「あなたとは違うんです」に見た福田康夫氏の本質
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福田総理が突然辞任した。各局がニュース等で辞任会見を流していた。びっくりするくらい弁解じみた発言内容に終始した会見だった。
自己の正当化と自分の業績(自称)の吹聴、民主党への不平不満等をいろいろと述べていたが、結局のところ私には
「自分にはこの状況をコントロールする力がありませんでした」と言っているようにしか見えなかった。
会見で最後に質問した中国新聞の記者に言い放った「あなたとは違うんです」という言葉が、彼の本質を全て表しているように思う。




辞任会見は「就任以来自分はこんなことをした、こういう成果があったと自負している」という自分語りから始まった。政治家はよく「言ったモン勝ち」というか、現実が必ずしも伴わずとも「成果はあがっている」「国民は納得してくれると思います」などと言ってしまえば世間的にそういう既成事実を得られると錯覚しているフシが前からあったが、これも同じパターン。しかし国民は福田氏には「結局何もしてないじゃん」という印象しか持ってないと思う。

次には「民主党がやりたいことに対してことごとく邪魔をする」。しかしこれについては就任前から当然予想できたことである。
例えばタイゾー君が総理になったんなら経験が浅いために先を読みきれなかったという事態はあるかもしれないが、もう彼は70代、おじいちゃんである。サラリーマン時代もあったとはいえ政治の世界については充分な経験をし、全てといっていいほど見るべきものは見てきているはずである。
それなのに「だって○○君がジャマするんだもん」的な泣き言を言われても困る。それをどうにかして打開していくのが与党党首として、総理としての力量の発揮だろう。それをあの歳で投げ出すというのはひどい。
これをはじめとして、辞任会見に至っても結局話の内容が「全部人のせいかよ」という印象を拭えなかったのが残念だった。一国の総理が、最後の舞台でもこのような愚痴っぽさに終始したということは恥ずべきことだ。
与党内部にしても、前回若い安倍晋三氏で失敗したので、麻生氏よりも年輪を重ねた福田氏を選出したという面もあったはずで、内部の期待も大きく裏切った形になってしまった。

更に、「どうして今辞任なのか」と聞かれると、「国会が始まってからの辞任だと混乱する。今がその時期だと考えていた」
どうして辞めるのが前提なんだろうか。国会が始まったら、どうしても辞めねばならない状況でも何とか会期終了まで頑張ろうという気持ちはないのか。トップがハナから辞めるタイミングをにらんでいるような状況でいい政策が打ち出せるワケもないだろう。彼は就任してからも、内閣改造後も、自己申告しているよりはずっと「何かを頑張ってる感」が少なかったのも頷けるというものだ。ひょっとして「元総理」という肩書きが欲しかっただけなんじゃないかとすら考えてしまった。

辞任発表直前の麻生氏などとの話し合いについて聞かれても「まあいろいろあるんですよ。いろいろね」などとはエンエン話すが肝心の内容については全く話さない。何故辞める決断をしたのか、ということは国民に真摯にきちんと説明するべきだろう。彼の打ち出した「安心実現内閣」はあっという間に空中分解した。その言葉も最初から空々しい感じがしたが、彼には国民を見ているという感じが最初から最後まで感じられなかった。官房長官をやっていたときにはここまでダメな人(何も出来ない人)とは思わなかったんだけどなあ。

極めつけは中国新聞社の記者に対する「あなたとは違うんです」発言である。
これは「国民の印象として、総理の会見は全て『他人事(ひとごと)』な感じを持っている」という言葉に対して噛み付いたものだ(下の動画参照)。
いつも記者、特に政治記者についてはツッコミが足りないと歯がゆい思いをさせられているが、今回は彼が一番いい質問をしていた。
それに対して「他人事とあなたはおっしゃったが、私は自分自身を客観的に見ることが出来る。あなたとは違うんです」とキレ気味に言った。
この記者は自分の印象を総理にぶつけたのではない。一般的な国民の印象を話しただけだ。
「あなたとは違うんです」という言葉は、そのまま国民にぶつけられた言葉だ。やはりこの人は国民のことなんて考えてなかったんだな、というのがよくわかった。
このように取材対象の本質を引き出すのも記者の仕事のひとつだと私は思っているので、今回大手の全国紙より地方新聞の記者のほうがいい仕事をしたと思えた瞬間でもあった。「あなたとは違うんです」と言われた後に「これは私の意見ではなく、国民感情です」と言い返してもらいたかったが、最近私が聞いた質問の中では一番よかったと思う。ただ話を聞いて持ち帰るだけでよければ、レコーダーだけで充分である。

以前岩手・宮城の震災のとき、現地に飛んだ福田総理が、「救援が来るのが遅すぎる」と静かに訴えた老人に対して、「でもヘリは来たでしょ?道路がふさがってるんだから(これ以上早くは)無理だよ!」と大人気なくキレていた時の衝撃がよみがえった。
多分これが福田康夫の本質なんだなと思った。そうでなかったとしても、充分そう見える要素はこの2つの映像にはあった。

この人は老獪に見えて、実はすごく子供だ。勿論「少年の心」などという意味ではなく、メンタリティが幼い。そして批判されることに慣れていない坊ちゃん体質がそのまま政治家になって「センセイ」と呼ばれ続けることで強化されてしまった感じがする。
家をなくした大地震の被災者であっても「対応が遅い」と言われることは許せないのだ。今後の生活の不安を抱える被災者を前にして、「道がふさがっていて重機が通れず、ヘリしか飛ばせなかった。最善を尽くしたが、至らず申し訳ない」と、たとえ建前であっても何故言えないのだろうか。今日の記者に対しても、ちょっとしたことでも怒りを抑えることができていない。その様子がやけに幼く、拙く感じられたのは私だけではないと思う。

一年ごとにトップが変わるような国が、他国の信頼を得られるだろうか。
首脳会談をしていろいろな約束をし、今後の展望について話し合ったとしても、次の会談の時には全く違うポリシーを持った人物が現れるかもしれない。もう一度最初から話を始めなければならない。そんな国といろいろな協力関係を築こうとしてくれる国はあるだろうか。
下降気味とはいえビジネスでは日本はまだ力や信頼を得ていると思うが、政治が足を引っ張るのではないかというのが本当に心配になる。


福田総理辞任会見


福田首相辞任記者会見 質疑応答その1


福田首相辞任記者会見 質疑応答その2



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by toramomo0926 | 2008-09-02 00:23 | 政治


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