シーズン開幕が待ちきれない
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今年もフィギュアスケートのシーズンまであと少し。10月24日からのスケートアメリカで幕が開きますが、待ちきれないですね~。
夏の間はアイスショーがたけなわ。スケーターはそれぞれ今期のSP(ショートプログラム)やEX(エキシビジョン)のプログラムを披露してくれてます。
今回は普段の試合とは少し違うショーの動画も紹介しつつ、3月の世界選手権終了から今までの流れと、それについての私なりの考えというか感想を書いていきたいと思います。



b0038294_1528164.jpg男子は世界王者となったジェフリー・バトルの引退が伝えられました。残念だ~。再来年のオリンピックは彼の故郷であるカナダなのに。
でも世界タイトルや五輪金メダルを獲って引退、というのは選手として花道でもありますからね。
これからもショーには出てくれることを願いつつ、お疲れ様でしたと言いたいですね。
しかし前にも書いたけど、バトルはあまりに童顔なので、今の男子選手の中で最年長クラスというのをどうしても忘れがちです・・・。

b0038294_15344462.jpgそして今オフは日本男子勢に大きな動きがありました。
高橋大輔がニコライ・モロゾフコーチと訣別、日本に帰り、幼少よりずっと師事していた長光コーチのもとで再出発することになりました。

高橋は長光コーチを離れていた訳ではなくモロゾフと並行の形で指導を受けていたので、浅田真央のような「コーチ不在期間」が発生しなかったのはよかったけど、たもとを分かったきっかけが「織田信成のチーム・モロゾフ加入」だったというのがどうも気の毒でした。しかも全く寝耳に水だったそうですから、ショックも大きかったと思います。
彼は表立って批判めいたことは一切口にしませんでしたが、苦渋の決断だったと思います。


モロゾフが織田を引き受けるに際して何を考えていたかがちょっとわからないですね。
同じ種目で世界トップレベルの選手2人を同時に見るなんていうことはフィギュアの世界ではありえないことのようですし、現実問題として不可能でしょう。どちらかに勝たせるように指導するなんてことはできないですからね。
モロゾフが織田のことを高橋レベルの選手だと認識していなかったのかもしれないけど、日本国内では(現在は高橋のほうが頭ひとつ抜き出ているが)間違いなくこの二人が他を大きく引き離した存在。少なくとも世界選手権への出場権獲得の大きなポイントである全日本選手権では最大のライバルとなるのだから、少し思慮と配慮が足りなかったと思いますね。
b0038294_1542394.jpgモロゾフは村主も引き受けたようだし、少し節操なさ過ぎ?とも思います。あんまり手を広げすぎてはそれぞれの選手への指導も時間がとれなくなるのではと心配。
これまで高橋とモロゾフは、私には理想の師弟関係に見えていました。モロゾフの表現したい世界を一番体現できるのは高橋なんだろうなと思っていたので。多分モロゾフもそう感じていたと思います。でもまさか高橋が自分のもとを去るとは思ってもいなかったのでしょう。高橋が織田加入を夢想すらしていなかったように。
未だにモロゾフは高橋が去ったことについて雑誌などで愚痴っているようですが・・・原因は少なくともコーチとしての自らのコミュニケーション不足にあったのでは?逃がした魚は大きかったですね~。

一方、高橋はモロゾフに精神的にも結構支えられている印象があったので、この先大丈夫かな?モロゾフの作るプログラムを超えるものは作れるのだろうか?というところが少し心配ではあったのですが、そんな危惧を吹っ飛ばしてくれたのが、今期のSP“Eye"でした。

高橋大輔 2008ショートプログラム “Eye"

振り付けは現在の日本の振付師の第一人者、「みやけん」こと宮本賢二。cobaのアコーディオンが高橋の演技と融合していい感じです。
それにしてもこの時点でまだ6月なのに、ここまで仕上げてくるのはすごい。飛ばしすぎではと心配になるほど。新しい環境で今季を戦う意気込みが伝わってきます。
体がキレキレで、コンビネーションはさすがにこの時期なのでまだ入らないとしても、ジャンプも完璧。彼はプロを含めたスケーターの中でもトップクラスに「踊れる」選手ですね。


b0038294_1616969.jpgそして飲酒運転で検挙されて昨季を棒に振った形になった織田信成の満を持しての復帰も、このゴタゴタで必要以上に騒がれ、バッシングを受ける形になりました。
織田もチーム・モロゾフ加入にあたり、高橋の存在をどう考えていたのかがいまひとつ分からないけど、モロゾフが話をつけると思っていたフシもあり、こちらもある意味気の毒。でも高橋と仲は良かったはずなのだから、個人的に事前に相談したほうがよかったんじゃないかとは思います。言いにくいと思うけど。

とはいえ復帰した織田の滑りは今までの柔らかくしなやかな動きに加え、モロゾフの指導のおかげか動きが大きくなり、何よりジャンプの正確性が飛躍的に増したように思います。
高橋大輔もトリノ後のシーズン(2006年)から「ジャンプを跳ぶための筋肉を鍛えた」としてジャンプを危なげなくバンバン跳べるようになり、トリノ8位から世界トップグループに躍り出て、出る試合ほぼ全て表彰台に乗れるようになりました。
この高橋の変貌を見ていて、「織田も高橋みたいなトレーニングすればいいのに」と思っていたのでその点はすごく良かったと思います。彼のジャンプはすごく軽くて柔らかで、スピンも男子はシットスピン(片足でしゃがんで行うスピン)などは辛そうな人が多いけど彼のは回転が早くて柔軟性が高く、ランビエールと張れるのでは?と思えるほどバリエーションも豊かですよね。あとはジャンプがもう少し安定すればなあ~という感じだったので、今季は大化けするかもしれません。

織田信成 2008エキシビジョン “Tosca”


それにしても高橋と織田、本当に対照的な演技をする二人を同時期に日本選手として応援できるというのは幸せですね。高橋が剛なら織田は柔という感じ。どちらも素晴らしい選手ですし、いろいろなことに負けずに頑張って欲しいと思います。二人の戦いが今から楽しみ。

そして浅田真央。
b0038294_16413449.jpg高橋の騒動を見るにつけ、状況は違うとはいえ浅田がシーズン途中に師弟関係を解消、コーチなしで四大陸と世界選手権に出場し、しかも両方とも優勝したというのはすごいことだったんだなあと思わずにはいられません。
勿論コーチを離れたのは最終的には本人の決断だと思うので仕方ないですが、それにしてもあれだけコーチと選手のつながりが大事な競技で、一人で試合(しかも世界一を決める試合)に出るという度胸もすごいし、練習メニューを自分で組んできっちり仕上げてくるという根性もすごい。彼女はかわいらしいイメージだけれど中身は、というかスケートに関しては本当に(いい意味で)ものすごく男らしいと思います。
だけどそういう苦労を表に出さずスポ根的な暑苦しさも見せず、さらりとやってのけるところがカッコイイですね。

世界トップの選手にシーズン中突然「コーチ不在」という状況が発生するというのはかなりな非常事態。以前ミシェル・クワンにもそういう時期があったらしいが、彼女はその結果タイトルを逃しています。更にクワンの時よりも採点基準が相当厳しくなっているので、スピンの回転数やスパイラル(足を腰よりも上に上げた姿勢で滑る。前後両方の方向に滑ることが必要)の姿勢保持の秒数、ジャンプの踏み切りのエッジのイン・アウトをチェックしてくれる第三者は絶対に必要になります。浅田は日本スケート連盟のスタッフなどにそのようなレベルチェックを依頼していたらしいが彼らはそういう意味での専門家ではないし、精神的よりどころとしてはコーチとは多分比べ物にならない。そういう意味で本当はすごく大変だったと思うのだけれど見事な戦いぶりだったと思います。

シーズン終了後コーチも正式にタチアナ・タラソワ氏に決まり(最高の結果だと思う)、今季彼女は2種類のEXプログラムを用意してきました。
タンゴ(por una cabeza)とジャズ(Sing Sing Sing)。
今季グランプリシリーズでフランス杯に出るのが決まっているし、世界選手権はアメリカのLA。それを見越しているのか、去年のEXがしっとり系だったからなのか、対照的なものを出してきましたね。
振り付けはタンゴがタラソワ、Singがローリー・ニコル。ローリーは歴史に残る名プログラム、ノクターンや昨季のフリーの幻想即興曲などを手がけた世界一人気があるといってもいい振付師です。真央選手は毎年試合用プロも手がけてもらってますね。今回はEXなので元気ナンバーです。

浅田真央 2008エキシビジョン “por una cabeza”

*動画進行が重い場合は画面をクリックしてください。
 youtubeサイトの同じ動画画面にジャンプしますので、動画部分右下の「高画質で表示する」をクリックするとスムーズに見られます。


もう無理に大人の演技をしようとしなくても、自然に女性らしさを出せるようになって来ましたね。これがタラソワ・マジックかも。
とにかく姿勢が美しい。指の先まできれい。ステップもきっちり音に合っています。スピンもY字だかI字だかわからないほどにまっすぐ足が上がって女性らしさが出ていますね。しかも構成的にはSPでもいける内容。今季が本当に楽しみです。
衣装も赤と黒で、間違えると下品になりがちな色合わせながら品がありますね。赤の色合いがいいのかも。そしてスカートのヒラヒラ加減が最後のスピンですごくキレイに出ています。


浅田真央 2008エキシビジョン “Sing Sing Sing”

パンツスタイルは久しぶり。水玉の衣装もあったけど、私はこちらの方が曲にも合ってて好きです。久しぶりに楽しげにニコニコと笑顔で滑る真央選手を見てうれしかったですね。
更に今季は表現の一つとして表情作りにも力を入れると公言しており、そういう意味では実験的なプロでもあります。
それにしてもEXだというのに、この運動量!ものすごく内容が充実したプログラムですね。ここ2年くらい、「くるみ割り人形」の後はジュニア色払拭の狙いがあったためかしっとり系のプロが多かったので、こういう躍動感のあるのは新鮮です。それにしても、若いって素晴らしい(笑)

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                   足、長いなあ~・・・

アイスショーTHE ICEより “DreamGirls ” 姉の浅田舞選手と競演

こういうのはアイスショーでしか見られないですね。いつかアイスショーか、試合でもいいけど生で見てみたいなあ。それも今のように選手層が厚いときに行きたい。
それにしてもEX2本、ショー用に1本、あとはジェフリー・バトルとの競演とかショーごとの振り付けもある。そしてシーズン用のSPとフリーも覚えなきゃいけないとは、本当に大変。
SPとフリーは完全公開されてないけど、ショーで見せたプロはかなり出来上がっていたので
彼女の調子のよさ、練習の充実振りが伺えます。
浅田の今季の試合プログラムは、SPがドビュッシーの月の光(振付:ローリー・ニコル)、フリーが仮面舞踏会(振付:タチアナ・タラソワ)。私はピアノ曲では彼女が06年に使った「ノクターン」とこの「月の光」がダントツで好きだったので、一番好きなスケーターにこの2曲を滑ってもらえると知ってうれしい限り。浅田が使うのはピアノソロではなくオーケストラバージョンらしいので、どういう曲調になるのかも早く知りたい。そして「仮面舞踏会」は今まで彼女が選んできた割と繊細な曲調からかなり変わってドラマチックな音楽、しかも浅田自身も「動きっぱなし」と話すほどの相当要素が詰まった難易度の高いプロらしい。タラソワがどのように仕上げてくるか本当に楽しみ。

シーズンの幕開けとなるスケートアメリカは安藤美姫、キム・ヨナ、キミー・マイズナー、それから今季シニアデビューするアメリカの有望選手、長洲未来やフラットなどがひしめき合い激戦は必至。誰が勝つのか全く予想できないので、しょっぱなからものすごく盛り上がりそうです。
浅田が出場するのはフランス杯とNHKなので、11月に入ってから。早く新プログラムを見たいけど遅いスタートになるからじっくりと完成度を高めていって、またいつものように驚くほど進化した姿を見せて欲しいと思います。
友人ともこの間話したのですが、少なくとも自分にとっては彼女はこの先現れるかわからないと思えるトータル・パッケージで人間的にも魅力ある選手。彼女の進化、成長をリアルタイムで見られるという幸せ、有難さを噛み締めつつ、今季もフィギュアにのめりこみたいと思っています。

おまけ
ジェフリー・バトルとの競演 “True Love's Kiss”(映画『魔法にかけられて』より)

アイスショー「THE ICE」のスペシャルプログラム。
バトルがアドリブ&サプライズで真央選手の顔にキスしたので大いに盛り上がりました。舞台裏の共演者達のリアクションも楽しそうですね。
by toramomo0926 | 2008-09-19 16:54 | フィギュアスケート


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