で回ることができずにらせんを描くようにどんどんズレていってしまっていました。ステップももうちょっと滑ればいいかなあという感じが「しないこともない」という風にも感じました。
しかし彼女はまだ14歳で、普通ならシニアにはいなくて当然の年齢ですしそのあたりはこれからどんどん磨かれていくでしょう。それにあの歳であれだけしっかり「踊り」というものが出来て、曲をシニアで戦う演技として見事に表現できている(しかもタンゴ)のは天賦の才ですね。年齢を重ねてもそういうセンスが身につかない選手もいます。優れた選手にはあれもこれもとつい求めてしまいますが、これ以上今の彼女に何かを望むのは無理ですね。スピンそのもののスピードも速いですし、本当に凄い選手が出てきたという印象は変わりません。
ただ、ジャッジも見るところは見てるんだなあと思いましたね。やはりシニアの本当にスケーティングがうまい選手とちゃんと点差はつけているんだなと。まあ、PCSはある意味実績で点が出るという側面も大きく、あまり出たての選手に高くつけることはほとんどないですけれど。
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とりあえず失敗しそうな気配が全くないので、このままいけばいきなり2冠もあるでしょうね。
ただ、14歳で凄いとは思うんですが、14歳だからなあという気もします。
浅田真央選手もそうでしたが、14歳~15歳というのは、一番ジャンプを迷いなく跳べる時期、少女としての体が一旦完成する時期で、一番体が思うように動く時期です。成長し女性らしく体が変わってくると、以前のようにジャンプが跳べなくなる時期が必ず来ます。そこで対応できず、そのまま一線から消えていく優秀な選手も沢山見てきました。女子は16~17歳くらいでそういう女性としての体の変化が顕著になり、本当に落ち着いてくるのはだいたい18歳~19歳くらいです。シニアトップとして残れるかどうかを、ここでもう一度「ふるいにかけられる」のです。これはどんな選手でも避けられません。
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彼女はソチ五輪の非常に有力な金メダル候補の一人ですが、その前に女性としての体の変化に対応せざるを得なくなります。既に昨季より少し体に肉がついているようにも見える。これからが大変だと思います。体が変わる前に大きな実績を挙げた選手は特に。
フィギュアを見ていると、若い素晴らしい選手が出てくると嬉しくワクワクするのですが、この子もこれからそういう時期を迎えることになるのか・・・と切ない気持ちにもなったりします。
難しさもあるでしょうが是非そこを乗り越えていって欲しいですね。頑張ってください!!

Elizaveta Tuktamisheva 2011 TEB SP -Tango



2位はカロリーナ・コストナー選手!
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既に2戦に出場し、グランプリファイナルを決めている彼女。今回出場するかどうかと思っていましたが、ちゃんと出てきましたね!
3T-3Tはしっかり決めましたが、次の3Loで手をついてしまいました。そして一番驚いたのは、ステップの最初の部分で転倒してしまったことでした。
彼女のスケーティング技術は素晴らしく、すごいディープエッジ(スケートの刃を傾けて滑る。伸びが出て見た目にも気持ちいい滑りとなるがそれだけ難易度が高く微妙なバランス感覚が必要とされる)なので、ちょっと乗りすぎてしまったんですかね・・・
演技終了後の表情がすごく印象的でした。笑ってるのか恥ずかしがっているのか、半泣きのようにも見えました。
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ジャンプ以外のところで失敗することはほとんどない選手なので、悔しかったんでしょうね・・・
安定している今季は彼女の神演技を多くみられそうな気もしています。フリーではパーフェクト目指して頑張ってください!
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Carolina Kostner 2011 TEB SP -Allegretto from Trio No. 2



3位はアリッサ・シズニー選手!
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今回ジャンプがうまくいきませんでしたね・・・全体的に着氷に乱れがあり、本人も一瞬ですが悔しそうな顔をしていました。
でも次の瞬間すぐにあの素晴らしい笑顔を浮かべてステップなどの要素をきちんとこなしたのには、彼女の試合を捨てずにベストを尽くすという気持ちの強さを感じました。
スピンの回転の速さとポジションの美しさはさすが。解説でもチェンジエッジしているのに回転速度が全く落ちず、しかも加速できるという技術を称賛していました。
今回の曲は彼女にぴったりですね。タイトルに合わせたばら色の衣装も、背中までデザインが凝っていて本当に素敵です。
フリーではまだ挽回できる点差です。是非頑張ってほしいと思います!
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Alissa Czisny 2011 TEB SP -La Vie en Rose



4位は村上佳菜子選手。
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今季は3フリップー3トウループ(3F-3T)と、苦手としている3Loにも挑戦しているためか、体が本格的に変化していることもあるのか、昨季よりもいろいろなことのコントロールに苦しんでいるように見えますね。
「大人の演技」を目指して今までのように自分のキャラクターをそのまま出して滑ることができなくなっていること、ロシアからの強烈なライバルからの突き上げを感じていること、1年経験した蓄積が、もう去年のような怖いもの知らずな彼女ではなくしているということもあるでしょう。
若くして世界の厳しい世界で戦う選手は大変ですね。
ですがこればかりは試合に出続けて、結果が良くても悪くてもそれをきちんと受け止めて次への課題にし克服していく、という地道な手順を踏むしかありません。今シニアで戦っている選手全てがそれを乗り越えてきています。アリッサ・シズニー選手などは一度キャリアが停滞し、普通の選手ならそのまま消えていくほどのブランクを乗り越えて今の彼女があります。
佳菜子ちゃんにとっては、今は全てが経験。彼女はジュニアまでずっとトップを走ってきた選手なのでプライドが傷つくこともあるでしょうが、ここは歯を食いしばって頑張ってほしいです。
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でも、そこまで急に「大人」になる必要はあるのだろうか、とちょっと考えてしまいますね。
佳菜子ちゃんらしい、去年のSPのような明るくはじける演技は、10代の時しかできません。ハイティーンでも難しくなる選手もいるでしょう。今の年齢とキャラクターに合った演技でもよかったんじゃないかと思います。でも体がここまで変わってきてしまっていると、それも難しいんですかね・・・

山田満知子コーチも、真央選手が「くるみ割り人形」のイメージをなかなか消してもらえず、いつまでも「子供っぽい」などと言われて苦労したことは見てきているはずなのに、佳菜子ちゃんに昨季あのようなプログラムを与えたのは何故なのか?と今の彼女を見ていて思うことがあります。
ジュニアの最後の年、彼女はもっと、それこそ「大人」のプログラムを滑っていました。今のような強い感じではありませんでしたが、「白鳥の湖」とか、もっとしっとりとした内容のプログラムだったと記憶しています。そして彼女はそれをしっかりこなしていました。
ジュニアで大人っぽいものを滑らせて、シニアで子供っぽい、というかそれよりももっと無邪気なプログラムを滑らせた。
確かに彼女のシニアでの認知度と人気を高め、インパクトを与える意味であの「Jumping Jack」はとてもうまく作用しましたが、「ネクター・フラメンコ&白鳥の湖」と今季との間に「Jumping Jack」をはさんだことで、振り幅がすごく大きくなってしまって、佳菜子ちゃんは新しい自分を発掘しようと一生懸命頑張っていますが、彼女自身も若干戸惑っているようにも見えます。
私たちも、昨季の「元気な佳菜子ちゃん」を見慣れてしまって、今のプログラムの内容にはちょっと違和感が(今のところ)あります。昨季の彼女が他の選手にはない輝きと魅力があったからこそ、あれだけあのプログラムでの彼女は多くの人に強い印象を残したのです。まだ17歳なのに、無理に大人にしようと急き立てて彼女の翼を奪っていないかという気持ちがよぎらないと言えば嘘になります。

もちろんいつまでもそういう演技だけではやっていけないでしょうからいつか大人の演技を身につける必要はあるでしょう。ですが時が来れば彼女自身も大人になりますし、それに合わせていってもよかったんじゃないかと。
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山田満知子コーチが彼女にどういう方針でプログラムを与えたのか、というのをちょっと聞きたいなと思います。昨季のデビューをとにかくインパクトのあるものにしようとしたのか、それともそれより先のことまで見てのことなのか。

まだシーズン序盤ですから、これから彼女は練習と試合を重ねて、シーズン終盤にしっかり演技として「もの」にしていくと思いますし、それが出来た時に彼女は更にスケーターとして成長すると思います。それを期待して満知子先生は彼女のプログラムを決めたのだとは思います。
ですが選手個人のキャラクターや良さを無視してまでも「大人になれ、色気を出せ」みたいなことを佳菜子ちゃんには押し付けてほしくないと思います。
マスコミもそうです。色気がなければ表現力なしという書き方をして、「オトナの演技」などという衣にくるんではいますが、結局彼らが望んでいるのはあまり上品とは言えないタイプのお色気でありセクシーショットだけだったりもしますから、あまり周囲に惑わされることなく、佳菜子ちゃんは佳菜子ちゃんらしい女性に、スケーターに成長していって欲しいと思います。
とはいえ、今回の挑戦は絶対に彼女にとっては「実」になっていくと思います。今はいろんなことに挑戦して方向性を探す時期ということで、目先の結果を恐れずに、彼女らしく思い切りよく戦い抜いてほしいと思います。
フリーも頑張ってください!!


Kanako Murakami 2011 TEB SP -Violin Muse



6位は地元フランスから、マエ=ベレニス・メイテ選手!NHK杯に続いて2週連続の出場です。
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おフランスで黒人の選手というと、スルヤ・ボナリーさんが未だ強い印象がありますね。メイテ選手はボナリーさんのような躍動感というよりも、もう少し女性らしさを出した演技という感じ。
でもさすがというべきか身体能力は高そうですよね。特にジャンプは軸もまっすぐで、とても美しいと思いました。
まだ粗さはありますが、これからちょっと楽しみだなという感じがしました。衣装もすごく似合う色をチョイスして似合ってましたし、これから洗練されていったら更に良くなりそうで楽しみです。
ダンス、バレエ、新体操(!)とバイオリンまで演奏するという多彩な彼女もこれから試合で目にする機会が増えていきそうですね。


Mae Berenice Meite 2011 TEB SP -Derniere lettre du Prince



今回も若い選手とシニアで勝ち抜いてきた選手とがぶつかる見ごたえある試合となりましたね。
上位3人がかなり盤石に思えますが、フリーはどうなるか楽しみです。


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by toramomo0926 | 2011-11-19 14:44 | フィギュアスケート


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