浅田真央、世界女王に-精神力に脱帽
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世界フィギュアの女子シングルは浅田真央選手が優勝した。転倒はあったものの、世界女王にふさわしい力強さと優雅さを併せ持った滑りを見せてくれました。
それにしても彼女の精神力の強さに改めて感嘆したというか、驚かされた。




フリースケーティングの冒頭、トリプルアクセルの踏み切りに失敗し大転倒したときは見ているこちらも本当に驚いたし、怪我をしなかったかと血の気が引いた。会場のリンクの氷の質が練習用リンクとちょっと違っていたらしく、今回他の選手も転倒やお手つきが多かった。
解説で荒川静香さんも言っていたが、演技の冒頭にあれだけひどい転倒をしたら衝撃や痛み、精神的なショックで集中力が切れ、それを取り戻すのはかなり難しいことになる。だが彼女はその後すぐに立ち上がり(動画を見直したが、あの転びようにしては立ち上がるのは早かった)集中力を全く切らさず、今シーズン一番と言えるほどに完璧に滑りきった。
転倒すれば痛みだけでなく体力もかなり消耗すると聞いているし、他の選手も転んだ後はスピードが落ちたり、踏ん張りが利かずに転倒やお手つきを繰り返してしまうという場面を多く見ていたが、彼女は(海外の解説者が言っていた通り)「これ、本当に最初転んだ人の演技?」と思ってしまうほど神がかっていたと思う。
転倒時太ももを切り出血もあったらしいが、優勝後のインタビューによると演技中は痛みは全く感じなかったというのだから彼女の集中がどれほどのものだったかが伺える。

今年は真央選手にとっては劇的は変化があった年だった。
アメリカでトレーニングしながら、夏にはロシアに渡りタラソワコーチについてバレエやステップ等表現力の鍛錬を積み、昨シーズンとは別人のような優雅で力強い演技をするようになった。
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シーズン前半はSP(ショートプログラム)でのジャンプが試合になるとどうしてもうまく跳べず苦しんだ。年末になってそれを克服するも、コーチであるアルトゥニアン氏との師弟関係を解消、帰国しコーチなしで四大陸選手権と今回の世界選手権に臨むことになった。

しかし見ていると、彼女は日本に戻って正解だったのではないかと思う。日本に帰ってからの方が表情も柔らかくなり、成績も残している。やはり家族のそばで、知っている土地で生活するというのは彼女にとって非常に大事なことなのだろうと思う。過酷で孤独な戦いを毎日しているのだから、オフアイスではなるべく自分を解放できる環境にあったほうがいい。
何より渡米した一番の理由はリンク事情の悪化にあったのだから、中京大学のすばらしいリンクが出来たことは帰国の判断をするにあたって大きかったようだ。コーチをどうするかはまだ決まっていないらしいが、今シーズンのSPが素晴らしい出来で、身のこなしも格段に美しくなったので、タラソワには今後も何らかの形で師事を受けるかもしれない。

去年安藤美姫に僅差で敗れ届かなかった世界女王の座について、彼女はずっと「手に入れたい」と公言していた。スケート選手なら誰でもそうだろうが、世界選手権とオリンピックの金メダルというのは小さい頃からずっと手にしたいと願い続けているものだ。今回彼女はそのひとつを手にした。心からおめでとうと言いたい。
彼女の懸命に真摯にスケートに取り組む姿勢を見ているとどうしても応援したくなってしまうのだ。そして今回は諦めないことの大事さを彼女から教わった。あと2年後どんなにすばらしい選手になるかが本当に楽しみな、魅力のある選手である。怪我に気をつけて是非オリンピックでも金メダルを手にしてほしい。
これが今シーズン最後の試合ということで、ショー等はあるものの彼女は昨年に引き続き世界ランキング1位のままシーズンを終えた。体を休めて栄養を取って、また来期すばらしい演技を見せてくれるよう期待したいと思う。


<動画>
Mao Asada World Championships 2008 SP

今期のSPは音楽、振り付け、衣装ともにすごく好きです。特に音楽はそれだけで聞いてもすばらしいので、上質な演技を引き立てていると思います。アメリカのスポーツ専門チャンネルESPN解説者もベタ褒めです。カナダCBCでは、世界的なプロスケーターで選手の振り付けも行っているカート・ブロウニングなどは「I'm a (Mao's) fan.」なんて言っていましたね(笑)

Mao Asada World Championships 2008 FS

冒頭の転び方は本当に衝撃的です。しかしそんなことを忘れてしまうくらいその後の演技は圧巻です。キス&クライでの涙も印象的。
コメンタリーなし、会場音声のみの動画です。転倒後から温かい励ましの拍手が湧き起こり、会場が盛り上がっていく様がリアルにわかります!やはりこれを見ると解説やコメントは最小限にしてほしいなあと思いますね。
ESPNでは演技の質の高さを絶賛、特に最初の転倒からのリカバリーには「彼女こそ真のアスリート、真のチャンピオン(この時まだ優勝は未確定)」「他の選手はこの演技に学ぶことがある」と賞賛しています。



Mao Asada 4CC 2008 LP

トリプルアクセルも完璧に決まった四大陸選手権のものです。


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by toramomo0926 | 2008-03-21 23:00 | フィギュアスケート


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