今季より佐藤信夫コーチの兄妹弟子となり、新横浜で一緒に練習する機会が増えた小塚崇彦選手の証言もありました。 挑戦 真央らしく (坂上武司) -朝日新聞 2010年11月24日 ***** 浅田 ジャンプ修正中 しょうがない 26日からフランス杯 グランプリ(GP)シリーズのNHK杯でファンが予想もしなかった順位となった浅田真央(中京大)。周囲の心配を理解しながらも「良い経験だった」と浅田は振り返る。気持ちを新たに、26日からパリでのフランス杯を迎える。 「子ども向けのメッセージ……。何て書いたらいいかな。『やればできる』かな。でも、今の真央に言われたくないよって言われるかもしれないですよね。やっぱり『日進月歩』にしておきます」 そんな言葉をポロリと漏らしながらも、普段と変わらず、「浅田真央」のサインを色紙に書いた。日進月歩の言葉を添えて。GPシリーズの初戦、8位と沈んだNHK杯を終えたある日のことだ。 「NHK杯が終わってからも、練習の内容にはあまり変わりはないです。ただ、今まで以上に(佐藤)信夫先生と一緒に練習ができるようにはしています。私が新横浜スケートセンターに来たり、先生に中京大(愛知県豊田市)に来てもらったり。NHK杯の時よりも、ジャンプなどは日に日に自分のモノになっている感じがします」 浅田真央はいったいどうしたのか――。NHK杯を見たほとんどの人が、そう思っただろう。ジャンプの失敗を繰り返し、過去最低得点の133・40点。ただ、本人は冷静に現実を受け止める。 「しょうがないなって。試合前の練習から成功の確率は低かった。オフからジャンプを修正し始めて、良くなり始めた中間地点でした。跳ぶタイミングも変わったし、上下運動が少ない跳び方になった。NHK杯の公式練習では自分でもびっくりするくらい良くて。あれで期待をさせてしまったんですけど。試合になると練習で出来ていないものが出来るはずがなかった。ジャンプがほとんど跳べないのに勝てるはずないです」 もちろん悔しさはある。バンクーバー五輪があった昨季の序盤にも同じようなスランプに陥ったが、それとは種類が違うという。 「昨季は練習で跳べているのに試合では跳べないという状態だった。でも、今季は練習でジャンプを一からやり直している。直した上で、6種類すべてのジャンプをやっと跳べるようになってきたところ。それを今からプログラムの中でやっていくという段階だったから、昨季とは全く状態が違います」 ある意味、練習のための試合だった、と考えてもいい。 「失敗する自分の姿を人に見せるのは悔しいけど、そういう状態でも試合に出たことに意味がある。今の自分がどういう状態かを確認するためにも。そこでいろんな経験をすることが、今後の頑張りにつながる。試合に出ないと、それ以上の成長はないと自分は思っているから」 佐藤コーチからも「あとは滑り込んでいくだけだね」と言われている。そして「毎日積み重ねていくことが大切だよ」という言葉。練習の内容に大きな変化はないが、少し練習の取り組み方を変えた。 「先生と相談して、1時間から1時間半の練習を1日に3、4回滑るというやり方にしました。それに陸上トレーニングを加えて、短時間で集中して滑っています」 NHK杯後、新横浜スケートセンターでの練習。小塚崇彦(トヨタ自動車)ら十数人のスケーターにまじって滑り込んだ。特別扱いはない。1セッションの練習で自分の曲がかかるのは、1回だ。 「中京大なら何度でも自分の曲をかけられるけど、新横浜ではそうはいかない。だから集中力を高められる。その1回に集中しないとって。曲がかかる順番もそれぞれ違うから、初めの方に当たると短時間で自分を仕上げる力も必要になってくる。あと、たくさんの人に見られているということも大切。失敗してもいい。その1回に集中して、人前で滑り切る。今の自分にとって、必要なことです」 NHK杯の8位で、2季続けてGPファイナル(北京)進出は厳しくなった。でも、26日開幕のフランス杯は気持ちを新たに臨む。 「誰しも調子の波はあるものだけど、NHK杯のようなダメな演技はもうしてはいけない。フランスでは、NHK杯より良い演技はできると思う。自分が到達したいところに半分以上は近づいてきている。でも、今、自分が目指しているものが標準。それを早く達成しないと、これから先へ進めないから」 色紙に書き込んだ「日進月歩」は好きな言葉だ。絶えず進歩する自分を感じながら、今日も氷上に立つ。 ◆「スピードが出てきた」一緒に練習する小塚崇彦選手 NHK杯の前から、佐藤先生のもとで本格的に一緒に練習を始めました。やっぱり1人で滑るより、2人で滑る方が勢いがついていいと思う。 NHK杯前の練習を見る限り、ジャンプを跳べる時もあったり、跳べない時もあったりで、どちらかというと跳べない時の方が多かったんです。だから結果については、練習通りだからしょうがないかな、と思っていました。 でも、NHK杯を終えてからは、浅田選手もだいぶ変わったと思います。以前より滑りのスピード感が出てきました。僕の目から見ても、一歩一歩がずいぶん滑るようになってきたなあと驚いています。滑る時に自分にとって心地よいエッジ(刃)の音があるんですけど、浅田選手からもそういう音が聞こえるようになってきました。 あとはこのスピードをジャンプにどう生かしていくかだと思います。スピードが出てきたことによって、ジャンプのコントロールの仕方が変わってきます。このまま滑り込んで、このスピードに慣れていくしかないと思います。 (坂上武司) ◇ こづか・たかひこ 名古屋市出身。浅田と同じ佐藤信夫コーチの指導を仰ぐ。2010年バンクーバー冬季五輪は8位入賞。今季は中国杯でGPシリーズ通算2勝目を挙げた。五輪出場歴のある父親、母親、祖父ともに元スケーター。中京大体育学部4年。トヨタ自動車所属。170センチ。21歳。 2010年11月24日 ***** 真央選手、練習は順調に進んでいるようですね。ペースが遅くてもいいから、納得できる形で確実に新しい跳び方を自分のものにしてほしいと思います。 そして小塚崇彦選手からも良い影響を受けているようですね。彼のスケーティングは素晴らしいですし、身近な良いお手本になると思います。また幼なじみとも言っていい関係なので、休憩時間に会話したり、兄弟子として相談したりということも(やろうと思えば)できますし。今回のインタビューを見て、彼の存在は結構重要かもしれないなあとも思いました。 以前舞選手と試合に出ると落ち着く、と言っていた真央選手なので、今回フランス杯で彼と一緒に試合に出るというのは、彼女の精神的には良い材料なのではないでしょうか。 それに佐藤コーチという素晴らしい指導者に教わることが出来るというのはもちろんですが、新横浜で練習するというのは、佐藤コーチと過ごす時間が増えるという目的以外にも、真央選手にはすごく良い刺激、影響を与えると思います。 中京大のリンクで一人で練習するのもスペースを気にしなくて済むし、集中も出来るので良いと思いますが、今のように半分の時間を新横浜で他のスケーターと一緒に練習するのは想像以上に良いのかも知れません。曲かけの時間に合わせてコンディションを整えたり、他の選手の目を意識しながら練習するというのも(真央選手の曲かけの通し練習は、他の選手や後輩スケーターはくぎづけになってしまうんじゃないでしょうか)、試合の疑似体験みたいになって良いと思います。 中京大の環境は理想的だけど、試合で演技するということを考えると理想的過ぎて非現実的ともいえるものなので。 大須のリンクで一般人の間を縫ってジャンプの練習をしていた時のようなある種の図太さみたいなものを取り戻せるかもしれません。人がいるとはいえ全員選手ですから大須の時のようなカオス状態ではないですし、実はすごく真央選手には良いと思います。 先日のGet Sportsのインタビューとこの記事を読んで、真央選手がすごく今の自分を冷静に客観的に受け止め、余計な雑音を入れずにしっかり目標に向かって真っすぐに進んでいるのがとてもよくわかり、すごく安心しました。ジャパンオープンやNHK杯での演技は、わかってはいたけどやはりファンとしてはショックでしたし、真央選手の決断を信じるという気持ちには揺らぎはなかったけど、それとは別に心配する気持ちはありました。 真央選手が自分で覚悟を決めて始めたけど、実際やってみると自分の予想、想像を超えた困難や辛さを感じて不安になったり、追い詰められた心境になったりしていないかということをです。 ですが彼女は(まあ彼女が後ろ向きなことや弱音をインタビューで吐くことは殆どありませんのでこれが全てではないと思いますが)しっかりきちんと状況判断ができているようですね。まさに「やることはわかっている」という感じです。 結果がどうあれ、とにかく試合前の精神状態、練習状況がNHK杯の時よりも自信が持てているということに安心しました。 あとは怪我のないように、今できることを思い切りぶつけてほしいと思います。 土曜日からついにフランス杯。真央選手、小塚選手、今井遥選手と村主章枝選手が出場します。 頑張ってください!!!! <参考リンク> 挑戦 真央らしく (坂上武司) -朝日新聞 2010年11月24日 真央らしく 著:坂上武司 朝日新聞出版 -Amazon.jp <関連コラム> 「自由」を求めて -浅田舞選手・真央選手対談 2010年11月23日 熱狂!Japan Open 2010 (女子編) 2010年10月4日 日経新聞の記事-「浅田真央、名伯楽・佐藤コーチと歩む新たな道 」 2010年10月1日 浅田真央選手、佐藤信夫コーチとの練習を公開&お祝い 2010年9月26日 浅田真央選手の新コーチに佐藤信夫氏が決定! 2010年9月7日 プルシェンコ選手か ら真央選手へのメッセージ&おもてなし動画 -The ICE 2010年9月6日 浅田真央選手、全てのジャンプを矯正&今季EX初披露 2010年6月26日 浅田真央選手のジャンプコーチに長久保裕氏が就任 2010年6月18日
by toramomo0926
| 2010-11-24 15:02
| フィギュアスケート
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