高橋大輔選手、強烈な「復活」 ー2013NHK杯・男子シングル(その2)
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2013年グランプリシリーズ(GPS)、NHK杯男子シングルの続きです。


ISU Grand Prix NHK Trophy 2013
順位と得点詳細。
「Result」でそれぞれの種目の総合順位と総合得点が、
「Entries/Result Details」ではショートプログラム(SP)とフリーそれぞれの得点詳細が、
「Judges Scores」ではSP/フリーで各選手の全ての要素の内容と、それにジャッジがどのように得点をつけたかを見ることができます。




2位に織田信成選手!
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逆転2位の織田、五輪代表争いへ「4回転をもっと決めないと」=フィギュアNHK杯
(略) 一方、ショート3位だった織田信成(関西大学大学院)は、冒頭の4回転が3回転になってしまう失敗があったものの、続く4回転トゥループを成功させると、その後も次々とジャンプを成功。軽快な音楽に乗せたステップ、スピンもきれいに決め、笑顔のフィニッシュで逆転2位(フリー170.46点、合計253.16点)に入った。

 織田は「練習でも失敗してもあきらめずに挽回するという練習をやっていました。その成果が出た」とニッコリ。ただ、五輪代表争いは「4回転をもっと決めていかないと争うのは難しい」とまったく楽観視はしていない。「もちろん五輪には行きたい。最大限の力を出せるように頑張りたい」と力を込めた。

 以下は演技後の織田のコメント。

■織田信成「もっと自分を鍛え上げていきたい」
「最初のジャンプをミスしましたが、そのあとはきれいに挽回できました。練習でも失敗してもあきらめずに挽回するという練習をやっていました。練習だとどうしても簡単にあきらめられるので、最初からやり直そうというのじゃなくて集中して、ジャンプを失敗しても、そのあと滑るという練習のやり方に変えました。その成果が出たかなと思います。(4回転について)行けると思ったんですけど、跳び急いでしまったかなという感じで、自分の本来のジャンプと違ったので、途中で回転をやめて、次の4回転に賭けようと思っていました。2本目を課題にしていたので、母からも『2本目跳ぶなんてすごいね』と言われました(笑)。トレーニングでも1つひとつのジャンプの質を上げるトレーニングをしていたし、氷上の上でもランディングであったり、回転をしっかりする練習をしてきました。それに加えて体力づくりも、自分の強さにつながっていたと思うので、もっと自分を鍛え上げていきたいと思います。

(代表争いはまだまだ続く)原点でも課題でもある4回転をもっと決めていかないと争うのは難しいと思うし、トップの選手が出す力以上に自分をアピールしないと厳しいと思うので、最大限の力を出せるように頑張りたいです。もちろん五輪には行きたいですし、誰よりも強い気持ちを持って、練習でも1日1日をしっかりやっていきたいです」

2013年11月9日 スポーツナビ

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SP3位の織田「今日の歓声を支えに」=フィギュアNHK杯
 (冒頭は試合結果の為略)一方、5年ぶり3度目のNHK杯優勝を目指す織田信成(関西大学大学院)も4回転トゥループ-3回転トゥループを決めるなどミスのない演技に思えたが、ジャッジの判定では得点が伸びず82.70点。3位スタートとなった。

 演技後、「完ぺきにいけたなと思いましたが、それは僕じゃなくジャッジの方が判断すること。また次につなげたい」と織田。すでに気持ちはフリーへと切り替えており、4回転ジャンプも「いままでの練習を信じていけば跳べると思います」と手応え十分に話した。

■織田信成「点数は気にせずに今日いただいた歓声を支えに」
「今回は笑顔で滑ることが1つのテーマ。ジャンプはきれいに入ったと思いますが、判定は違いました。次に向けてしっかり修正したいです。最後のキャメルスピンが少しうまくいかなかったかもしれません。この間のドイツの大会ではノーミスで滑って、87点台だったので、それに届かなかったのは残念です。ただ、久しぶりの日本での国際大会で、良い滑りを見せることができたと思うので、点数は気にせずに今日いただいた歓声を支えに頑張りたいと思います。いまのところ風邪やケガもなくできているのが一番かなと思うので、順調に調整は進んでいるかなと。(日本から3選手が出ているが意識は?)みんな五輪に出たいと思って滑っていると思うので、そういう面ではやはり意識はしますね。(4回転ジャンプについて)冒頭に高得点を狙えるジャンプが入っているので、思い切って平常心で落ち着いてやって、いままでの練習を信じていけば跳べると思います。

(演技の感触は)完ぺきにいけたなと思いましたが、それは僕じゃなくジャッジの方が判断すること。また次につなげたいと思います。一番恐れていたのはスケートカナダと同じミスをすることでした。ただ今日お客さんからいただいた声援はかなり自信になりました。練習を信じるしかないと思っていましたし、カナダから短い時間でしたが、4回転をしっかりと練習してきて、そのことをイメージしながら信じてやることができました。思っていたより滑らかに滑れたとは思います。(トランジションを課題に上げていたが)前は7.18とかだったので、7.79まで上がったのはうれしいですね。走って跳んでみたいな印象にならないように気をつけていたので、そこを評価していただけたのはうれしいです」

2013年11月8日 スポーツナビ

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SPの4回転-3回転のトウループ(4T-3T)が回転不足を取られたのは本当に気の毒というか、ちょっと厳しすぎると思いました。織田選手本人もキス&クライでショックを隠せない様子でしたね。得点的にもそうですが、翌日のフリーでの彼の精神状態に影響しないかが心配でした。
フリーの冒頭の4T-3Tのセカンドジャンプが1回転になり、ちょっと滑りに元気がないように感じられた時にはこのままズルズルと崩れてしまうのではと不安になったんですが、その後尻上がりに調子を上げ、終盤はとても良い表情で、躍動するウィリアム・テルを見せてくれました。
ただ、回転不足もそうですが、スピンやステップで取りこぼしをしているのがもったいないですね。今やトップ選手はスピンとステップはレベル4を揃えるのが当然のような感じになっているので、僅差の争いではそういう所の細かい取りこぼしが順位に大きな影響を及ぼすことになります。次の試合からはそこをしっかり安定してとれるようになる事が、五輪出場とその先の結果を残す為には絶対に必要になりますね。

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ですが今回見ていて織田選手は精神的に強くなったというか、しっかりしたな、と思いましたね。世界選手権でメダルを逃した後怪我にも苦しみ、バンクーバー五輪後はあまり良いシーズンを送れていませんでしたが、結婚して二児の父になり、彼も常に「家族が心の支え」と話していますが、本当にご家族を持ったという自覚が彼を強くしたんだなと感じました。
彼以上に柔らかくジャンプを降りられる選手を他に知りません。美しいジャンプを思い切り跳べる体に良い時期に戻ってきて、彼もしっかり五輪争いに食い込んできています。奥様やお子さんに五輪で滑るパパを是非見せてあげてほしいと思います。頑張ってください!


Nobunari Oda 2013 NHK Trophy SP -Cotton Club



FS -Wilhelm Tell Overture




3位にジェレミー・アボット選手です!!
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彼はNHK杯には何度も出場していますが、これまであまり満足いく演技・結果がなかったそうで「これまでのNHK杯は自分にとって呪われたような感じだったが、今回それが払拭出来た」というような事を話していたそうです(笑)。
彼は4回転についてはまだ安定しておらず、いい時はいいのですがまだ試合での確率は高くない印象。これは時の運という感じですが(すみません)、彼の調子(=結果)の善し悪しはトリプルアクセル(3A)にかかっているように感じています。4Tの成否に拘らず、次の3Aを決められるかがその後の演技を決定づけるような印象を持っているのですが、今大会は彼のとても大きくてきれいな3Aを何度も見られて本当に嬉しかったです。

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フリー直後のこの笑顔がすごく印象的でした。


そして今大会衣装を変えてきていましたが、良いですね!今回の衣装の方がSP、フリーともに印象に残る感じがします。SPの深い紫とちょっと入ったキラキラは曲のイメージ通りの小粋な感じだし、フリーのエクソジェネシスの衣装はいろんな色が混じっているけれどうるさい感じでなくて、曲の星空みたいなスケールの大きさとすごくマッチしてると思います。
ジャンプが決まると彼の滑りは更に引力を増す感じで、どんどん引き込まれます。フリーを終えた時の彼の嬉しそうな顔が忘れられません。彼が五輪でこの二つの素晴らしい作品を滑る姿を是非見たいと思っています。
怪我には気をつけて、頑張ってください!!!


Jeremy Abbott 2013 NHK Trophy SP -Lilies of the Valley



FS -Exogenesis

British Eurosportの実況・解説がべた褒めです(笑)「このプログラムの再演は素晴らしい決断。自分にとってこれこそが男子フィギュアの全てだ。最も素晴らしいプログラムの一つ」的な(正確ではないかもしれません)事を言ってますね。私も同感です!



4位にアダム・リッポン選手!
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4ルッツ(4Lz)という凄い技を手に入れつつある彼。今回跳ぶかどうかが注目されましたが、4トウループ(4T)にしてきましたね。もしかして少し疲れが出ているのかもしれませんが、ステップでよろめいたり、普段の彼では考えられないようなミスが出てびっくりしました。4回転もトウループであればかなり安定して跳べる選手なのに、今回決める事ができませんでしたね。表彰台を逃してしまったのは残念でした。

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そしてやはり、表彰台の常連になるには、もう少し演技構成点(PCS)を全体的に底上げする必要がありますね。5項目のうち3項目くらいは8点を揃えられるようにしないと、なかなか点が伸びきりません。そう考えると、せめてソチまでは有香さんのところにいた方がよかったんじゃないかなーという気もしないでもないです。でも一時期かなり粗くなってしまったスケーティングはだいぶなおってきたように感じます。
とはいえ、彼の軽やかで滑らかなスケートのタッチは天性のものだと思うしすごく好きです。まだ彼は若いし選手としてのピークはこれからだと思うので、楽しみにしていきたいです。
アメリカ男子の五輪枠は「2」。こちらも厳しい戦いになりますが、是非五輪枠を取ってもらいたい!と思います(こうやって書いてると、みんな好きだし全員に五輪に行ってもらいたいと書いてしまいますね…)。
頑張ってください!!


Adam Rippon 2013 NHK Trophy SP -Suite from Carmen for Strings and Drums



FS -L'après-midi d'un faune

「牧神の午後」は彼にとても合っている曲だと思います!



5位にハビエル・フェルナンデス選手。まさかの順位です。
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日本勢の優勝の強力な壁になると思われていたハビエルですが、今大会はジャンプがいつもの安定を欠いていて、解説者の方も驚いていましたね。ちょっと歯車が狂ったまま戻せなかった感じで、SPは3位でしたがフリーでは7位となってしまい、総合5位でした。

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最近の彼は大崩れしないイメージがあったのでびっくり。こんなこともあるんですね…
ですが彼にとってはこれがシーズン初戦。高橋選手や織田選手のように既にメジャー大会2試合目(変則的なジャパンオープンを入れたら3戦目)というちょっと「固まってきている」選手とはちょっと違って、やっぱり硬さがあったのかもしれませんね。
彼にとっては初の五輪シーズンということもありますしメダルを狙える位置にいますから、いろいろ考えてしまう事もあるかもしれませんが、自分の伸びやかな滑りと美しいジャンプを信じて、自分の力をそのまま出して行ってほしいなと思います。
頑張って下さい!!


Javier Fernandez 2013 NHK Trophy SP -Satan Takes a Holiday



FS -Peter Gun /Harlem Nocturne




6位は無良崇人選手です!
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6位の無良「もう一段階仕上げることができなかった」=フィギュアNHK杯
(略)一方、無良崇人(岡山国際スケートリンク)はフリー147.25点、ショートプログラムとの合計227.22点で6位だった。

 以下は試合後の無良のコメント。

■無良崇人「今後は『Shogun』をしっかりレベルアップさせたい」
「前半はやることはしっかりできていたと思うんですけど、後半はミスが出て残念です。もう少し時間が必要だったかなと思います。でもこの場でやることができて良かったです。プログラムを戻して、ある程度の形にするのが精いっぱいでした。そこからもう一段階仕上げるということができなかった。それが出てしまいました。(4回転について)自分の思った跳び上がりと違った。転倒しそうな感じがあったんですが、何とか立っていたという感じです。まだまだですね。

(五輪争いに向けて)まだSPも伸びしろがあると思うし、FSもやりがいがある。全日本選手権までにさらに仕上げをするというところをしっかりやって、あとはジャンプの調子を上げて試合に臨めればいいかなと思います。(五輪への思いは)かなり厳しいと思うんですけど、わずかでも可能性がある限り信じてやっていきたいです。(どういう点が良かった?)練習の中で中盤のループやアクセルの失敗が多かったんですけど、そこをコントロールしながらできたのは全日本選手権に向けて良かったところだと思います。

(プログラムを元に戻す決断について)スケートカナダで得た評価はありえないくらい低かったので、正直悔しかった思いもありましたし、これを次のNHK杯までに直しに行って仕上げる時間がなかった。去年の演技のイメージを持っていたし、『戻した方がいいんじゃないか』というのも周りの声もありました。最終的に戻したほうが自分がしっかりできたんじゃないかというのが大きかったですね。

(スケートカナダの前からFSはやりづらさがあったのか?)実際のところ、3シーズン前のジャンプに頼ったプログラムというのを思い起こすような感じが若干して、力が入れば入るほどジャンプも失敗するし、プログラムとして成り立たなくてなっていました。そういうところはスケートカナダの前から感じていました。今後は『Shogun』をしっかりレベルアップさせて、仕上げていくつもりです」

2013年11月9日 スポーツナビ

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フリーを昨季の「Shogun」に戻して臨んだNHK杯。
以前のプログラムにシーズンに入ってから戻すというのは、全く違うものにするよりはいいかもしれませんがそれはそれで難しそうです。今季のプログラムをやるつもりでそちらを滑りこんでいた訳ですから、その修正は技術的にも気持ち的にも簡単ではないと思います。昨季よりも滑りが向上したりジャンプが変わっていたりするとそこでも調整が必要になる。時間が足りなかった、というのはそういう事でしょうね。

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ここから全日本まで、約ひと月ちょっとあります。日本男子の五輪出場枠争いはかなり激しい状況にはなっていますが、全日本では何があるかわかりませんし、ファイナルに出られる人も出られない人も、全日本のフリーを滑りきるまでは、最後まで諦めずにやりぬく姿勢が今後問われることになりますね。
全日本では無良選手のSP・フリーパーフェクトを是非見たい!両方とても素敵で彼の違った魅力をアピールできるプログラムなので、完成版を楽しみにしたいと思います。
頑張って下さい!!


Takahito Mura 2013 NHK Trophy SP -Minnie the Moocher/Jumpin' Jack



FS -Shogun




今年もNHK杯は全日満席となり、大いに盛り上がりました。
ペアやアイスダンスでも大入りとなり、国に関係なく良い演技にはスタンディングオベーションをする日本の観客に、海外のスケーターの方々のとても喜んでいる発言やツイートを沢山見ました。感激して涙ぐんでいる選手もいましたね。
フィギュアは海外では観客動員が減っていてガラガラの会場というのも珍しくなくなってしまっていますが、やっぱりたくさんのお客さんに見てもらって拍手やスタオベを受けると励みになるんだな、とじーんとしました。
全ての選手に温かい雰囲気で、とても良い大会になったと思います。

選手の皆様、お疲れ様でした!!

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表彰式。今年も和み系。




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