「まおちゃん」から「競技者・浅田真央」へ-花王アジエンス
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フィギュアスケートの浅田真央選手が花王「ASIENCE」のCMに出演することが発表された。12月3日から期間限定のCM放送が始まるという。
テーマは「髪が決意の現れ」。

花王ASIENCE
CM閲覧や壁紙DLなどができます。メイキングもアップされています。


動きが全て美しいですね。滑っていたのは今季のショートプログラム、「月の光」のようです。




“時々、心が弱くなる自分。
信じられないぐらい強い自分。
どっちも私。
だから輝ける。”


これは現在の浅田真央選手を十二分に表したモノローグだと思う。
彼女は15歳でシニアの試合に出場するようになってからずっと世界のトップを走り続け、今年の世界女王をかちとり、世界ランキング1位の選手。
それなのに本人は今の自分に自信が持てていないのか、と思える場面にたびたび出くわすことがある。

誰が見ても強いのに、思わぬ脆さを垣間見せる。
かと思うと今年3月の世界選手権のように、誰もが心が折れるだろうと思われる場面で信じられない程の精神力を見せつけることもある。

昨シーズンも練習どおりにジャンプが跳べず、悔し涙を流していたことが数回あった。昨季出場した6試合のうち優勝できなかったのは1度だけ、それも2位という結果だったにも拘らず、である。
「考えすぎてしまうと失敗する」「少しでも迷いがあるとジャンプは跳べない」と常々口にしている彼女は、言動から「戦っているものが他のアスリートとは違うのかもしれない」と感じることが多い。
彼女は優勝したから、世界ランキングトップになったからといって満足したり、目標を失うような選手ではないのだ。常に自分に新しいハードルを設け、高みに上ろうとしている。競技者である限り、いや、選手だろうがプロになろうが、スケート靴を履いている限り、彼女は満足することはないのだろう。

怖いものなしだったシニアデビューの頃より確かに失敗することは増えたが、これはよく言われている「身長が伸びた為の目線のズレ云々」ではないと思う。そういう要素もあるかもしれないが、きっとそれだけではない。
彼女に当時と同じプログラムを滑らせたらきっと今でもニコニコと完璧に、当時より質の高い演技ができるだろうが、現在の彼女演技全体の難易度、表現力ともに桁違いな水準を求められる男子並みともいわれるハードなプログラムを組むようになった。
以前はジャンプが失敗すればもうおしまい、「ジャンプのみの選手」という声もあったが、今の彼女の演技は複雑で密度の濃いステップや伸びやかな柔軟性、音楽と一体化した表現力抜きでは語れなくなっている。

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これは「グラン・ジュテ」というバレエジャンプを跳んでいる浅田選手。
昨季のオフから、表現力向上のためにロシアでのバレエレッスンに精力的に取り組んでいる彼女。
完璧な美しい姿勢で跳んでいます。
羽のような軽さを感じさせながら手足の筋肉の張りが美しく、鍛えられた躍動感が感じられますね。指先からつま先、目線まで神経を配った美しいジャンプです。
このポスターのグラン・ジュテは幅を感じさせたので、メイキングを見てびっくり。まさかあのような狭い場所で垂直に跳んでいるとは思いもしませんでした。


ASIENCE CM Making

*最初は滑るスピードと高さのあるジャンプににカメラがついていけなかったようなのですが
「浅田さんの滑るラインと飛ぶ位置が毎回驚くほど正確だったため」すぐに調整できたようです。(ASIENCEサイト メイキングエピソードより)


未だにニュース映像等ではトリプルアクセルを跳ぶ彼女のみを流したり、ジャンプの成否のみで演技全体を評するものが多いが、フィギュアスケートを好きで見ているファンなら彼女の演技の魅力はもはやそれだけではないことを皆知っているはずだ。彼女は他の要素で高い点数、順位を取れる女性らしいスケーターに変貌した。先日の「不調」と言われたフランス杯の演技でさえ、ファンや専門家の間からは彼女のまた新たな成長に驚きの声が多数上がっていた。自分に課した水準をこれ以上ないところまで毎年引き上げ続けるようになったからこそだと思う。

14~15歳まで、ただ「楽しい」とニコニコ滑っていた「まおちゃん」から、彼女は完全に脱皮した。
スケートに対する情熱は彼女の中で変わってはいないだろうが、精神的に成長し、勝つ難しさ、そして本当の勝利の喜びを覚えた。
子供のうちは誰かに優しくされればそれだけで即物的に「嬉しい」と満足するが、大人になるにつれてその優しさの「意味」についても感じ取れるように、考えられるようになる。それと同じことだ。「最近演技中の笑顔が少なくて残念」という声もあるが、あのままでは彼女はここまでの選手にはなれなかっただろう。
小さい頃から彼女の成長を見ている私達はつい「まおちゃん」として彼女を見てしまいがちだが、彼女はもう18歳。インタビュー等では素直であどけない印象は変わらないが、彼女が女性としても、アスリートとしても大人になっているということを見せ付けたCMだと思う。
そして、これこそが今の等身大の彼女なのだろう。
すごくいいCMと思います。本人も気に入っているのではないでしょうか。

マスコミなどももう彼女を必要以上に「まおちゃん」扱いせず、年相応の大人として、またトップアスリートとして扱って欲しいと思う。
弱い自分と強い自分に翻弄されつつ自分の目指す高みにまっすぐに取り組む彼女を見ていると、凛とした美しさを感じます。

それにしてもこの年頃の女の子は劇的に変わりますね。彼女は切れ長の目をした本当に日本的な顔立ちをしているので、「アジアンビューティー」というコンセプトにはぴったりだと思います。
一昨年の「ふわふわマオマオ」、今年春の「ネピアカラー」(ともに王子製紙nepia)のCMからは想像もつきません。
来年はいよいよオリンピック。怪我に気をつけて頑張って欲しいと思います。
そして今週末にはNHK杯がありますね。実力は充分なのだから自信を持って、前回の課題を少しでも克服した素晴らしい演技をしてくれるよう期待しています。



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Excite エキサイト : スポーツニュース
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by toramomo0926 | 2008-11-27 11:13 | フィギュアスケート


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