浅田真央選手、五輪シーズンのプログラムを発表
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本日、大阪にて夏のアイスショー「The ICE」の開催についての記者会見が行われ、ホストスケーターである浅田真央選手が出席。その際に来季のプログラムを発表しました。

ショートプログラム(SP):ノクターン(ショパン) 二番変ホ長調作品9-2 ローリー・ニコル振付
フリー(FS):ピアノ協奏曲2番 ハ短調 作品18 (ラフマニノフ) タチアナ・タラソワ振付
エキシビジョン(EX):スマイル ローリー・ニコル振付




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浅田真央:ショパンとラフマニノフで五輪シーズンへ
 フィギュアスケート女子の浅田真央(中京大)は31日、大阪市内で記者会見し、現役最後と位置づけるソチ冬季五輪シーズンの演目にショートプログラム(SP)はショパンの「ノクターン」、フリーはロシアの作曲家ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」を使うと明らかにした。クラシックの名曲で悲願の五輪金メダルを目指す。

 「ノクターン」は初出場の世界選手権で2位に入った2006〜07年シーズンもSPで使った思い出の曲。ラフマニノフの音楽はバンクーバー五輪で銀メダル、世界選手権で2度目の優勝を飾った09〜10年シーズンの「鐘」で滑った。

今季と同じくSPはローリー・ニコル、フリーはタチアナ・タラソワの両振付師が担当する。(共同)

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浅田真央:最終シーズンへ「いろんな表現できる」と自信
 ソチ五輪のある来季を最後に現役引退の意向を表明している浅田真央(中京大)が31日、大阪市内で記者会見し、新しい演目についてショートプログラム(SP)はショパンの「ノクターン」、フリーはラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」を選んだことを明らかにした。

 「ノクターン」は、2位になった2007年世界選手権でも使った曲。浅田は「一度滑ったことがあるので(タイミングは)取りやすい。いろんな表現ができると思う」と自信をのぞかせた。

 ラフマニノフの曲は、銀メダルだった10年バンクーバー五輪でも前奏曲「鐘」を使用。12〜13年シーズンのチャイコフスキーの「白鳥の湖」に続いてロシア人作曲家の音楽を選んだことに「(昨年)ソチで滑ったとき、初めから拍手をしてくれたのを覚えているので、そういう曲がいいと思った」と語った。

 振り付けは今季と同じく、SPはローリー・ニコル、フリーはタチアナ・タラソワが担当する。【藤田健志】

2013年5月31日 毎日新聞

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真央 ピンクのドレスでプログラム発表
 フィギュアスケートの浅田真央(22=中京大)が14年ソチ五輪シーズンに滑るプログラムを発表した。

美姫、国内では8カ月ぶり氷上の滑り披露

 31日、自身が出演する「THE ICE 2013」の開催発表記者会見に、ピンクのドレス姿で出席。愛知(7月24、25日)、大阪(7月27、28日)で開かれるショーについて、「新しいショート(プログラム=SP)とフリーを滑りたい」と希望した。SPはショパン作曲の「ノクターン」、フリーはラフマニノフ作曲の「ピアノ協奏曲第2番」になることを明かし、「どちらもテーマがある。練習して少しずつ表現できるようにしていきたい」と声を弾ませた。

2013年5月31日 日刊スポーツ

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浅田、ソチ五輪使用曲決定=「ノクターン」「ピアノ協奏曲」-フィギュア
 フィギュアスケート女子の浅田真央(22)=中京大=が31日、大阪市内で記者会見し、2014年ソチ五輪シーズンで使う曲目を明らかにした。ショートプログラム(SP)はショパンの「ノクターン」で、フリーはロシアの作曲家ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」。浅田は既に、同シーズン限りで現役を退く意向を表明している。
 SPの選曲について、浅田は「以前使ったことがあるが、大人っぽくなったイメージで表現したい」と説明。フリーに関しては「好きな曲で滑りやすい。昨季もこれにするか、(使用した)『白鳥の湖』にするか迷った」。銀メダルを獲得したバンクーバー五輪のフリーでは、同じラフマニノフ作曲の「前奏曲『鐘』」を使用したが、「レベルアップした表現ができると思う」と意欲を見せた。
 浅田によると振り付けのテーマは、SPが「初恋」、フリーは「うれしかったり悲しかったり、今までの自分の思いが詰まったもの」となった。

 浅田はこの日、自身が出演する7月のアイスショーについて「新しいプログラムを披露するのが楽しみ」と笑顔で語った。

2013年5月31日 時事通信

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真央選手は会見で「どちら(のプログラム)もテーマがある」と話していたそうですが、朝日新聞社のツイッターの情報によれば、SP(ショパン)は「初恋」、フリー(ラフマニノフ)は「今までの人生」がテーマになるとのこと。

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ローリーとタラソワ、そしてショパンとラフマニノフというのは、まさに真央選手の集大成にふさわしいチョイスだと思います。
そして五輪だからといってドラマチックな曲(ピアコンはドラマチックですが、映画音楽とかもっと明快なもの)、商業的な曲に走らず、最後まで正統派クラシックを貫いたところも、真央選手らしいなと思います。観客の拍手や曲の知名度が演技を助ける曲を選ばないというか、そうい視点を曲選びの要素に入れるという感覚がハナからないのでしょうね。
自分が滑っていてしっくりくる曲、演技に入り込める曲、力が湧いてくる曲、大好きだと思える曲。そういう要素でしか曲を選ばないというのも彼女がアスリートであり、一方で(あまり語られないけれど)彼女の芸術家たるところをすごく感じます。
浅田真央という選手はアスリート的な精神とか、ジャンプへのこだわりみたいな側面から語られる事が多いですが、実はものすごく芸術家肌のスケーターでもあると感じています。
そうでなければ、「鐘」という曲をあの大事なシーズンに選択することは有りえないと思いますし、これまでの彼女の曲のチョイスを見てきて、彼女の音楽性みたいなものに感心することがありました。とはいえ私も専門家ではないですしうまく表現できないのですが、とても質の良い音楽、「曲」というより「音楽」を選んできているように思うのです。


2010 World Championships FS -The Bells Of Moscow



2011 Japan Super Challenge -Ballade #1




2011 The ICE -Waltz No.7




2008 The ICE -Sing Sing Sing

佐藤有香さんの無糖解説が懐かしい…(笑)



SPのノクターンは、彼女のシニア本格参戦となった2006-2007シーズンのSPでも使用した曲。その前のシーズンもジュニアと掛け持ちながらシニアの試合には出ていたけど、シニア1本にした最初の年と、自身が集大成とする年に同じ曲を選ぶというのは非常に興味深いですね。
彼女自身ずっとトップスケーターとして走ってきて、その中でスケート技術のオーバーホールに取り組みスランプと言われながらも地道に努力を重ね、ついに目指す「スケート」を掴みかけている。そういう時期に五輪シーズンを迎え、来季以降のことは白紙としてこのシーズンに賭けるという彼女のスケート人生、彼女自身の人生でも一番重要な1年を迎えます。
その時に、ある意味初心に戻ったこの選曲というのは、彼女自身自分のこれまでの努力とその成果についての自信の表れと受け取ることも可能だと思いますが、どうなんでしょうか。ぜひ早い機会にそのあたりの話を聞きたいものです。

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テーマは「初恋」とのことですが、16歳の「ノクターン」は「恋への憧れ」というように私には見えていました。ですが彼女ももうこの9月で23歳になり、大人の女性としての滑り、表現を手に入れている。その中で「初恋」のテーマはどういう表現になるのでしょうか。初恋まっただ中の高揚感や切なさを表現するのか、過ぎ去ったものとして懐かしく思い出すようなものになるのか…今からとても楽しみですね。


2006 Skate America SP -Nocturne

シニア初戦となった2006年スケートアメリカのSP。この時の演技が私の中ではこのプログラムのベストパフォーマンスですね。ピアノ一本の旋律の繊細さを見事に表現しています。解説の元世界王者・ディック・バトンさんも大絶賛していました。


こういう繊細な美しい音楽を表現するのは、真央選手は得意ですね。
真央選手は、特に10代の頃は「表現力はいまひとつ」などと日本では言われていましたが、海外ではこのシニア初戦のノクターンからずっと「リリカル(抒情的)でエレガント、芸術性のあるスケーターであり、男並みの構成をこなすファイター」という評価でした。
日本のマスコミは思い切り「わかりやすく」しないと評価しませんから、真央選手の「わかりやすい」天真爛漫な姿に「子供っぽい」というレッテルを貼り、色気がないなどと下品なことしか言いませんでしたが、欧米のメディアやファンがその実情を知ったらさぞ驚くことだろうと思います。
こういう曲を表現する方が、実は難しいですよね。ドラマチックな曲を使ってそれらしく「演じる」ことの方がはるかにやりやすく、また実際以上の「わかりやすい」効果を生む場合も多いですが、そういうものよりも、シンプルなもの、静かなもの、また一見単調に思えるものを滑りこなしてみろ、プログラムとして一曲見せてみろと言われるのが一番地力を問われると私は思っています。
勿論スケーターによって得手不得手はありますから、自分の得意なもので勝負すればいいのですが、見る側が単に成熟していないだけなのに「わかりやすい」ものばかりが評価され、静謐なものが劣るとされるのには納得がいきません。


2008 World Championships SP -Fantasy for the Violin and Orchestra

真央選手17歳の時の演技。この大会で初の世界女王の座を手にしました。



真央選手を温室育ち、守られているなどと言っている人もいるようですが、彼女のスケート人生はそんな生易しいものではなかった。常に優勝を期待され、2位なら叩かれる。常に他選手と比較され、人格を否定するようなことを書かれたことも一度や二度ではない。試合でも海外の記者から「自分の点数は低すぎると思わない?」と尋ねられるほどの判定が続いても、一切弱音や不満を言わず、常に笑顔を見せてきました。母親を亡くした時でさえも。

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第一、どんな競技であっても世界トップを争うアスリートという世界に生きていて真摯に競技に向き合っている人間の中に、そんな境遇の人などいる訳がありません。
彼女がぬくぬく、ふわふわと、何も辛いことなど無いように見えるのだとしたら、それだけ彼女が強いからだということです。
普段の血ヘドを吐くような練習の日々や、有名になるにつれ起こるいろいろなストレスを全て笑顔で隠して、人に見せないようにしているからに他なりません。そしてだからこそ、今の真央選手のあの凛とした「品」が彼女の佇まいに醸し出されているのだろうと思います。

今回のThe ICE大阪開催においての宣伝の為に出演した大阪のTV番組の西靖アナウンサーも、ツイッターで真央選手の印象をこのように述べていました。

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私が真央選手を応援する理由はいろいろありますが、大きな理由のひとつが「小手先のことをしない」ということです。
演技も体全体を使って表現し、小手先で「それらしく見せる」ということをしない。ジャンプ等の技術にしても、五輪で銀メダルを取りながらそれまでの積み重ねを一切捨てて、プライドも何もなく一から自分の理想とするスケートを積み上げ直した。女性スケーターで20歳を超えればベテランと言われる世界で、しかも申し分ないキャリアを積み母国の期待も重く背負う中でそれは批判も甘んじて受けることを意味するし、下手したらそのままキャリアを終えるリスクすらある非常に勇気のいる決断でした。滑りにおいて何かよくない癖などがあったとしても、それをどうにかうまくカバーしたりジャッジから見えにくい形にするか、その要素では得点を諦めるというのが当たり前の中、彼女はそういう「小手先」なことはしなかった。そして3年がかりで彼女は自分が望む形を手に入れようとしています。
こういう強さ、まっすぐさが彼女の本質としてある限り、彼女を応援しようと思っています。

そしてそういう真央選手が集大成とするシーズン、「これまでの人生」というテーマにおいて、ラフマニノフはこれ以上ない選択と考えます。
また「鐘」の時のように「真央ちゃんには合わない。白鳥の湖のような曲の方がいい」という声は必ず出てくるとは思いますが(笑)、また「鐘」の時同様、彼女は口を閉じて、自分の演技でその声を黙らせてくれることだろうと思っています。
ここでこういう選曲をするところに、真央選手の音楽センスの素晴らしさを感じてしまうんですよね。

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ラフマニノフ ピアノ協奏曲2番。辻井信行さんの演奏。
高橋大輔選手がトリノ五輪で滑ったのでおなじみ。村主章枝さんも使った事ありますし、フィギュアスケート的にはメジャーな曲ですね。



もうISU(国際スケート連盟)とジャッジには期待は全くできないので、五輪のメダル云々は私はある意味どうでもいいとも考えるようになってしまっていますが、とにかくこの1年、真央選手が(そして全ての選手が)怪我なく、全てを出し切り満足してシーズンを終えられるように、結果よりも自分の中での手ごたえをしっかり感じられるシーズンになるように、ということしか今はありません。


がんばれ、真央選手。

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*** おまけ ***


西靖アナウンサーが進行・真央選手がゲスト出演した大阪のTV番組「ちちんぷいぷい」。2013年5月31日放映。


<参考リンク>
西 靖(y_west) -Twitter

<関連コラム>
「生き様」を見せる演技  2011年12月29日
「音楽を表現する」ということ  2008年12月18日

浅田真央選手、ソチ五輪後の引退を示唆  2013年4月16日
お詫び -2013年世界選手権の記事について  2013年3月21日
by toramomo0926 | 2013-05-31 15:59 | フィギュアスケート


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