日本の「ある価値観」が崩れた日-酒井法子逮捕
b0038294_1163716.jpg私は酒井法子のことを好きでも嫌いでもなかったが、この件が報道されてから、さすがにイメージとは真逆のことばかりがどんどん出てくるので純粋にかなり驚いた、というのが正直なところだ。
彼女の覚せい剤所持と使用が報じられた際、「裏切られた」という声も多かった。確かに詳細が報道されるにつれて、毎日のように見ていたCMやTV番組での彼女の姿が急に白々しく感じられるようになった、という意味である種の怒りを覚えて「裏切られた」という言葉、心理状況になった方もいると思う。
大げさな言い方をすればあの日、日本人が共通して持っていたひとつの価値観が崩れた。




彼女の夫が覚醒剤所持で逮捕され、彼女自身が姿をくらました時は私自身やっぱり心配した。長男と一緒だと思っていたし、まさに「気が動転して」いるんじゃないかと思った。行方不明の日が続くにつれて第三者に監禁(または軟禁)されているのではという話も出てきて、芸能人云々というより人として彼女の安否を心配する気持ちは強くなっていった。
その後長男が無事に見つかり、彼女が姿をくらました直後の行動についての目撃証言も出てきた。量販店で下着等を買い込んでいたと聞いて「あ、死ぬ気はないんだな」と安心はしたが、そうなると彼女は本当に逃走を図っていることになるわけで、彼女のしたたかさというか、ふてぶてしさみたいなものを感じてあまりいい気持ちはしなかった。勿論死んでいればよかったと思ったわけではないが、こちらが心配するほどヤワじゃなかったんだな、ということだ。

また気になるのは、彼女の逮捕までの行動があまりにも「手際」がよすぎるということだ。
夫が職務質問を受けたと知って現場に駆けつけた後任意同行と尿検査を拒否し、生活用品や食料品を大量に買い込み各地を点々としながら逃走、覚せい剤成分が尿から検出されなくなるとされる6日間の間姿を隠し、出頭後携帯電話の所在を不明にさせているという一連の行動は、バックにその道のプロ(の指示)があるというのを容易に想像させるものである。本当のところは分からないけれど、状況証拠的には。
ただ売人からクスリを買って使用していたというよりも、もっと深いところまで足を踏み込んでいるという予感は誰もが感じているのではないだろうか。そもそも有名人が任意同行を拒否して逃走するというのは私自身記憶にないほど稀なことだ。

彼女の清廉なイメージとクスリというのは全く結びつかないものだったし、その後の一般人には到底考え付かないような行動(こちらの要素の方がむしろ報道や騒ぎを大きくしたような気がする)に世間は衝撃を受けた。直前の押尾学のMDMAでの逮捕も確かに驚いたが、彼の件が大きく報じられたのは死者が出ているという側面が大きいような気がする。こういってはなんだが、彼とクスリ、というのを聞いても世間的にはそれほど違和感はなかったのではないか。

彼女はずっと「清純派」であり「クリーン」だった。
人気脚本家と恋をしても、当時から「ちょっとどうか」と囁かれた意外な男と結婚しても、基本的な彼女のイメージは変わらなかった。
積極的なファンというのは一部だったかもしれないが、国民全体的に漠然とした好意を得ることには成功していたと思う。
この「全体的な好意」を得るというのはある意味芸能人にとってのゴールといっても良く、彼女はタレント、女優としてそういう意味で一種の頂点にいたのだなと今つくづく思う。だからこそあのワゴン車のCMは長いことシリーズとして成立していたのだろう。

今考えてみると約20年前「のりピー語」というこちらが痒くなるような言葉を連発していた彼女は、とてもうまく芸能界で少女から女性へ、アイドルから女優、タレントへとイメージを移行させることに成功していた。
突然「イメージチェンジ!」などと力んで周囲を驚かせることもなく、少しずつ、とても自然な形で「気づけば」少女から女性に変化していた。
声のトーンもいつのまにか低めの落ち着いた話し方になっており、今彼女のコメント等をTVで聞くにつけ、ナレーション等の仕事をしたら(していたかも知れないが)更に成功したかもしれないと思った。
「清廉、清純派」でありながら同時に「素敵なママドル」であり、更にデビュー当時からの「のりピー」までも成立させるという、かなり絶妙なバランスの上に彼女はいたのだ。彼女の生命線はそこにあったし、そのイメージが20年以上の長期にわたり彼女を第一線のタレントとして成功させていた。アイドルらしい可愛らしさを残しながらも、女性から見てもステキな女性、母親というポジションにいたと思う。
そこには事務所の長期にわたるとても緻密な戦略があっただろうし、酒井法子というタレントをとても大事に育ててきたんだろうな、というものが見えてくる。
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きっとサンミュージックは彼女に逮捕状が出されるまでは、タレントの育て方の理想的なモデルタイプとして彼女を見ていたのではないか。社長が記者会見の度に目に見えてやつれていく様子を見ていると本当に気の毒になった。
彼女が「イメージ」とは違った人間だったことについて「裏切られた」とは思わないが、あれだけ大事に育ててもらい、芸能界という世界で彼女を守り続けてくれた事務所や社長、そして彼らの努力をこれほどひどく裏切ったということについては部外者ながら軽い怒りを覚えるし、彼女の愚かさを非常に残念に思う。
彼女は今「息子に会いたい」と話しているそうだが、もし彼女が不起訴になっても薬物使用ということでは長男とこれまで通り一緒に生活できるという保障はない。彼女(とその夫)は自分自身だけでなく、彼の心や人生にも大きな傷を残すことになった。これから今まで自分がいかに恵まれてきたか、有形無形の失ったものの大きさをいやというほど知ることになるだろう。

現在彼女が逮捕・拘留されて10日が過ぎた。彼女は覚せい剤の使用期間については夫と真っ向から食い違う供述をしている。彼女がどのような心情にあるのか、またどのような「方針」で動いているのかはわからないけれど、今彼女が自分のために、また息子のためにできることは全てを隠さずに話すことだ。
報道の様子を潜伏期間中見ていたということなので、恐らく自分がもうタレントとして致命的なダメージを受けたことは理解しているだろう。この状況でもなお正直に話していないとすれば、何を守ろうとしているのだろうか。彼女が踏み入れてしまった領域の深さについて考えさせられる。
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by toramomo0926 | 2009-08-18 11:00 | エンタメ


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