パトリック・チャン選手、完璧な演技での完全優勝 ー2013フランス杯・男子シングル
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2013年グランプリシリーズ(GPS)フランス杯・男子シングルは、パトリック・チャン選手がショートプログラム(SP)とフリーにおいて圧巻の神演技、自身も観客も納得の最高の演技を見せ、295.27というものすごいスコアで優勝です!
2位には羽生結弦選手が入りグランプリファイナル行きを決め、3位には今季シニアデビューの大注目株、ジェイソン・ブラウン選手が入りました!

フランス杯の結果を受けて、男子はパトリック・チャン選手、羽生結弦選手、ハンヤン選手、高橋大輔選手のファイナル出場が決定しました。残り2枠は最終戦のロシア杯で決まります。


ISU Grand Prix Trophee Eric Bompard 2013
順位と得点詳細。
「Result」でそれぞれの種目の総合順位と総合得点が、
「Entries/Result Details」ではショートプログラム(SP)とフリーそれぞれの得点詳細が、
「Judges Scores」ではSP/フリーで各選手の全ての要素の内容と、それにジャッジがどのように得点をつけたかを見ることができます。

*文字数セーブのため、以下の記述での大会名は、「フランス杯」または略称である「TEB」と表記させて頂きます。





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羽生2位でファイナルへ 優勝のチャン歴代最高295.27点=フィギュア

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦・エリック・ボンパール杯第2日が16日(現地時間)、パリのベルシー体育館で行われた。

 男子フリースケーティングでは羽生結弦(ANA)がフリー168.22点、合計263.59点で2位に入った。優勝は世界選手権3連覇中の王者、パトリック・チャン(カナダ)でフリー196.75点、合計295.27点。チャンは2011年世界選手権で自らが記録した歴代最高280.98点を大幅に更新した。
 この結果、羽生、チャン、NHK杯優勝の高橋大輔(関大大学院)のGPファイナル(12月5日開幕、福岡)進出が決まった。

 なお、3位には今季シニアデビューの18歳、ジェイソン・ブラウン(米国)がフリー158.32点、合計243.09点で入り、初のGP表彰台に上がった。

2013年11月17日 スポーツナビ

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文句なしの優勝はパトリック・チャン選手!

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世界最高得点更新のチャン「今日は自分で自分をほめたい」

フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦、フランス杯最終日は16日、パリで行われ、男子は、ショートプログラム(SP)SPで世界歴代最高点の98・52をマークした首位のパトリック・チャン(カナダ)が、フリーでも1位の196・75点をマークし、合計295・27点でGP通算11勝目をマークした。フリー、合計とも世界歴代最高を更新した。これまでの最高点は、2011年世界選手権でチャン自らが記録した280.98点だった。

 ソチ五輪に向けて強さを印象付けたチャンは「こんなにうまくできたことはない。自分を批判することはよくあるけれど、いつかは自分で自分を褒めたいと思っていた。それが今日だ」と満面の笑み。「本当に自由に滑ることができた。幸せだ」と続けた。

2013年11月17日 スポニチアネックス

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「本当に自由に滑ることが出来た」という言葉がすごく印象に残りました。
実際、今大会のチャン選手は余計な力が一切入っていなくて、でも全てのジャンプが力強く、スケーティングは勿論素晴らしいし、頭から爪先まで全てにとてもいい緊張感と神経が行き届いた演技だったと思います。
フリーは技術点のみで100点を越えるという、ついに宇宙の領域へ(笑)。あまり想像したことがなかった300点越えというのも今シーズン達成するのではないかと思えてきました。
ただ、五輪シーズンに点がインフレ化するのはよくあることなんですけどね。バンクーバー五輪もそうでしたし。
点数、特に「歴代最高」云々というのはあまり意味はない…というと語弊がありますけど、それほど騒がれるべきことではないように個人的には思っています。昔から今まで同じルールなら別ですが、同じスポーツかというくらいこれまでいろいろルールも評価の傾向も変わってきていますから、数字だけで比較するのは無理があるからです。
ですが、今回のチャン選手の演技は掛け値なしに、むしろ「歴代最高得点」とかそういう基準を持ち出さなくても、誰が見ても素晴らしい演技と感じたのではないでしょうか。

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彼はここ数年、出場した試合のほぼ全てで優勝していますが、 SPとフリーをノーミスで揃えられたことは殆どありません(それは男子シングルが人間の限界に挑戦するようなもの凄いレベルになっているので、他の選手も変わりありませんが)。むしろ他の選手よりミスが多くても、彼の地力、スケート技術の高さから演技構成点(PCS)に救済される形で逃げ切るケースが非常に多く、正直彼は優勝に値する演技はしなかったと思える試合もいくつかありました。彼もそういう評価があったことは知っていると思います。ブーイングされたこともありましたし。
ソチ五輪の金メダルが手に届くところにある今、彼は今季どうしても揺るがない王者としての力を見せつけたいと思っているのでしょうね。今回は本当に、どこからも文句のつけようのない演技でした。素晴らしかった。

私はチャン選手は、正直言って好きなタイプの選手ではありません(人間的にじゃないですよ!あくまで演技スタイルの話です)。彼の滑りは素晴らしいと思っても、心に響くものがあまり感じられないことが多く、何度も見たいと思える感じではないのが正直なところでした。ショーケースのサンプルを見るような感じで、すごいなと思っても心の中はシーンと静まり返るような気持ちになることも珍しくはなかった。
ですが、今季の彼は素晴らしいなと思って見ています。まだ心を揺さぶられるという感じではないですが、彼の演技に何かが加わったように感じられます。それが何かが自分でも分からなくて動画を見てみるのですが、まだよく分かりません。
表現面をここ数年強化しているという話を前に聞いたので、その成果が出ているのでしょうか。それとも曲の選択が(私の感想ですが)彼に合っているのでしょうか。まだ結論が出ていません。
なので、逆に彼に聞いてみたい気持ちがあります。昨季までと今季で、スケートに対しての考えや感じ方に変化がありましたか?自分の演技が変わったと思いますか?そうだとしたらどのあたりでしょうか?と、聞いてみたい。

このシーズン序盤からこんなに非の打ち所のない演技をして、来年2月まで持つのかとちょっと心配になるくらいですが、これだけの点をとってもまだスピンはレベル3のものがあり、まだ点を上積みできる余地があるのが凄い。
このまま怪我に気をつけて初の五輪表彰台(今となってはまだ五輪メダルがないというのが信じられない)まで駆け上がってほしいと思います。トリプルアクセル(3A)券は手放さないように!!(笑)
おめでとうございます!!これからも頑張ってください!!!

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Patrick Chan 2013 TEB SP -Elegy



FS -Four Seasons

British Eurosportの実況の方が、何故か突然チャン選手の国籍を忘れる事態に(笑)中国と言ってますが、もちろんカナダの選手です(笑)。



2位に羽生結弦選手!自己ベスト更新でファイナル出場も手にしました!

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羽生 世界王者に屈するも2位でGPファイナル進出
 男子フリーが行われ、羽生結弦(ゆづる、18=ANA)が168・22点をマーク。SP自己ベストの95・37点と合わせ合計を263・59点とし、2位に入った。GPシリーズ3勝目はならなかったが、GP上位6人が争うファイナル(12月5日開幕、福岡)への進出が決定。世界選手権3連覇中のパトリック・チャン(22=カナダ)が、世界最高得点となる合計295・27点で優勝した。

 世界王者に屈しても、最低限の目標は達成した。10月のスケートカナダでは27・23点の大差で完敗した、チャンとの再戦。前日(15日)のSPを終えて3・15点差の2位につけていた羽生は、逆転でのGPシリーズ3勝目はならなかった。だが、世界選手権で銅メダルを獲得した2季前に滑った「ロミオとジュリエット」に乗って2位に入り、ファイナルの出場権を手に入れた。

 スケートカナダではチャンを意識しすぎて自滅したが、今大会は自分の世界に入り込んでいた。15日のSP。羽生の前に演技したチャンが、いきなり98・52点の世界最高得点をマーク。観客の反応からライバルの好発進を感じ取ったが、心はぶれなかった。演技を始める前、リンク上で目を閉じ、ブライアン・オーサー・コーチのアドバイスに意識を集中。95・37点の自己ベストを叩き出し、「久しぶりにSPをノーミスでできてうれしい」と笑みを浮かべていた。

 SPでは、ジャンプなどの技術面以上に、表現力を示す5項目の演技点で高評価を得たことが大きかった。チャンに完敗したスケートカナダのように精彩を欠けば「今季の羽生はこんなものなんだと(ジャッジに)思われて演技点が伸びなくなる。それが一番怖かった」と言う。スケートカナダで40・71点だった演技点は、今大会では42・65点とアップ。不安を払拭(しょく)し、「ホッとした」と本音もこぼした。

 GPシリーズ上位6選手が争うファイナルは、ソチ五輪に向けた絶好の前哨戦。日本人最上位メダリストになれば、代表入りに前進する。パリでつかんだ手応えが、夢舞台への道を切り開く。

 ▼羽生結弦 サルコーは不運としか言いようがない。でも、気持ちが落ち込むところで修正できた。しっかりとやり切れたことが収穫。(出だしの4回転でミスも持ちこたえ)

 ▼ソチ五輪への道 男女ともに日本の枠は3。最終選考会は、12月21日開幕の全日本選手権(埼玉)で、優勝者は代表に決定。2人目はGPファイナル日本人最上位メダリストと全日本の2、3位選手の中から選考。2人目の選考から漏れた選手と、世界ランク日本人上位3人、国際大会のベストスコア日本人上位3人の中から3人目の代表を選考する。

 ▽GPシリーズ 6大会行われ、選手は2大会にエントリー。各大会の1位に15点、2位13点、3位11点、4位9点、5位7点、6位5点、7位4点、8位3点のポイントが与えられ、合計ポイント上位6選手がファイナル(12月5日開幕、福岡)に進出。昨季のファイナル進出ラインは男子が24点、女子が22点だった。

2013年11月17日 スポニチアネックス

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スケートカナダよりずっと良い演技が出来たということで、彼自身チャン選手に大差を付けられての2位ではありましたが、清々しい表情をしていましたね。
実際スケートも、スケカナよりずっとよく滑っていたと思います。特にSPでは躍動感が感じられました。ジャンプが決まると気持ちも乗るということなのかもしれませんが、楽しそうに滑っているのが印象に残りました。
フリーの冒頭の2つの4回転のミスには驚きました。こういう時の羽生選手はとたんに元気がなくなって(転倒は体力も奪いますしね)、疲れが目に見えてしまう演技になることが多かったですが、今回は最後まで気持ちを切らさず、しっかり滑りきっていました。ジャンプを落ち着いて決めていくことで、彼自身もプログラムの集中の中に戻っていけていたように見えました。

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大きな得点源である4回転2回分の点をほぼ失っても自己ベスト更新で2位というのは彼にとっても大きな自信になると思います。今回自分に集中するということを強調していましたが、そういう面でも今大会はいろんな課題を克服出来た試合だったのではないでしょうか。
ファイナルではパーフェクトを是非見たいですね!! 怪我と疲労の蓄積には気をつけて、頑張ってください!!

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彼のプーさん好きはすっかり有名になりましたね。キス&クライではプレゼントがプーさんだらけに(笑)


Yuzuru Hanyu 2013 TEB SP -Parisian Walkaways




FS -Romeo and Juliet




3位にジェイソン・ブラウン選手!
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彼の演技を見るたびに彼が好きになっていきますね。とても滑らかで見ていて気持ちの良いスケート、美しいジャンプ、回転の速いスピン、個性的な振り付け。男子はトップ選手でもスピンは回転の早い選手は少ないですが、彼は女子でもここまで美しいポジションをとれるのは難しいという柔軟性を見せつつ、群を抜いて早いスピンが出来ます。
PCSはまだ高くはありませんが、要素として質の高いものを安定して出せるのはすごい強みだと思います。

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彼はまだクワド(4回転ジャンプ)を持っていませんが、クワドなしでも表彰台に乗れるだけの力を既に持っているので、今後4回転を体得したらものすごいことになりそうですね。彼も今大会の表彰台乗りで、今季シニアデビューながら、アメリカ男子の熾烈な五輪枠争いの有力な候補者の一人としてしっかりアピールしてきたと思います。是非頑張ってほしい!
今の男子フィギュア選手に珍しい長髪と、善人顔というか、人の良さが全面に出た笑顔がとてもチャーミングで一度見たら忘れられない選手。これからも応援していきたいと思います!頑張ってください!!

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Jason Brown 2013 TEB SP -The Question of U




FS -Reel Around the Sun




4位はハンヤン選手!
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かなり体調が悪そうだという話が出ていたので、心配でした。
見てみたら、本当に辛そうでしたね。綺麗にきまったジャンプもありましたけど明らかに体の動きがだるそうな感じで、SPでも終了後は息を激しく切らしていましたし、フリーに至ってはフィニッシュのポジションからリンクサイドに上がるために端まで滑るのも辛そうでした。

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万全の状態で出来ず残念だったとは思いますが、やっぱり見ていて彼の滑りは好きだなあと思いました。
少ない歩数でぐんぐん上がるスピード、ジャンプが決まった時の流れの素晴らしさ、大きさ。特に彼のクワドと3Aは、決まった時はものすごく爽快というか、見ていて気持ちがいいです。
ただ、今回特に体調が悪く神経を配れなかった面もあるとは思いますが、振付のこなし方が硬いんですよね。
ジャンプは男子の新時代の流れにしっかり乗ってるんだけれど、身のこなしは昭和の香り(笑)。彼のキャラクターやちょっと風変わりなプログラムには合ってるのかもしれないけれど、これだけ滑れる選手なので、是非正統派な男らしいプロもしっかり正面から滑りこなす姿も見たい。今後身のこなしが更に洗練されてきたら、本当に凄いスケーターになりそうな気がします。若いし男子は難しいジャンプも跳ぶので怪我に気を付けて、是非このままキャリアを伸ばしていってほしいと思います。
今回4位でしたが、ファイナル出場は決めたそうなので、是非体調を整えて、福岡でファンを沸かせてほしいと思います。頑張って下さい!!


Han Yan 2013 TEB SP -Minor Waltz/Viper's Drag



FS -The Blue Danube/Gourmet Valse Tartare




5位はミハル・ブレジナ選手!
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うーん、スケートカナダと今回のTEBとを見て、プログラムが彼に合ってない気がしてしまうんですが、どうでしょうか。もしくは、すごく難しい曲を選んでしまったんじゃないかという気がしてしまいます。

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なんかミハル、すごく痩せたような気がするのも気になります。


SPは盛り上がるようで「焦らし」の時間が長すぎて最後盛り上がりきらない感じがするし、フリーもシャーロック・ホームズなんですがなかなかスケートと一体化するには難しい音楽に思えます。せっかくの彼の滑りが生かされていない気がしますし、彼自身もちょっと乗り切れない感じがしますね。ジャンプも跳びにくそうというか。
五輪シーズンのむずかしさというか、プログラム選びのむずかしさというものが出てしまっている選手もいますね。
グレイシー・ゴールド選手もSPが評判が悪いようで、プログラムを変更すると発表があったようです。私はあの曲もプログラムも悪くはないと思っているんですが、やっぱり重要なシーズンだけに敏感になっているんでしょうね。よりよいもので後悔のないようにしたいというか。
ブレジナ選手は今の所それらの話は入ってきていないですが、このプログラムで五輪に挑むのかを再検討してもいいんじゃないか、とふと思ってしまいました。


Michal Brezina 2013 TEB SP -In the Hall of a Mountain King



FS -Sherlock Holmes




今回は上位二人がぶっちぎりの戦いを演じ、ものすごい火花が散っていました。
チャン選手の神演技と羽生選手のスケカナからの持ち直しが大きく騒がれましたが、他の選手も体調が悪かったりいろいろな状況の中、ベストを尽くしている姿はしっかり心に残りました。

それにしても、今季は本当にそういう面が強く出ているのか、自分の見方が変わってきたのかはわかりませんが、「今季は五輪シーズン」という事実、そのプレッシャーは、良くも悪くもいろいろな面で選手とその演技に、これほどまでに影響を与えるものなのだ、ということを考えさせられた試合でもありました。それは勿論、これまでのグランプリシリーズの試合全てに共通するものなのですが。
躍進する選手、結果を出せた選手には、今シーズンの重要性、特異性というものが良い作用を及ぼし彼らに力を与えているように見えますが、逆にそれを自分の調子やモチベーションの上昇にうまくつなげられなかったり、迷いが生まれたりすると、沼にはまったようになってしまっている状況の選手も見受けられたり。
特に応援している選手ではなくとも、ずっと何年も試合での演技を見続けているとそれぞれの選手に愛着が生まれて、今シーズンはいろんなことを考えてしまいますね。全員五輪に出てほしいと本気で考えてしまい切なくなります。

TV観戦で応援することしかできない自分には、ただただ選手が怪我なく、納得いく試合、そうでなくても次へのステップとなる試合になるようにと祈る事しかできません。

選手の皆さん、お疲れ様でした!そして次の試合も頑張って下さい!!

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by toramomo0926 | 2013-11-19 12:41 | フィギュアスケート


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