Youtubeに、チェコの若き新星ミハル・ブレジナ選手(20歳)のインタビュー動画がアップされていました。
なんと日本語字幕付きです。チェコ語の訳を出来る方がいらっしゃるんですね。関係ないですがこういう時、どんな経済情報よりも日本(人)のグローバル化を感じますね。 Michal Brezina Interview (2010/May/11) これはチェコにおけるNHKみたいなTV局なのでしょうか?セットもわりとシンプルで、インタビュアー(アナウンサー?)もスーツに横分けというサラリーマンスタイルで、ちょっとお堅い感じ。 ですがブレジナ選手の話をうまく引き出し、また質問もフィギュアについてよく勉強されていて、とても良いインタビューだと思いました。 ここで彼はいろいろと話をしていますが、どれも興味深いトピックばかりでした。同じチェコの先輩でありライバルであるトマシュ・ヴェルネル選手について、自身のシーズンを振り返って、そして4回転論争について。 また、高橋大輔選手が世界選手権の最終滑走で、フィギュア史上初めて4回転フリップに挑戦したことについても触れています。 彼は昨シーズン(なんだかまだ2009-2010シーズンを「昨シーズン」というのに違和感があるのですが)シニア本格参戦となったのですがそのまま一気にブレイクし、欧州選手権(4位)、バンクーバー五輪(10位)、世界選手権(4位)という素晴らしい成績をおさめ、これ以上ないシニアでのキャリアスタートとなりました。 彼を初めて見たのは昨年のNHK杯(3位)だったと記憶していますが、プロテニスの錦織圭選手を彷彿とさせる爽やかなルックスはもとより、とにかくジャンプの高さや着氷の流れのよさに驚きました。またスピンも軸のぶれない美しいもので、これはトップグループ常連になる選手だな、と思いました。 勿論滑りに若さもありましたが、この年齢でこれだけ滑れるのかー、という感じでしたね。彼の昨季のフリー「パリのアメリカ人」は早くも彼の代表作になっています。 動画は消されてしまう可能性があるので、私が印象に残った部分を文字にしておきます。 **ブレジナ選手のコメント(カッコ内は私の補足です)** エフゲニー(プルシェンコ)は3連続のコンビネーションを入れずに(入れなかったために?)負けた。ダブルループをつければ充分だった。(3連続にしていれば)1点差で文句なしの金メダルだったはず。4回転を入れてクリーンに滑りきって、4回転不要論が間違っていることを実証できたのに、残念ながらそうはならなかった。 世戦で完璧な4回転を降りたのはブライアン・ジュベールだけ。(4回転を)2回入れても銅メダルということは、ジャンプが全てではないということ。スピンやジャンプをうまく利用した振付だってある。 インタビュアー:高橋大輔はフリーで4回転フリップを跳んだ。入れなくても世界王者になっていたでしょう。本当に野心的だ 彼には前人未踏のことに挑戦する気概がある。4回転フリップも彼が最初。練習では成功していたが、本番では両足着氷で不完全だと評価された。でも彼が最終滑走で4回転フリップを入れたのは事実。 そこそこ滑れば(金)メダルだと彼には分かっていたはず。それでも挑戦するなんて・・・彼は世界王者に相応しいと僕は思う。ジャンプだけじゃなくてスケーティング自体が素晴らしい。振付表現が卓越している。エヴァン(ライサチェク)は大輔ほどプログラムを表現できないと思う。 彼は4回転ジャンパーですが、他の要素も重要だと語っていますね。採点の傾向もそうだと。 私もそう思います。というか4回転ジャンパーだって4回転を成功させれば他が疎かでも自動的に勝てるとは思ってないだろうし、そうは言ってないじゃないかと思うんですよね。 4回転派だってスピンやステップ、スケーティングの重要性は分かっているはずです。マスコミが煽ったような「ジャンプか全体の質の高さか」みたいなそんな極端な論争ではなくて、それを踏まえた上で難易度の高い技術に対する評価が低すぎる、と言っているだけなのだと思います。私はブレジナ選手のスタンスはかなり公平なものだと思います。一方で彼のコメント全体で見ると、彼の考えというかこの問題を捉えているかというのが見えてくる気がします。 カナダのカート・ブラウニング氏も解説しながらコーフンして“Quad flip! QUAD FLIP!!!!!” と2度言ってましたし(笑)あの時は成功判定は得られなかったけれども、高橋選手が世界中のスケーターに与えた衝撃と影響は今後の男子フィギュアを変えていくんじゃないかと思いました。高橋選手は来季必ず4Fを跳んでくるでしょうし。 やはり点を取ろうと守りに入った演技ばかりになるよりも、こうやってブレイクスルーがある方が見る側もエキサイティングですし、競技のあり方としても健全ですよね。技術的に完結し、頭打ちになってしまった競技などそのうちファンも離れていき、スポーツとして廃れてしまうと思うので。 そして自国のライバルであるトマシュ・ヴェルネル選手についても、先輩として自分をサポートしてくれたことに素直に感謝の意を表し、「ひとつの国で同じレベルの選手2人がいることは、一人が1位で一人が10位以下という状況よりずっと価値がある」と話していたのが印象的でした。 確かにそうです。日本選手が今すごく充実しているのは、同じくらいの、しかも高いレベルで戦える選手が身近に、しかも国内に複数いて、お互い切磋琢磨つつ励まし合いながら、タフなシーズンをこなしていけるからというのは絶対にあると思います。だからこそ日本選手はライバルでありながらもあれだけ仲がいいのかな、とちょっと思いました。なんというか特別な信頼関係みたいなものを感じるんですよね。男子も女子も。もう肉親みたいな感じというか。 まあ日本選手団は世界的に見てもかなり仲がよいみたいですけどね。 昨季で大きな自信をつけたミハル選手は来季更に大きくなって戻ってくると思います。表彰台に当然のようにからんで来ることが予想されますね。来季もフリーは「パリのアメリカ人」を少し手直しして持ち越すということですが、どれだけ進化を見せてくれるのかが楽しみです。 <関連コラム> 高橋大輔選手、日本男子初の世界王者に!!-2010世界選手権 2010年3月26日 NHK杯! 男子フリー 2009年11月7日
by toramomo0926
| 2010-06-10 13:15
| フィギュアスケート
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