キム・ヨナ選手に初のe判定-グランプリシリーズ中国大会
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スケートアメリカのときの記事でキム・ヨナ選手の不正エッジのジャンプ等の減点ポイントがことごとく見逃され続けていると指摘したが、昨日終了した中国大会で、キム・ヨナ選手のジャンプに初めてエッジエラーのe判定と、ジャンプの回転不足が認定された。

ISU Figure Skating Grand Prix 2008/2009 Cup of China
公式サイト。各種目ごとに「Result」をクリックすると順位がわかります。
右端の「Judges Scores」をクリックすると、順位が上の選手からの細かい採点内容もわかります。





今回キム選手はトリプルフリップ(3F)とトリプルトウループ(3T)のコンビネーションジャンプのうち、かねてからファンの間で指摘されていた3FのジャンプのWrong Edge(不正エッジ)にはじめてe判定が下された。
スケートアメリカの結果を見て、ファンの間では「キムの高下駄はもう外されることはないのか」と半ば諦めムードすら漂っていた中でこれは驚くべき変化である。現在もネットではかなり話題になっている。
前回のスケートアメリカでのキム選手の不正エッジは、スロー映像のオンエアで見逃しようがないほどにはっきりしていたため
そのジャンプに2点という大きな加点がついていたことについて世界中のフィギュアファンの集まる掲示板等で大騒ぎになっていた。そのため、おそらく世界中からISUに抗議が寄せられたのではないかと推測する。ISUも無視できない状態だったのではないだろうか。

しかしフリーの採点では、同じ3F-3Tのジャンプは「!」(不正エッジギリギリだが、今回はセーフという判定。気をつけろという警告の意味合い)だけにお茶を濁されていたので、今後のキム選手の採点には引き続き注目したい。
キム選手はキス&クライで得点が低いことに不満顔だったが、これでもかなりの加点はついているし、これがむしろ普通の状態なのだからきちんと受け止めて欲しいと思った。

SPで2位の安藤美姫選手に5点差しかついていなかった(前回は11点差)ことで多少不安になったのか、フリーで彼女はジャンプ構成を変えてきた。
トリプルループ(3Lo)とトリプルサルコー(3S)をやめてダブルアクセル(2A)を計3回入れるという構成にしてきたのだ。

キム選手 スケートアメリカのスコア(フリー) *クリックで拡大表示
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2番目のエレメンツは、3回転ループ(3Lo)のはずが失敗し1回転(1Lo)になってしまっています。8番目のトリプルサルコー(3S)もキム選手としては加点が少なめ。

キム選手 カップオブチャイナのスコア(フリー) *クリックで拡大表示
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前回失敗したり点数の低かった、2番目の3Loと8番目の3Sを2Aに変えてきています。


2Aは3回転より回転数は少ないが、他のジャンプが後ろ向きに踏み切るのに対し、アクセルジャンプは前方に踏み切るので難易度も選手の恐怖心も高いらしい。アクセルジャンプはSPで必須要素のため2Aは全員がマスターするが、女子も3回転を当たり前に跳ぶ中でトリプルアクセルを跳べる選手は数人しかいないのはそれが原因である。
そのため2Aは他の2回転ジャンプよりも点が高めに設定されており、効率よく得点できるジャンプである。それを3回入れることでローリスクで高得点を狙いにきたのだ。

このような構成を彼女は以前も取り入れていた。確かにラクに点を稼げるかもしれないが、毎年世界トップ3に入っている選手がやることではないと思う。
別にルール違反ではないし、彼女にとってみれば「文句を言われる筋合いはない」という話かもしれないが、トップアスリートとしてはプライドのない点の取り方である。
彼女よりもずっと下にランクされている選手だって、そのような点の取り方はしていない。キム選手より数段ジャンプ技術がが安定していない選手でも、去年までジュニアだった選手すらも、転倒のリスクが高くても数種類の3回転ジャンプをコンビネーションを織り交ぜて構成を組み、果敢に挑戦してきているのだ。
スポーツにおいては勝つことが最終目標であることは理解しているが、それでも挑戦するということも同じくらい大事なことではないだろうか。しかもその種目のトップアスリートなら尚更である。

友人は「この内容で演技構成点が高いのはどうかと思う」と言っていた。
確かにその通りである。世界ランキングトップ5に入る選手が明らかに構成のレベルを落としてきているのに高い点が付くというのは変だし、ジャッジ側もプログラム構成においては点を低くつけるべきである。
もしくはシニアにおいてはザヤック・ルール(下記参照)で2Aの回数を2度迄に減らしたらどうか。ザヤックが出来たのは「同じジャンプばかりを繰り返すことはフィギュアスケート競技としてはふさわしくない」という理念からできたものだし、シニアで3回転を減らしてまで2Aを3回も入れているのはここ10年で後にも先にもキム選手しかいないのだから。

*ザヤック・ルール:
同じジャンプをプログラムに入れる回数を制限したルール。制限を越えるとそのジャンプ自体の点がゼロになる。織田信成選手は2005年、一度は優勝した大会終了直後にこれにひっかかっていることが発覚し順位を2位と修正され、これが原因でトリノ五輪出場を逃した。
現在はザヤック・ルールは3回転及び4回転ジャンプに主に適用され、フリーでの2Aは3回までと決まっている(2007-2008シーズンより)。


こうやって書いていて気づいたが、私がキム選手の演技を見てもあまり心を動かされないのは
多分彼女に「挑戦する気持ちがあまり感じられない」という点も大きいような気がする。
彼女は自分で限界を決めてしまっているように見える。自分にとっての安全地帯内での最高しか目指さず、毎年何かしらの進歩、進化をあまり望まない。それなのに失敗を覚悟で毎年新しい挑戦をしてきている選手達に比べて点が伸びないと不満をあらわにする。そういう向上心の低さと悪い意味でのプライドの高さが見ていてあまり共感できないのだと思う。
演技は完成されているけれど、ただそれだけ。きれいの質が毎年同じ。そういったところが、彼女が未だにシニアデビューの「ロクサーヌ」「あげひばり」を超えたというプログラムが出てこない原因になっているのではないかと思う。

出場2大会両方に優勝したことで、キム選手は真っ先にグランプリファイナルへの出場を決めました。ファイナルは世界選手権の次にステイタスとしては高いとされている(多分)世界大会です。キム選手は2連覇中。ディフェンディングチャンピオンとして、ファイナルでは変に守りに入らず、自分の限界に挑戦する姿勢を見せて欲しいと思います。


さっそく中国大会のエッジエラーを指摘する映像が上がっています。
Yuna Kim wrong edge take off

中国大会のフリー。やはり外側で踏み切ってますね。


次は11月15日からのフランス大会。ついに浅田選手が今季初の試合に臨みます。
スケートカナダで優勝したジョアニー・ロシェットやキャロライン・ジャンも出場。男子ではスケートアメリカで初優勝を果たした小塚崇彦選手が出場します。
浅田選手の今季のプログラムはSPもフリーも内容が濃そうなので、楽しみです。

Excite エキサイト : スポーツニュース
by toramomo0926 | 2008-11-09 10:04 | フィギュアスケート


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