爆笑問題のニッポンの教養
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ここ半年くらい、毎週楽しみに見ている番組があります。
それはNHKで毎週火曜日23時からの「爆笑問題のニッポンの教養」(以下『爆問学問』)。



これは、毎週爆笑問題が最先端の研究をしている各分野の研究所員や大学職員の部屋を訪ね、彼らの専門についてレクチャーを受けつつディスカッションも行うという30分の番組。
私は最初から見ている訳ではなく現在の放映時刻になってからの視聴者だけれど、これまでも「生命とは何か」「渋滞学」「錯視(目の錯覚)についての研究」「体内時計について」など面白い『講義』をたくさん聞くことができた。

太田が時に脱線しながらも自らの疑問や人生観なども含めてセンセイにぶつけ、それを彼らが自らの研究などのフィルターを通しつつ返答する。おちゃらけ過ぎる場面もあるけれど基本的に毎回とても実のある討論が聞けてすごく面白い。
そして毎週出てくる先生方がとても魅力的です。ずっと一事に真摯に取り組んできたといういい顔をしています。

そして太田と田中の立ち位置のバランスもいいですね。
太田がすごく博学で(他分野に幅広く、かつ深い知識があるのには驚いた)本質を突いた、時に哲学的な問いや感想を述べてセンセイを驚かせるということも多いのだけど、田中は一貫して「素人」目線を崩さないし、知らないということを隠さない。それがこの番組をひそかな人気番組としているキモのように思います。
田中が視聴者と同じスタンスで臨むことによって、太田とセンセイが視聴者をおいてきぼりにするのを絶妙に食い止めている。なので非常に高度な、専門性の高い内容でありながら視聴者をとり残さず、理解や興味を深める効果があるのがいい。

実は私は結婚してからずっとこのテの研究所や大学の研究室付きの秘書兼事務補助員をしているのだけど、実際研究者の人の話は面白いんですよ。
私は国文科という社会において毒にも薬にもならない知識しかない、研究畑においては未だに全くの素人だけれど、研究の話以外でもやはり頭のいい人の話を聞くのは本当に楽しい。
また、自分にとってよく知らない彼らの専門分野の話であっても初めて聞く話というのは新鮮です。

そして皆さん大学からずっと研究の道一筋の方々なのでヘンに社会ずれしてないというか、穏やかで人当たりのいい方が多いです。たま~にエキセントリックな人、ヘンな人(失礼)というのもいるらしいんですが、まだ私は幸いにもお目にかかってないです。
彼らと話をしていると、こんな頭のいい人たちの研究の話が無料で(笑)聞けるのは貴重なことだと思うこともしばしばあります。別に自分に直接役立つわけではないのかもしれないけど、すごくありがたい気持ちです。

そばで見ていると研究者の方って自由なようですごく横や縦の繋がりが大事というか、専門というのがそれぞれ決まっているだけに実際はすごく世界が狭いんですよね。それもあってお互い非常に礼儀正しく、かつフランクです。
一緒に共同研究をしたり、それぞれが持っている装置や機械を貸し借りしたりする機会も多く、かつ雇用(職探し)などにおいても人間関係がある意味非常にモノをいう業界でもあるので、そういうのも多少は作用しているのかもしれません。でも基本的に人間的に素直、というと生意気ですが、純粋な人が多いような気がします。

番組内ではその道のプロならではの深い言葉がいろいろ聞けます。
特に私が印象に残っているのは、体内時計の研究をしている理化学研究所の上田泰己氏が言った言葉です。
これから自然科学はその進歩ゆえに、倫理的に危ういところ、たとえば生命を操作したり、生命そのものを作り出すという領域に足を踏み込んでいくことになるのでは?という太田の問いに対し、話の中で自然に
「科学って幸せのためにやらないといけないと僕は信じているんです」とサラッと口にしたところなどは、ちょっと感動しました。こういう人が世界のトップで活躍しているというのは本当にうれしいことです。

「爆問学問」は日本中の知識人の各分野の話を濃密に聞けるという、私には本当にうれしい番組です。知らない分野の話でも聞いているとワクワクしてきます。
オンエアは毎週火曜日なので、明日の23時、NHK総合です。知的だけどとっつきやすいので、面白い話がお好きな方はぜひ。

爆笑問題のニッポンの教養(NHK番組サイト)

第22回「科学的分身の術」(2008年1月8日OA-Youtubeより・一部)
東京大学大学院・情報理工学系研究科の舘研究室。360℃バーチャルに、立体的に別な場所の景色を見られるという装置を開発。この研究が進めば、たとえば病気で外に出られない人も擬似的に海外旅行が可能となる。
by toramomo0926 | 2008-03-03 21:57 | エンタメ


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