フィギュアスケート 私の好きな選手・演技 その1
b0038294_2064771.jpgこのところフィギュアづいているこのコラムですが、考えてみると私がフィギュアを見始めて随分長い年月が経ちます。
小さい頃からTVでやってると面白くて何となく見ていたのですが、わりと気を入れて見始めたのは小学生の頃、同級生の女の子がフィギュアスケートをやっていたのがきっかけでした。

それから、特に専門的にという訳ではなく単に冬の風物詩として、他のスキージャンプとかと同じように見ていた訳ですが、ここのところの日本選手の充実振りに今までになく真剣に入れ込んでしまっている今日この頃です。

そこで、私の好きな選手や印象に残っている演技をここでずらっと紹介したいと思います。昔の分も入っています。良かったら動画もあわせてご覧になってくださいね。





ビクトール・ペトレンコ - ソビエト(!)
b0038294_2074363.jpgこの人は忘れられません。今もロシアにはプルシェンコとか優秀な選手が沢山いますが、彼を見たときに受けた衝撃というか感動の方が私には大きかったです(若かったせいもあるかもしれないけど・・・)。
いわゆる「ソビエト・スタイル」という(今となっては一種滑稽にも見えるくらいの)きびきびした強い動き、
写真 ↑ のような、ジャンプの着地の時に腕をY字型に上げ、手のひらを上にした形にするポーズもすごくダイナミックに見えます。



Viktor Petrenko 1988 Olympic Short Program

キレのいい動きが音楽に合っている。ジャンプはまさに「ソビエト・スタイル」な着地。


そしてこの人の魅力は、ものすごく正統派な滑りをする一方で、すごくコミカルな表現も得意としていたところだ。
私の記憶の中でのことなのではっきりとは断言できないが、彼は(少なくとも私にとっては)エキシビジョンで帽子やステッキなどの小道具を持ち出して演技した最初の選手だった。
b0038294_2093143.jpgこれ、一緒に踊っている女性は人形です!
足首と手首(だったかな)あたりがくっついていて、一緒に踊っているように見えるんですよ。
こういう茶目っ気たっぷりなエキシビをよく見せてくれていました。

有名なのが「マイケル・ジャクソン・メドレー」で、氷の上でムーンウォークなどやってみせる。
プロになって世界を回っている今となっては彼の十八番として特にアメリカでは大喝采を浴びているけれど、私はもう一つの「オールディーズ・メドレー」の曲に合わせた演技が白眉だと思っている。


1992 Olympics EX - Viktor Petrenko


それでなくても毎回彼のエキシビジョンは本当に楽しみだった。というか、私は彼からエキシビジョンを見る楽しさを教わった気がする。
「競技」としてのフィギュアスケートであってもいかに観客とジャッジにアピールするか、エンターテインメントとして成立させるかというものに賭ける根性、凄み、そして可能性というのを見せつけられ、フィギュアにのめりこんでいったのかも知れない。


Viktor Petrenko 1990 World Championships SP

吉本新喜劇的な(笑)音楽に乗せて、ノリよく演じています。
その年の世界一を決める選手権の、しかもショートプログラム(全員が決められた要素の入った演技を行う。その分ミスが許されないのでプレッシャーが大きい)で、こういう演技ができるのはすごいです。
頭を振ったり、表情も豊かです。

カタリーナ・ビット - 東ドイツ(!!)
b0038294_20125254.jpg
東ドイツ、という名前も、すごく時代を感じますね。ビットは当時美人アスリートとして世界中で有名でした。
特に ↑ この時(1988年カルガリー)のオリンピックの「カルメン」は彼女の代名詞的プログラムになりました。
妖艶な衣装と表情、演技。最後の刺されて倒れる場面は当時鳥肌が立ったのを覚えています。

Katarina Witt - 1988 Olympic Free Prpgram - Carmen


浅田真央もエキシビで「カルメン」をやりますが、ビットに比べるともう全然「おこちゃまカルメン」ですね(笑)
b0038294_20142373.jpg
全然違う・・・ (^-^;













b0038294_20171433.jpg


今でもこんなに美しいビット。でも画像検索したら結構ヌードのグラビアがいっぱい出てきたんだけど、ど、どうしちゃったの?
まあヌードでもすごーくキレイでしたけどね。









ペトレンコとビット、この二人の演技は本当に素晴らしかったのですが、今見るとやはりちょっと物足りないというか、ジャンプからジャンプまでのつなぎがすごく単調に見えたりしてしまいます。
そう考えるとやはり世界的にレベルは上がってきてるんだなあと思いますね。

ただソルトレイクシティ五輪でのフィギュア採点の不正騒動があってからは採点方法が一新され、スピンひとつにしても回転数やエッジの位置の変化、回っている間の姿勢のチェンジ等を厳しく問われるようになったり、
審判がビデオで着氷や回転を巻き戻してチェックしたりするようになったため、ビットのような演技性のあるプログラムはなかなか組めなくなってきています。演技時間の尺が決まっている為、そんなことをやっている暇がないのです。
スピンで美しい姿勢を長く続けても、極端な言い方をすると時間の浪費にしかならない。1回のスピンの要素の中で数回姿勢やエッジを変えていかないと、点数は伸びなくなりました。選手は肉体的にも精神的にも負担は増してるみたいですね。
要素の人気というか、主流もこれによって随分変わりました。女子で言うと「レイバックスピン」(体を反らせるスピン)はとても美しいので昔は誰もが取り入れていたのですが、点数が上がらない為すっかり廃れてしまいました。
今はビールマンスピンの前にポーズの一つとしてレイバックを入れる程度で、じっくりとは見られなくなりました。代わりにビールマンは入れないと話にならない、くらいになっていますね。

新採点方式には賛否両論ありますが、私はそれでも今のルールの方がいいんじゃないかなと思っています。
というより、今までは特に要素に関しても明確な採点基準はなく、ジャッジ個人の印象で決めてた、というほうが驚きです。それじゃあ政治的なこともからんでくるだろうし、ジャッジだって人間だからタイプの好き嫌いもあるだろうし、そんな曖昧な基準では選手だってたまらないと思います。
「要素の詰め込みに目が行き過ぎて芸術的側面が失われる」という声もありますが、こうやって昔の演技を見てみても、ジャンプからジャンプの間は単に助走つけてるだけだったりするし(特に男子)、そんなに変わらないんじゃないかなあと思います。


この採点方式でも芸術性は出せる、と世界に納得させたのが荒川静香のトリノでの演技だったと思います。
b0038294_20254410.jpg トリノでの彼女は本当に演技前からオーラがあったし、分刻みでキレイになっていたような気がしますね。
そして彼女の金メダル獲得は、ここ数回の五輪金メダリストの低年齢化&演技が「軽業師的」になりつつある中で、
カタリーナ・ビットが金メダルを取って以来ともいえる
「エレガントな女性らしさのある選手が金メダルを取り戻した」という意味もありました。

それまではあまり私にとっては特に思い入れのない選手だったのですが、プロに転向してからは「採点のための制約」から解放され、思うとおりにゆったりと、優雅な演技を見せてくれています。トリノ以来、私はこの人の演技を見るのが楽しみになりました。

世界選手権とオリンピックで金メダルを獲得して現役引退、そしてプロスケーターになって世界中のショーに出る、というまさにスケーターとしての「上がり」を実現しました。
それは彼女がルールと格闘しつつも自分のスタイルにこだわり、点にならないと知りながらイナバウアーを入れたという信念と努力が実ってのことでした。
五輪ではイナバウアーをやってから拍手がずっと続いていて、スタンディングオベーションとなった時には本当に感激しました。早起きしてよかった。今でもこの「トゥーランドット」の演技を見ると涙が出ます。

荒川静香 - 2006トリノ五輪 フリースケーティング
「トゥーランドット」。もう何もいうことはありません。



荒川静香 - 2006トリノ五輪 エキシビジョン

「You Raise Me Up」というタイトルや歌詞もこの状況にぴったりでした。この後いろんな所でこれを滑っていましたが、私は五輪のときのが一番好きです。

今、ただ滑っている時でも見ていて退屈に感じないのはこの人だけな気がします。全ての動きがゆったりとしていて美しい。
彼女はずっと点数獲得と芸術的な美しさの両立に苦心していたそうなので、今一番スケートをしていて楽しいのかも知れないですね。


そして、採点というものを超越しているように見えたのがエカテリーナ(カーシャ)・ゴルデーワ&セルゲイ・グリンコフ(ロシア)のペアでした。
b0038294_20294325.jpgとにかく息がぴったりで、スピンのシンクロ具合というのはすごいものがありました。それにペア競技ながらアイスダンスのような濃密さがあり、しかもそれがヤらしくならず、あくまでも清らかで上品なものになるという素晴らしいペアだったと思います。

二人は1991年に結婚し、ダリアちゃんという娘を授かります。
b0038294_20303125.jpg
しかし1995年練習中にセルゲイが心筋梗塞で急逝、あの素晴らしい演技は伝説になってしまいました。本当に、本当に残念です。
まだまだ若い二人だったので新聞でセルゲイの死を知った時は非常にショックを受けたのを覚えています。


Katia Gordeeva & Sergei Grinkov 1994 Canadian Pros. Ex. The Man I Love
Youtubeからは削除されてしまったけど、彼らのベストパフォーマンスのひとつと思うのがこれ。
↓(The Man I LoveのタイトルからDailymotionの該当ページへ飛びます)



b0038294_1915193.jpg
b0038294_19153245.jpg

b0038294_19154927.jpg

b0038294_1916813.jpg
夜の公園を散歩している恋人同士、という風に見えます。氷の上にいるとは思えない程二人とも自然です。本当にステキなペアでした。この演技から1年経たずにセルゲイが亡くなってしまうなんて。


今はカーシャはプロスケーターとしてソロでの演技もしつつ、長野五輪の金メダリスト イリヤ・クリクと新しいペアを組み、現在はイリヤと新しい家庭を築いてお子さんも生まれ、ダリヤちゃんと4人で仲良く暮らしているようです。
カーシャはまだ若いし、新しい家庭をダリヤちゃんと一緒に作れたことはよかったですよね。

そして現役のみなさん。

高橋大輔。
b0038294_20332219.jpg彼は今年飛躍しましたね。以前にも書いたので詳しくは触れませんが一段高いところに上ったな、というように見えるし、彼自身もそういう手ごたえを感じているのではないでしょうか。

今の彼には、フィギュア実況を「いかに喋り倒すか」としか思っていないような日本のアナウンサーや解説者をも黙らせ、演技に集中させる力があります。
世界選手権でもこの調子を保てれば、優勝も充分ありえます。
世界の壁は高いですが、今までの日本人で一番世界のトップに近いところにいることは確か。手が届くところにきているので頑張って欲しいです。







高橋大輔 2006全日本選手権フリープログラム

4回転がキレイに決まり、ノーミスで優勝。ジャンプの飛び方が空中で一瞬止まる感じ。
こういうジャンプは日本人には無理なのかと思っていたけど、飛べる人が出てくるとは!


高橋大輔 2006全日本選手権 メダリスト・オン・アイス

2006全日本選手権後に行われたエキシビジョンを兼ねた?アイスショー。
最初の曲は「シークレット・ガーデン」。その後アンコールで「ロクサーヌのタンゴ」を滑りましたが、前半のみで終わる予定が気分が乗ったためか、最後まで滑りきってしまいました。
動画は4分くらいからロクサーヌが始まりますが、この時のロクサーヌが、私の中で彼の評価を決定的に押し上げました。是非見て欲しいです。タンゴの曲が、彼の情熱的な滑りにすごく合ってます。
ジャンプも安定して、トリノから1年足らずとは思えないほど完成された選手になりました。
ステップからフィニッシュまでは圧巻です。

高橋大輔 2008世界選手権 エキシビジョン

曲ビヨークの「バチェラレット」。最初シーズン前のアイスショーの映像でこのプログラムを見たときは「???」という感じで、ロクサーヌの衝撃がまだ残っていたせいもあり、「単調だなあ」という印象だったのですが、シーズンをかけて踊りこなし、最終的に素晴らしいプロになったように感じました。今では大好きです。
敢えて手拍子などがしにくい、不思議な感じを目指したということで、テーマは「何かが生まれる」だとどこかのインタビュー記事で読みました。
1度転倒してしまいましたが、こういうノリにくい曲でも完全に自分の世界を作り上げる素晴らしい表現力を見せてくれます。
この動画はイギリスのユーロスポーツのもので、投稿者が解説と歌詞について字幕をつけてくれています。解説者も魅了されていたようですね。



織田信成。
b0038294_20375436.jpg高橋とはまた違った魅力を持つ彼。これからもその高い技術と美しい着地&スケーティングに磨きをかけて、そしてオリジナリティのあるコミカルなプログラムを期待しています。
彼はとても楽しそうに滑りますよね。それが大きな魅力だと思います。











織田信成 - 2006ジュニア世界選手権 ショートプログラム

振りつけ&表情が笑えます。ジャンプもキレがいいし、最後のスピンは圧巻。スピンしてる後ろで観客が総立ちになるのもすごいです。

2005年Junior Worlds Short Program

スーパーマリオのアレンジのあるコミカルな曲を軽やかに滑りきっています。もうこういうプログラムは滑ってくれないのかなあ。こういうのをすんなり演じきれるのが高橋とは違った彼の魅力だと思うんですが・・・アベック優勝した浅田真央選手の姿が応援席からちょっと映ります。


サーシャ・コーエン (アメリカ)。
b0038294_20441816.jpg金メダルがなかなか取れない彼女ですが、
以前は体操選手だったということで柔軟性は本当にすごい。
そして「ソビエト・スタイル」を彷彿とさせるようなキレのある演技をします。
特に特徴的なのが、ジャンプを成功させた時や「キメ」的なポーズをする時に
「見て!」と言わんばかりに手のひらをクリッ!と返すところ。
カミソリのようにスパッとした切れ味の良いスケーティングです。
その美貌からアメリカではフィギュアファン以外にも熱狂的なファンが多いという彼女、
現在は競技からの休養を宣言している(アイスショーには出場)。しかし引退するつもりはなく、
「休むなら休む、やるならやるとはっきりさせたい為に宣言した」という主旨のことを述べている。

このままフェイドアウト的に引退となってしまうような気もするけど猫のような小悪魔的な美しさがあり、まだまだ見ていたい選手です。
復帰を待ちたいと思います。
Sasha Cohen - 2006 Torino Olympic Short Program

曲が始まる前の表情が小悪魔炸裂です。


その2へ続く
by toramomo0926 | 2007-02-03 19:58 | フィギュアスケート


<< フィギュアスケート 私の好きな... 以前の分はこちら >>